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182 報連相は大事です

「…‥‥冬期休暇が始まってまだ間もないのに、まさか早々にこんな連絡が来るとはなぁ‥‥‥」

「見つけてしまったから仕方が無い事なんだよなぁ…‥‥」


 王城内の応接室にて、第2王子(グラディ)第1王子(ゼノバース)が、こちらからもたらしてきた報告を聞いて、はぁっと呆れたように溜息を吐く。


 前の夏の時のようにリリスの箱の中に全員入らず、ノイン御手製の装備で俺とノインだけが共にここに来たのだが…‥‥



「塩か‥‥‥考えて見れば、これも結構貴重な材料とかになるのかもね。組織の人数次第では食料に必要なものにはなるだろうし、この流れの方を捜しても良かったかも」

「商人からの流通経路なども見ていたが…‥‥そうか、その流れも考慮すべきだったか」


 ハイガドロンから得た、仮面の組織フェイスマスクでの新しい情報を聞きつつ、溜息を吐く王子二人。


 まぁ、色々と面倒な組織でありつつ首都内ですでに被害を出したこともあったりする分、国としてはさっさと対処して潰したいのだろうけれども、なかなか相手は隠れるのがうまく、逃げられたりするようだ。


「っと、そのハイガドロンがいた森って、ディー君の村の近くだよね?」

「ああ、そうだ」

「となると、あのあたりは既に監査が入っていたはずだが…‥‥その前に爆破したとかなのだろうか」


 先日の研究所の発見時に得た多くの資料。


 それにはどうも、国内のあちこちに秘密裏に建設されていた組織の建物の位置があったようで、それらを確認するために国は動いていた。


 そしてある程度の設備を発見したり、色々と販売中だったらしいヤヴァイ類を回収できたりはしたそうなのだが…‥‥いくつかは既に放棄されていたり、爆破されていて失われていたそうだ。


