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241 質も量も負ける時が

‥‥‥ゼネたちを別の宿泊場所に移し、ディーたちは生徒たちが泊まる宿泊施設に戻ってきていた。


 ここで一晩を過ごし、明日のは出発して昼頃には海へ到着予定。


 去年も同様のルートで、臨海合宿という名目があれども、それでも海で遊ぶのは楽しみな人が多いようで、あちこちで明日の予定を確認し合う人が多い。


 まぁ、最初の方は遊び、数日間は鍛錬、最終日には遊びだけに自由度はそれなりにある。


 そのため、楽しみにする人が多いのを納得できる反面‥‥‥‥



「一応、安全面とかは大丈夫だよなとか、そう言う話も聞こえてくるな」

「去年はゲイザー騒動がありましたしネ」


 去年の海の時、巨大なゲイザーが浜辺に来襲してきて、大暴れをしたことがあった。


 あの時に食べられたトラウマのせいでちょっと似たような類が苦手だが…‥‥それでも、流石に同様のことはないと思いたい。


 そう、一生にあんなでかい怪物が襲い掛かる事なんぞ何回もあるわけが…‥‥


「‥‥‥無いと思いたいなぁ」

「グゲェ」


 思い出し、ちょっと遠い目になるとリリスが慰めるようにポンと肩を叩く。


 うん、思い返すとあれからも何回もあった。主に組織関連で。


 特に最近だと結構巨大な奴と出くわしているし‥‥‥‥不安しかない。


「何やら遠い目になっているでありんすなぁ」

「まぁ、マイロードにも色々あるのだろう」


 去年のゲイザーを知らずとも、怪物との戦闘から察しているのか、同じようにポンッと手を置いて慰めてくれる召喚獣たち。


 こういう時に、人の手の温かさを知れるのは良いかもしれないけど、それだけ苦労があったと考えると辛いものがある。



 取りあえず気持ちを切り替えて、海の方に目を向けるべきか…‥‥


「それはそうとして、ノイン。一応現状トラップの発動とかはないよな?」

「はい、今のところ作動した形跡はありまセン。とりあえず、まだ相手は動かない者と思われマス」


‥‥‥向ける前に、ゼネの妹襲撃などに備えるべきなのを思い出し、ノインに問いかけたがどうやらまだ襲撃などはない様子。


 このまま大人しく、何もしなければいいのだが…‥‥何もしない可能性はないんだよなぁ。


「むぅ、その当時いなかったが…‥‥そこまで、ゼネの妹たちとやらは恐ろしいのか?」

「恐ろしいのなんの、狂える人ってここまで狂気に満ちるんだと実感させられるレベルだったな」


 組織フェイスマスクも大概だが、それよりも恐ろしいと断言できるレベル。


 なんというか、人の想いを拗らせに拗らせまくった存在って、もはや怪物すらも超えているような‥‥‥というか、あれこそ狂った神と言えるような存在ではなかろうか?組織の目的達成してないか?


