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235 全力投球ノーコンはどう向かうのか

‥‥‥帰還し、王城にてディーたちは報告した。


 現状、ガランドゥ王国側は混乱に陥るだろうし、肝心の王族に関してはまともに話せているのはアリス王女のみ。


 できれば保護できた他の王族たちもさっさと回復してもらい、王族としての責務の重さを彼女だけに背負わせないようにしたいところである。


 ゆえに、王城の一角‥‥‥本来であれば万が一の避難所としても活用できる施設を借り、そこで一旦大規模な治療を行わせてもらうことにした。


 わっせわっせとリリスの箱に収納していた人たちを運び出し、並べて終えたところで治療を開始する。


 カトレアが薬草を大量に茂らせてそれらを槍やナイフで伐採して使用し、ゼネが治療用の回復魔法やかけられているであろう呪いの解呪なども行いつつ、埋め込まれている人為的な道具などをノインが摘出し、体の血の巡りや気の流れとか言う部分に関してはリザがツボ押しなどで対応していく。


 水分補給などもティアの水魔法やアナスタシアの氷をルビーの火炎放射で溶かしたりして作って、ついでにアリス王女に関しても、義手の部分を外し、ノインが新しい腕をどこからともなく作って繋げておいた。


「‥‥‥本当に自分の腕が‥‥‥どうやっているの?」

「培養だとか、何かの技術の応用だとか言っているが…‥‥」

「ちょっとした再生医療デス。まぁ、流石に人体を錬成するとかは色々不味いのでやりませんが、手ぐらいであれば問題ないでしょウ」


 色々不味いって、どういうことだ?なんか禁忌な部分に手を出していそうな気がしてちょっと怖い。


 それはともかくとして、体の大雑把な部分の治療が完了すれば…‥‥直ぐに次の段階として、ボロボロになっているらしい精神状態の治療だ。


 こういう心の治療に関しては難しい事も多く、本来ならカウンセリングなどで長期的に向き合っていく必要があるだろう。


 けれども、さっさと治ってもらってガランドゥ王国の立て直しをしてもらうためにも長引かせるわけにはいかない。


 そこで行ったのは、精神的な魔道具での方法を利用して、こちらも精神的な影響を与えて治そうという試みである。


 具体的にはゼネの手によって悪夢を見せる魔法などを良い方向へ転換させて、リラックスさせる香草なども焚きつつ、心身ともに癒すだけだ。


「強い精神作用などを受けていたようじゃが、それでもこれでだいぶ回復が見込めるはずじゃ。‥‥‥トラウマ関連に関してはちょっと効果が薄いのが難点じゃがな」

「そうなのか?」

「自分でトラウマ克服しようとして、余計に思い出したくない類を思い出すという事もあるからのぅ‥‥‥記憶の奥底に封じ込められたトラウマというのは、下手すりゃ精神崩壊させるのじゃよ」


 遠い目をしてそうゼネがつぶやいたが…‥‥どうやら当の昔に実体験済みだったらしい。


 というか、自ら封じ込めたトラウマってどれほどなんだろうかと思ったが、聞かないほうが良いのは間違いなさそうだ。あの狂愛の怪物も相当なトラウマになるけど、それ以上の代物ってことだろうからな‥‥‥精神崩壊まで陥ってないのはギリギリで何とか抜け出したらしいが‥‥‥もう自分自身に施す気はないらしい。


 何にしても、これで治療もささっと終えたことになるし、なんとか全員話せるようにまで回復したのは良いだろう。


 とはいえ、ここで一つの問題が浮上してきた。


 王族たちが回復してきて、国家間での話し合いが見込めそうなのは良い事なのだが…‥‥その内容の中に面倒な物があるのだ。


 それは、あの既に亡き国王の攻撃によるやらかした跡が、現地に残ったままであるという事。


 そう、非常に貴重な金属であるはずのオリハルコンを残したままだったのだ。


「‥‥‥採掘して持っていけるわけもないからなあ」

「本当に、あれはどうするのでしょうカ」


 亡き後はオリハルコン化が消えうせる可能性もあったが、そこは相手もぬかりなかったようで、そのままになっている状態。


 ルンの刃もオリハルコン化したままであり、現状ずっとそのままの可能性がある。


 加工が非常に難しく、永遠を保ちそうな貴重な金属…‥‥そんなものを、誰が放置できるのだろうか?いや、俺たちは放置したまま去っているけど、流石にあの時は考えないでいただけだったし…‥‥