 で、俺たちの村の近辺にも実は存在している可能性があったそうで、つい先日に確認に向かわせ、無かったと判断されていたようなのだ。



「となると、あのハイガドロンは見つけるよりももうちょっと前に出ていて‥‥‥」

「王城のからの確認する人たちが来る前に、証拠隠滅されていたということになりまスネ」

「ああ、そういうことだ」


 他の施設の押収などをしているので、情報がすぐに伝わって撤収されたりする程度であれば良い方だ。


 問題なのは、ちょっと外部に情報が洩れている可能性もあるようで、そちらが無いか確認もしており、色々と大変なようだ。



‥‥‥まぁ、ほとんど国任せでいいけどな。こちらとしては色々と巡り合いすぎたり薬を打たれたりしたので、できれば関わりたくはない。





 とにもかくにも、ある程度の報告もし終え、村に帰るつもりだったが‥‥‥その前にちょっと気になることがあったので、そっちの話題を出すことにした。


「そう言えば、今は冬期休暇中だよな?」

「そうだけど?どうしたのディー君」

「いや、夏季休暇の時に第3王子(エルディム)第1王女(ミウ)がいたと思うけど、まだ帰ってきていないのかなと思ってな」

「ああ、3日後には妹のミウの方は帰って来るよ」

「とはいえ、エルディムの方は…‥‥」


 っと、何やら第3王子の言葉を出したところで、王子二人は苦笑したような顔になる。


「何か問題でもあったのか?」

「問題というべきか、何と言うか」

「拗らせていたものを余計に悪化したというか‥‥‥‥」



‥‥‥一応、内容が内容だけに、万が一の可能性を考えると外部に洩らしたくはないらしい。


 とはいえ、これまでの功績や信頼などもあって、俺たちに説明してくれたが…‥‥



「‥‥‥え?噂に出たお宝探しに、ダンジョンへ突撃中?」

「ああ、そのようだ」

「あの弟、性癖を色々とこじらせているからねぇ…‥‥それを満たせるようなお宝の話が出て、喰いつかないわけがないんだよ」


 どうやら第3王子(エルディム)は現在、留学先から帰郷する途中にあるとある国で発見されたダンジョンに入っているらしい。


「『アラブルディア帝国』っていう、帝王政をとりつつ、実質は軍が政権を担う軍事国家なんだけど‥‥‥」

「その国内で発見された『リリペディア』っていうダンジョンに入ったんだ」


 いわく、元々はただ通過する予定だったが、その国の村を通った際に、何故か異常に子供の人数が多いところを発見し、立ち寄ったらしい。


 あの第3王子、一応ロリコン、ショタコンというようなものを混沌にした性癖を所持しており、それに滅茶苦茶刺激されたようだ。


 で、そこで色々と話を聞くと、その子供たちは何と驚くべきことに、元々は老人だったらしい。


 だがしかし、そのリリペディアから持ち込まれたとあるお宝によって、全員劇的にアンチエイジングしすぎた状態になって、子供だらけの場所になったようだ。


「そのお宝、正確にいうと極めて気化性の高い薬品で、ダンジョンから見つかったけど効能がどの様な物か調べるために輸送中、ついうっかり割れて、ガスとなってしまったようだ」

「で、それが全部吸われちゃって、子どもだらけの村が完成したという訳だ」


 効能的には効きすぎる若返り薬のようなものであるが、そんな話を聞いて第3王子が食いつかないわけがなかった。


 もともと子供好きを拗らせまくった変態なような王子であり、老人を子供にできるような薬品を物凄く欲しがった。


 そして出所を探りまくった結果、リリペディアというダンジョンから産出したものであるということを突き止め、手に入れるためにダンジョンに入り込んだそうな。



「…‥‥一国の王子が、他国にあるダンジョンに潜るってどうなんだろうか」

「一応、国際問題にはならないよ。というかあの軍事国の場合は実力さえあれば受け入れまくるようで、むしろその突撃した理由が何にしろ、一人で入ったその勇気がすぐに耳に入ったようで」

「気に入られたのか、大笑いした内容の手紙が届けられたんだよな」


 図らずも、一人の欲望による暴走が国交の役に立ってしまったらしい。


 というか、帝国でありつつ、軍が政権を担う軍事国家でもあるというが、規律が厳しいかと思いきやそんなものに笑ってしまうって‥‥‥なんか詳しく聞いたらまだ愉快な話しが掘り起こされそうだ。


「何にしても、そのために第3王子はダンジョン突撃中で、当分帰ってこないな」

「だから、妹を待つだけでいいのは気が楽だよ」


 王族の中でもまともだったというか、ツッコミ属性がある第1王女(ミウ)


 彼らにとって大事な妹の帰郷の方が最優先なようで、第3王子は無難に帰ってくる程度で良いらしい。




‥‥家庭内というか、王族内のヒエラルキーの存在というべきか、そんなものを垣間見てしまったような気がするのであった。


「ああ、あとちょっと聞くけどディー君、そのハイガドロンって召喚獣にする気なのかな?」

「したいとは思うんだけど…‥‥今までの例を考えると、ちょっとし辛いんだよなぁ‥‥‥」

「サメが人型になる可能性か…‥‥流石に無いとは思いたいが、今までの例を報告されているこちらとしては、どうなんだろうか‥‥‥」

「でもディー君の事だし、斜め上の結果で『シャークマン』とか『グランドジョーズマン』になったりするかもね」

「サメに人間の手足が付いて、勇猛果敢な海の戦士と化したモンスターだったか?あれはあれでどうなんだろうか‥‥‥」


‥‥それはそれで、容姿的な問題があるような気がしなくもない。でもちょっと気になるというか、面白おかしい姿らしいので見たいような…‥‥うーん、召喚獣にした方が良いのかなぁ‥‥‥?




‥‥‥ここは思い切って召喚獣にした方が良いのかもしれない。

サメのモンスターだし、場合によってはかっこいいものになる可能性が高いのだ。

でも、奇妙奇天烈な類になる可能性も実は大きいんだよなぁ‥‥‥



‥‥‥シャークマンを簡単な説明で表すと、サメに人間の手足が手抜きのようについたモンスター。

勇猛果敢であり、威風堂々、正々堂々としている

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