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167 それは何処かでやらかした感じがして

本日2話目

たまにこうやって連続でやる時もある。

‥‥‥予約投稿で明日にしてもいいけれども、なんか出したくなるんだよね。

「ダニダニダニ、色々と話もあるが、起きたのであれば時間は惜しいダニィ。そちらの召喚獣についての情報も色々ある事だし、さっさと動かないと不味いダニィ」


 ダニの体をブルッと震わせ、俺の体を持ち上げ、用意していたらしい台車の上に載せられた。


 そのまま台車を引き始め、何処かへ運搬されるようである。


「とはいえ、せっかくまともな人間が来たのだし、ちょっとは施設の案内をしてやるダニィ。この組織のモットーとして、『来訪されたお客様には、丁寧な施設説明を!』とあるからダニィ!!」


‥‥‥秘密裏に地下室を作るなどした組織が、そんなモットーで良いのだろうか。


 とはいえ、何かしてくる気のようだし、それでも身動きが取れないし、せっかくなので説明してくれるのであれば聞いておいた方が良い。


 無駄に動いて体力を消耗しようないように気を遣いつつ、その説明を俺は聞き始める。


「では術室へ向かう間に色々とあるから、そこを手短に説明するダニィ!」



…‥‥術室とやらが何なのかは嫌な予感しかしないが、俺はその話を聞いていく。


 この施設は仮面の組織フェイスマスクの有する怪物製造工場‥‥‥ではなく、その怪物を製造する前に、どの様な物が出来上がるのか、様々な試作品を作り出す研究所らしい。


 ここで合格を貰ったモノだけが表にというか、組織で使用され、怪物を生み出すようだ。


「右手に見えるのはぁ、先日生み出しつつも廃棄処分となった怪物『ドモッグ』!!モグラとトカゲ、ヘビーヴァイパーなどを混ぜたやつだったけれども、制御が難しく、職員数名を食べたヤヴァイやつダニィ!!」


 示す方向を見れば、天井から吊るされている怪物を黙視する。


 ミイラ化しているようだが、アンデッドにはならないように色々と処理はしており、失敗作でありつつも今後の研究の糧として保管するらしい。


「ここの左手には、施設発足時に作成されつつ、何故か大失敗に終わった怪物ダニィ!!あ、名前を付ける前に、自害されたから、名無しダニィ」


 そっちの方向をみれば、人間の骨格模型のように見えつつも、色々とあってはいけないような骨が組み合わさった標本があった。


 元はとある人間だったようだが、怪物化で心が壊れ、自殺したらしい。



「そしてこっちの上には、大空を舞っていた旧型飛行怪物『ドステラドーン』ダニィ!!ああ、でも今は飛行運搬用にステルス性能が求められて、全部廃棄処分になって、標本のあれしかいないダニィ」


 上の方を見れば、天井に骨格標本があった。


 ドラゴンのような形状だが、頭の部分が粉々になっており、尻尾の方も骨が変形しまくって、元が異形の怪物であったことが推測できた。


‥‥‥というか今、さらっと飛行運搬とか言っていたけど、堂々と空をもっと別の怪物が飛んでいるのか?嫌な情報を聞いてしまった気がする。




 とにもかくにも運ばれる間にも、ダニ怪物もといこの研究所のトップでもあるらしい開発部主任のダニエリーゼとやらは、上機嫌になって説明していく。


 うん、色々とこういう施設にいていいのかと言えるような性格をしている気がするが、それでも意気揚々と怪物を作り出していたとか言う話を聞くと、人として大事な物が無くなっているような気がする。


 いや、ダニの体になっている時点でおかしいというか…‥‥道中で語ってくれた話によれば、自分自身を実験台にした結果が今の姿らしい。


 大抵の怪物化が人格も何も残していないことが多いが、このダニエリーゼは数少ない成功例として、組織の中でも上の方に立っているようだ。


「っと、まだまだサンプルなどがあるのに、もう術室に着いちゃったダニィ。惜しいけれども、時間もないと考えられるし、良いところで切り上げておくダニィ」


 ある程度聞き終えたところで、どうやら目的地へ着いたらしい。


 時間もないという部分が気になったが、顔に出ていたのを読んだのか、そこも答えてくれた。


「その鎖とか色々と仕掛けがあるのダニィ。そうでもしないと、君の召喚獣ってやばすぎて、ココを見つけた瞬間に暴れまくってしまダニィ。なので、そうなる前にさっさと終わらせようとしているだけダニィ」