 何にしても、この国に滞在中はその事で気が抜けない。


 常に警戒しつつ、トラップもきちんとしかけ、どうにか防ぐのだ。


「あとは、ゼネたちの方が何もなければいいんだけど…‥‥どうなることやら?」


 窓の外に見える星空を見上げ、別の宿泊場所に入る彼女を想ってそうつぶやく。


 できれば、無事に一晩を越せればいいのだが‥‥‥‥‥とりあえず、今は考えていても仕方がないし、こちらはこちらでの警戒をして置けばいいか。


「まぁ、こういう宿泊場所だからこそ、できる遊びとかで気を紛らわせるかな…‥‥そう言えば、卓球とかがあったような」

「去年よりも増えてますネ。ああ、あちらにはルナティアさんやアリスさんがいマスヨ」


 そう言われて目を向けて見れば、卓球で白熱した試合を繰り広げる二人の姿があった。


 バシバシと球を打ち合い、一歩も譲らないというか…‥‥


「ニャァァ!!」

「えええい!!」


「…‥‥盛り上がっているというか、暑くなっているな。というか、アレありか?」

「ルナティアさん、尻尾にラケットを結んでやってますガ…‥‥違反ではないですネ。各種族対応ルールブックには、あれも立派な戦法として載ってマス」

「え?そんなものあったっけ?」


 何にしても、混ぜてもらおうかな。こういう時は体を動かして、何も考えないほうが気が楽だからなぁ。


 そう思い、俺は白熱している二人に声をかけるのであった‥‥‥‥











…‥‥ディーたちが入ってきたことに、白熱していた二人がドキッと驚いていた丁度その頃。


 ゼネたちはゼネたちで、警戒しつつもゆっくりと風呂に入っていた。


「ふぅ‥‥‥このまま何事もなく、過ごせたらいいのじゃがなぁ」

「一応、周辺の草花の話では、まだ動きが無いそうですし、大丈夫なはずですわ」


 湯にゆっくりと浸かり、リラックスするゼネとカトレア。


 去年の狂愛を知っている者同士、その警戒は緩めないのだが、居心地のいい湯船では体が緩むようだ。


「そんなに警戒するほどかなのぜ?どれだけヤバい奴なんだろうか‥‥?」

「理解不能/でも/警戒はしておく」


 足元がサメの部分に戻り、バシャバシャと思わず泳ごうとするティアがつぶやき、剣のままでぷかぷかとルンは浮かぶ。


‥‥‥なお、普通の湯船に凶器は持ち込んではいけないのだが、一応そのあたりは大丈夫なように話は付けてあったりする。


「分からんからのぅ。妹とたちの発想は、儂らが想像するよりもぶっ飛んでいることが多いのもあるがのぅ‥‥‥」

「ぶっ飛んだのって、例えばどういうのがあるんだ?」

「そうじゃな…‥‥生前、儂がとある花を綺麗だと思って口に出したら‥‥‥‥数日後には何百、何千もの寮に増殖させた花束を用意したり、あるいは香草で良い香りを楽しんでいたら、いつの間にかちょっと危ない物を混ぜられ貞操の危機になったことなど‥‥‥うう、思い返すととんでもないやつらじゃった」

「‥‥前者はまだ良いけど、後者ってどうなのだろうか?同性でそこまでやらかす気があったのか?」

「ある感じがしますわね…‥‥あの狂愛の怪物変貌も、それが色々と混ざっていたようですし、ゼネさんにかなり執着をしている様子がありましたわね」


 狂愛の怪物騒動を思い出し、思わずぶるっと震えあがるゼネとカトレア。


 あの騒動は誰もがトラウマになっているというべきか、人の心の恐ろしさを良く学ばされたともいえるだろう。


「とはいえ、あれでちょっとゼネさんが一手を踏み込んで、一時的な鎮静化は出来ましたけれども‥‥‥それでも時間の経過と共に、また動く可能性が大きいのが困りものですわね」

「あれで止まったと考えたいのじゃが、そう気楽にできぬのが悲しいのぅ」

「その一手って何だぜ?」

「…‥‥まぁ、なんじゃ、今の状況じゃと話せぬな」

「ああ、わたくしはまだその手に関して許した気もありませんし、思い出すのもなんですので言わないですわね」

「何/やらかした?」


 ティアの問いかけに対して目を背けるゼネに、ゼネを見てそう苦々しそうにつぶやくカトレアの言葉に、ティアは首を傾げ、ルンは疑問に思う。


 けれども、彼女達も知れば色々と思うのは間違いないだろう。


 だからこそ、ちょっと既に命はないけど命の危機になるかもしれないことなので、ゼネはあえて黙秘を貫く。


‥‥‥とは言えそれは、もう間もなくバレるのだが‥‥‥今は湯船にゆったりと浸かり、精神面で疲れ果てても体が動くように、しっかりとほぐすのであった‥‥‥‥


「ぬぅ、気になるぜ」

「気になる/他の皆に聞く?」




ゆったりと泊まれる場所だからこそ、何事も起きて欲しくはない。

去年はゼネの妹がもう脱出の突撃からの逃走劇があったからなぁ…‥‥

対策を練られている可能性もあるし、出るまで油断できない…‥‥ああ、考えたくないし、卓球で動かそう。



‥‥‥なお、なぜルナティアとアリスが白熱していたのかということに関しては、次回の予定

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― 新着の感想 ―
[一言] この際ですがゼネに質問。 もし妹を始めとする狂愛者達がフェイスマスクと手を組んだらどうなるか(笑)
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