 全部をやることもできないし、やる気もない。


 というか、今回の騒動で悲しみなどを知りまくったし‥‥‥こちらとしても、精神面での療養が必要なのだ。




 なので、国の方での話し合いということにしてもらいつつ、ようやく寮の自室へ俺たちは帰還した。


 そこまで長いこと空けてもいなかったが、ここで過ごしていた分、実家のような安心感があふれ出る。


「あとは完全に、丸投げで気が楽だぁ…‥‥」


 ベッドにぼすんっと身を投げつつ、俺はそうつぶやく。


 国同士の難しい話し合いであれば、国で解決してほしい。今回はあくまでも調査だけの任務のようなものだったし、面倒な戦闘などの諸費用も後で褒美として計上してくれるらしいが‥‥‥そんな物よりも今は、無事に帰ってこられたという安心感を味わいたい。


 安心すると気が緩むというか、ドッと疲労感が出て眠くなってくるというか…‥少しばかり意識が沈み始める。


 ルナティアの方も疲れていたようだし、今回の件を一応森林国の方にも出すようで、こちらはこちらでオリハルコンに関する話し合いに出るかもしれない。


 何にしても、今はこうやって面倒事から解放されている至福の時をゆったりと感じ取ればいいのだろう‥‥‥


「‥‥‥というか、皆も疲れたのか?」

「疲れましたわよ…‥‥薬草、これでもかというほど生やしましたもの」

「氷をとかして、水を供給するのも大変でござった‥‥‥」

「夢の魔法は専門家の方に投げ出したほうが楽じゃったかもなぁ‥‥‥」

「グゲェグゲェ」

「ツボ押しで、指が疲れたでありんすよ‥‥‥‥」

「氷製造するより、普通に水、汲んできた方が早かったかも」

「馬車を牽引した疲れが今さらになって出てきた…‥‥」

「水魔法よりも、水を普通に引いてきた方が早かったかもしれないぜ…‥‥」


 全員、同じ部屋でぐでーっと死屍累々のように倒れ込んでいる。


 それぞれ自室を持っているはずだが…‥‥何故同室で一斉にん倒れてしまうのだろうか。いや、こちらも疲れているし無理はないかな…‥‥。


「全員/疲労。肉体/大変」

「一応死体の身であるゼネも倒れているようですが…‥‥疲れたのは同意しますネ。メイドゴーレムの私も、流石に疲れ果ててマス」


 流石に全員、今回の件で疲れ果てたようだ。


 この大人数だとちょっと部屋が狭いが…‥‥それぞれ壁に張り付いたり宙に浮いたり、あるいは座り込んだりしてスペースを確保しているし、問題があるわけでもない。


 しいて言うのであれば、ちょっと距離が近いような‥‥‥‥まぁ、特に気にしなければ良いだろうし、このまま寝ても良いだろう。


 そう思いつつ、俺たちは全員安心感故の眠気にいざなわれ、そのままぐっすりと眠り始めるのであった‥‥‥‥


「一応、こういう時こそ狙われる可能性がありますので、今回の精神系の魔道具を参考にした不審者撃退用トラップを作動させておきますネ」

「ちょっと待て、それどういうトラップだ?」


‥‥‥前言撤回。眠りこける前にそれの詳細を聞いておこう。明らかにやばい物が出来上がっている気がするからな。


とりあえずここまでやったし、後は国へ丸投げだ。

褒美とかよりも、今はゆっくりと休みたい。

再生医療だとかちょっとした技術のやらかしはあるだろうが…‥‥考えたくはないなぁ‥‥‥




‥‥‥立て直し、大変そうだけどそこも完全に丸投げ。どうなってしまうのやら‥‥‥

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― 新着の感想 ―
[一言] もうゼネは国の重要人物の召喚獣という立場を使って、一片あの妹達を訴えてこい(笑)
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