 この場所を特定して、来ただけで暴れるのは‥‥‥いや、ありえなくもないな。


 というか、この状況って既視感があると思えばあれだ。ゲイザーに飲み込まれた時の奴だ。


 あの時とも確か、体内で動いている中で、外でノインたちがそれはもう恐ろしい暴れっぷりを見せたとも聞くが‥‥‥もしかして今、彼女達が本気で暴れようとしていないか?



 考えていると、ダニエリーゼがいったん外に出て、その場に俺は置かれる。


 何かをするらしいが、その何かがろくでも無い事ぐらい、理解している。


 なので、どうにかして反撃の糸口を見つけたいのだが…‥‥



じゃらじゃらぎりぃ!!

(‥‥‥全然ほどけないし、鎖を外す方面は無理か)


 ノインの装備を付けていれば、簡単に外せただろうが、この状況で付けているわけもない。


 ならば、彼女達を召喚できればいいのだが、口の方は口枷があり‥‥‥これをどうにかしないといけないだろう。


「もぐが‥‥‥もぐがあああ!!」


 舌だけは自由に動いたので、なんとか外せないかと試行錯誤してはいる。


 運ばれている最中に、その情報を聞きながらも、挑戦していたのだが、まだ外れる気配はない。


 どうにかしないと手遅れになりそうだし、なんとかできればいいのだが‥‥‥



「おっまったせぇダニィ!!」


‥‥‥うん、短い抵抗の時間であった。相手の方が早かった。


「もぐぐぁ?」

「あ、これかダニィ?」


 俺の目線を追って、何を言いたいのかダニエリーゼは理解したようで、それを高らかに持ち上げる。


「これぞ、出来立てほやほや新鮮な怪物化薬『オーガニック0235』!!計算上、撃たれた人間は命令通りに動くだけの、怪力の怪物になってしまうはずの薬ダニィ!!」


 巨大な注射器を持ち上げ、誇らしげに言うダニエリーゼ。


 ちょっと説明を聞くと、人に物凄い怪力を与える代わりに、自我を奪い、命じられて動くだけの人形に変えてしまう怪物化の薬らしい。


「もがぁ!?」

「あ、自我を奪うといっても、どうなるのかまでは良く分かっていないところもあるダニィ。まぁ、君はどうやら組織にとってのお邪魔虫でもあるし、この薬の拒絶反応で亡くなっても、生き延びて人形になっても、どっちに転んでも美味しいので問題はないダニィ!!」

「もっがもがぁぁあ!!」


 問題大有りだと叫びたいのに、口枷が外れないので全然言えない。


 そうこうしているうちに、背後に回り込まれ、背中の部分にヒヤッとした感触を感じ取った。


「さてと、大概は経口摂取とか、腕にぶすりとやるけれども、今回は初の試みの脊椎投与!!背中からゆっくりと薬を味わってもらうダニィ!!」

「もっがぁぁぁ!?」



 何を考えているんだとか、打たれたくもないので暴れようとするが、鎖でぐるぐる巻きにされているうえに、だてにダニの体をしていないのか、全然答える気配もない。


「さぁ、いくダニィ!!」


 ぶぉんっと大きく素振りをした後、一気にその針が背中に突き刺さった。


「もっがぁあああああああああああああああああああああ!!」


 物凄く極太な針ゆえか、強烈な激痛が背中に走り、何かの液体が注入される感触を味わってしまう。


「っと、効果が出るまで、安全のために隔離するダニィ!!」


 注射器の液体を空っぽにした後、ダニエリーゼはすたこらさっさと退出し、ガチャリと重い鍵の音が響き渡る。



『あー、結果が出るまで、計算上あと3時間程度ダニィ。薬の効果自体は出始めるだろうけれども、それまで死ぬか自我が失せるか、どっちかになると思うので、それまで別の方で動くことにするから、ちょっとさらばダニィ!!』

 

