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11 いやな予感というか、面倒事は自ら突き進んでくる

…‥‥風呂場での、まさかの学園の生徒会副会長にして、このヴィステルダム王国の第2王子に出くわしたうえ、何やらノインに関しての興味を持たれてしまったらしい翌日。


 ディーは、本日はノイン製ではない普通の朝食を寮の食堂で食べていたのだが…‥‥



「おっはよう!」

「‥おはよう」


 ああ、そりゃ出くわしますよね。


 ここ、寮の食堂‥‥‥寮生となってここにいるのであれば、当然出会う事はあるよね。




 昨日の今日で、俺は再び第2王子のグラディに再会しました。



「なんのご用件で?」

「ん?そんなにかしこまらなくても良いよ。僕はここではあくまでも生徒であり、王子の立場に胡坐をかいて座っているわけではないからね。どこぞやの馬鹿な…‥‥いや、あれはまぁ別にどうでもいいとして、ここでは普通に友人として接して欲しいなぁ」


 そう言いながら、にこにことするグラディ。


 気軽に接すればいいのならば、それで良いかもしれない。‥‥‥なんかさらっと、何処かの非難を言いかけていたけど、王子だけに何かとあるのかな?


「ふむ、あなたが昨日、ご主人様と風呂場で話されたという王子ですカ。すでに収集したデータでは、確かにこの国の第2王子のようですガ、何かご用件でもあるのでしょうカ?」


 いつの間にというか、情報を収集していたノインに対して、グラディは顔色変えることなく、彼女の方へ向いた。


「その通り。ちょっとばかり生徒会の副会長としての立場で話し合いたいことがあるけど‥‥‥都合のいい時間ってあるかな?」

「‥‥‥放課後あたりぐらいなら、多分大丈夫かと」

「そっか、じゃあ放課後らへんで生徒会室へ来て欲しい。兄上も興味を持って、ちょっと話したいことがあるからね」


‥‥‥第2王子の兄ってことは‥‥‥第1王子かよ。


 何で朝っぱらから、この国の王子に興味を持たれ、話すことがある羽目になるんだと俺は少々嘆きたくなるのであった。


 いや、相手が王族ならば、田舎育ちの平民である俺に話があるのは良いのかもしれないよ?


 でもね、この興味を持った元凶が、俺の召喚したメイドの方だからなぁ‥‥‥嫌な予感しかしないのは気のせいだろうか。


「ノイン、何が待ち受けていると思う?」

「そうですね‥‥‥昨晩、収集した情報では、吉報としてはこの国の王子たちは真面目でかつ、成績優秀・品行方正ということであり、そこまでの無茶ぶりをかけてくることはないと推測できマス」

「吉報?じゃあ、凶報としては?」

「腹黒さが、生徒会に所属していない王女も含め、かなりまっくろくろすけであるらしいという事デス。因果応報・自業自得ですがやらかした権力者たちを罠に嵌めて盛大に成敗しまくっている記録が、他国の似た様な方々と争い中でしょうカ」


‥‥‥いつの間にそれだけの情報を集めたんだというツッコミはともかく、その凶報の方は聞くべきではなかったかもしれない。


 というか、なんだその悪人罠嵌め記録って?え、既に2ケタ台?それってその数の悪人がいたことに驚くべきか、その話している各自の結末に驚くべきか、どこにツッコミを入れろと?


 何にしても、放課後の面倒そうな予感に、俺は深い溜息を吐くのであった‥‥‥‥


「‥‥‥まぁ、観察される程度(・・・・・・・)ならば、まだいいですガ」

「ん?何か言ったか?」

「いいえ、何もないデス」











「ふんふ~ん♪ふふ~ん♪。あ、兄上ー」

「ん?どうした弟よ?」


 朝食後、授業開始までの時間が空いている中、第2王子のグラディは、さっそく食堂にてディーと話した内容を報告すべく、彼の兄の寮室へ突撃していた。


「すでに噂になっている、新しい召喚士との話し合いの場を設けることに成功しました。昨日の風呂場で話した感じでは問題ありませんでしたが、一応兄上との面識を持っておいたほうがいいと思いましたが‥‥‥」

「ああ、なるほど。ありがとうな弟よ。だがしかし、兄の代わりに場を設けたからといっても、次期王位の座はコチラが狙っているからな?」

「ええ。わかってますよ兄上。ですが、その言葉はそっくりそのまま、そちらへ返しますよ。あえて敵へ塩を送り、寛大さを見せているような物ですからね」

「ふ、言うようになったな、弟よ」

「いえいえ、兄上の方こそ」


 見た目的には、ぎすぎすした関係性の無い、良好な兄弟仲の風景。


 だがしかし、彼らをよく知る王城の者たちなどから見れば、それはそれは、たいそう黒い笑みであり、その背後にはそれぞれ猛獣が牙をむいて狙っている光景に見えただろう。


「そうそう、その召喚士の召喚獣ともちょっと話した感じ、あちらも情報を集めていたようですが‥‥‥隠れて(・・・)観察していた影の者たちに気が付いたようで、主である召喚士に見せることなく、威圧を飛ばしてましたよ」

「ふむ‥‥‥お前の方についた影の者たちは実力者だが…‥‥それを見ぬくとは、その召喚獣であるメイドただものではないな。いや、報告を聞く限り当り前と言っていいのかもしれない」

「ええ、ですので兄上も、何か馬鹿な真似をしないほうがいいと思います。茶番を装ったところで、おそらくメイドの方に撃墜され、完全に敵対され、僕の方へ付いて、兄上の王位継承間をけちょんけちょんの木っ端みじんにしてしまうでしょう」

「最後の方はどうかと思うが‥‥‥まぁ、その忠告は受け取っておこう。どこぞの馬鹿のような、マッチポンプと言ったか、そういう事はするつもりはないからな」


…‥‥彼らとて、一応この国の王子たち。


 王位継承権を争う仲とは言え、それが原因で国を滅ぼしては元も子もない事を、彼らは良く理解しているのだ。


 次期王位を狙うために争いつつも、互に国の危機になりそうなことに関しては阻止すべく動き、余計な事をしないように釘を刺し合う。


 ゆえに、この忠告は互いのためになると理解し合いつつ、放課後のその時に備えて動き始めるのであった。


「あ、弟の方はどうでしょうか?」

「ちょうど今、留学先で害になりそうなやつを見つけ、処分の準備をしていると手紙が父上の方に来たようだ。こっちからその召喚士の情報を送っていないが、知ったらそれはそれで、そいつを連れてやってきそうだし、どうすべきだろうか」

「継承権を下げたいならば来させて対立を狙うべきでしょうけれども‥‥‥まぁ、あのメイドを見る限り、それをやらかせば下手すると僕等にも飛び火しますね」

「それを狙ってくるかもしれんな‥‥‥こっちから連絡をよこさずとも、あっちで手に入れる可能性もあるからな‥‥‥警戒しておくか」


まだ数日しか経ってないが、俺はある可能性を考えた。

召喚獣としてノインを呼んだが、もしかしてもっと別物を呼び込んでしまったのではないのだろうかと。

そう、「面倒事」を召喚しているのではないかと…‥‥


‥‥‥あと数話ほどで、一旦人物設定に関して軽くまとめる予定。

名前が出てくると、誰が誰か分からない事態になる事もあるしね。

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