 何処からかそんな声も響き渡り、ダニエリーゼの気配が消えうせる。


「も、もぐ…‥‥がはっ、があああああああああ!!」


 それと同時に、薬の影響なのか全身に強烈な激痛が走り始めた。


 どうやら怪物化か、それとも死亡かのどちらかが起きるようで、この痛みはその前の段階にあるのだろう。


 針を刺されるような、切り裂かれるような、骨を砕かれるような‥‥‥想像しうる限りのありとあらゆる痛みが全身に走り、鎖で固められながらもびったんばったんっと体が動き、物凄く苦しくなっていく。


「がっはあああああああああ!!」


 焼かれるよりも熱く、それでいて電撃で痺れるよりも痺れ、あまりの苦痛に狂いそうになるのだが、狂う事も許されないのか、意識がはっきりしたまま。


 けれども作用は出ているのか、自我を消そうとしているのか、自分が自分で無くなるような感覚を味わいかけるも、まだ何とか息はある。


「うっがぁぁぁぁぁぁぐっつ!!」

ばっきぃぃぃぃ!!


 っと、あまりの激痛故の火事場の馬鹿力なのか、口枷をかみ砕いた。


 口の中に血の味が広がるが、なんとか意識が消えるのをこらえつつ、まだ何とかできる舌で言葉を紡ぐ。



‥‥‥この既にやられてしまった状態で、正常にできるのかも怪しいだろう。


 この世のありとあらゆる苦痛を受けているが‥‥‥それでも、召喚獣たちを頼るだけの…‥‥力はある。


「し、しょうか、があぐっぐぁあああああああああ!!」


 頭の中にも激痛が走り、もはやまともには考えられない。


 自分の意識が砕かれるような状態になるが‥‥‥‥それでも、何とか、‥‥‥呼ばないといけないのだ!!



「し、っぎわああががっつ!!あああ、AAAAAAAGAHHHA!!」


 もはや、まともに発音できるかも怪しい。


 けれども、やらねばいけないし、このまま人ならざる状態になったとしても‥‥‥‥自分は失いたくない!!


「ぎfagaaaaaAAAAAAA、ぐっつ、っがは、『召喚!!ノイン、カトレア、ルビー、ゼネ、リリス、リザ、アナスタシア、レイア!!』今すぐここへこぉおおおおおおおい!!」


 何とか自分が自分である隙に、一気にまとめて全員の名前を上げる。


 それと同時に魔法陣が浮かび上がり、彼女達を呼びだすが…‥‥もう、この時点で、自分の自我はあやふやになり、苦痛で考えられなくもなるが‥‥‥それでも、呼びだすまではできた。


「今すぐに、できる限り対応をしろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおががああああaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!!」


 彼女達の言葉を聞く前に、完全に自分が喰われかける。


 猛烈な激痛にやられ、ぶつりと意識が飛んだその瞬間、最後に見たのは彼女達の姿。


 全員を呼びだせたようだが、目も痛く視界もぼやけていく中、それでもはっきりと全員の声を耳にした。


 了解、っといつものように、俺の命令を聞いたときの言葉が。


 それでいてその顔は、この状況を瞬時に読み取ったのか、戸惑いつつも周囲へ怒りを向ける顔があった。



‥‥‥ああ、こういう表情をすることもあるのか。そりゃ、ゲイザーの時に恐れる奴も出るだろう。


 でも、そう言う表情は似合わないだろうな…‥‥彼女達に合うのは…‥そう、皆で楽しみ合っていた時の‥‥‥あの笑顔ぐらいで…‥‥で…‥‥




「…‥‥私の召喚主(ご主人様)に」

「わたくしの召喚主(マスター)に」

「拙者の召喚主(主殿)に」

「儂の召喚主(御前様)に」

「グゲェ」

「わっちの召喚主(ダーリン)に」

「「私たちの召喚主(マイロード)に」」

「「「「「「「「何をしたぁぁああああああああああああああああああああああ!!」」」」」」」」


‥‥‥あ、ちょっと被って‥‥‥ああ、誰、だっ‥‥‥け‥‥‥

‥‥‥開かれるは、パンドラの箱。

壊したのは、全てを破壊し蹂躙する竜の逆鱗。

それで開錠するのは、地獄の門。

さぁ、始めようか、蹂躙を‥‥‥‥




…‥‥状況即理解&超激怒。

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