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125 単純そうでも仕込み大変なものはある

‥‥‥怪物騒動から一夜明け、その騒動の中心部を元にして、あちこちで洗浄作業が行われていた。


 色々と戦闘中に解析し、ノインがまとめ上げたデータを元に、怪物に対抗できそうな液体を思いつき、リザとゼネの協力で作成して、ぶっかけたことまではまだよかった。


 どうも今までの怪物たち以上に、アンデッド系に近かったようで、聖属性たっぷりな、元聖女でもあるゼネの色々な魔法を込めつつ、アンデッド特攻酒を入り交ぜたものは効果は抜群だったのであろう。


 だがしかし、それはあくまでも討伐するまでの話であり、その討伐前後で発生した悪臭の消臭までには至っておらず、沈黙させたとは言え、その清掃作業が残っていたのである。


 あちこちで薬草の粉末を振りまいたり、水をかけてある程度汚れを落としたりと、事後処理が大変なのはどのような騒動であれ、おそらく変わりない。


 まぁ、比較的怪我人も少なく、割と良い感じに終わったのは良かったのだが‥‥‥‥





「‥‥‥全治、1週間ですネ。アンデッド特攻液体、自身も加わって作成して、それに自ら効果を示してしまうのはやめてくだサイ」

「不可抗力だったのじゃ」


 ぐるぐる巻きに包帯を巻かれた足を見つつ、ノインの診察結果にゼネがそう答える。


 怪物退治の際に使った液体に、うっかりゼネが足を踏み入れてしまった。


 ゼネ自身、元聖女とはいえ今はアンデッドの仲間でもあるので、アンデッド特攻の液体は効果は抜群だったようで、重傷を負ったのである。


 幸い、足だけで済んだので、なんとか治療も集中的に行えたのだが‥‥‥


「うう、当分車椅子暮らしかのぅ」

「そもそもアンデッド系なのに治るのかという疑問があるのだが‥‥‥」


 ‥‥‥全て無事とはいかず、完治までに1週間を費やす羽目になったようであった。


 なお、死体が自己再生するのかという疑問はあるが、難しい説明がいるらしい。まぁ、この面子でゴーレムとか植物とかいるし、そのあたりは考えない方が良いであろう。






 何にしても、怪物を討伐したのは良いのだが、騎士団の調査によれば、肝心な仮面の者は一人しか確保できなかったようである。


 というのも、あの悪臭放つ怪物にほぼ喰われてしまったようで、辛うじて生き延びているのがその一人しかいないそうな。



「今は尋問されているようですが、どこまで情報が出るのか…‥‥あまり期待できまセン」

「というか、事故に近い形で、爆誕させたようですわね。なんて迷惑な」

「勝手に自滅されると、これはこれで面倒でござるなぁ…‥‥」


 ひとまず情報が聞き出せないか探っているようだが、どうも今一つ情報を持っていない下っ端らしいというのが確定しているらしい。


 喰われたという事は死んでいる者もいるので、以前の馬鹿貴族の時のようにゼネにどうにかできないかと聞いてみたが、こちらでも駄目だそうだ。


「悪臭が凄まじすぎたのか、それとも取り込まれて一体化しておったのか‥‥‥残念ながら、霊とかもいないようじゃし、探れんのじゃ」

「後者はまだわかるけど、前者の方は?」

「除霊じゃろうなぁ。凄まじい悪臭は魂だけになっても分かるレベルじゃったし、天へ逃げて行ったとしか思えぬのじゃよ」


 既にこの世にはいないというか、そんな除霊方法はありなのかとツッコミを入れる。


 なお、正規の方法でも実は同じ浄化方法があるらしいという回答を貰ってしまった。知りたくなかった、そんな情報。



 とにもかくにも、今回世間は騎士団の方に注目を向けてくれているらしい。


 俺たちは最後の方で、とどめを刺す意味で出ただけであり、前衛で頑張っていた騎士たちに今は称賛が向けられているらしいのだ。


 べつに俺たちは目立ちたがり屋でもないし、騎士の方だけに注目を向けてくれればいい隠れ蓑になるだろう。


 騎士たちは騎士たちで、あの現場で出てきた俺たちに色々と言いたいこともあるだろうが、それでもこの世間の目を考えればすぐに動きにくいだろうし、何もしなくても良い。


 一応、褒賞は確定したらしいが‥‥‥まぁ、特にそこまでなくても良いかな。


 ひとまずは騒動を終え、組織の手がかりを手に入れらえそうなことに、喜ぶべきだろう…‥‥



「‥‥‥そう言えば、バカ3代貴族は?」


 忘れていたけど、攫われていたって情報があったはず。


「地下室の奥の方に、ギリギリ助かっていたようデス。材料にされかけていたようで、あちこち欠損していたそうですが、生存が確認されまシタ。ついでにあの現場の濃度の高い場所にいましたノデ‥‥‥」


 森林国を脅かしていた組織と繋がろうとした罪などを考えると、助かっても極刑は免れないらしい。


 ただ、あの激臭漂う空間で辛うじて生き延びていたせいで、重度の汚染というべきか、悪臭が染みついてしまい、処分したくとも人が近づけないようだ。


「それはそれで、悲惨な末路だよなぁ‥‥‥」


‥‥‥ある意味、こちらの問題も解決したような形ではあるが、殴れなかったのはちょっと惜しかったかもしれない。いや、汚物と化しているのであれば殴らないほうが良いか。

殴り損ねたが、処分される末路なら別に良いか

でもよく助かっていたなぁと思うところもある。

何にしても、こうも面倒なのが来ると対策したいところだな…‥‥



‥‥‥包帯巻き巻き、ゼネの足。どう再生していくのかちょっと気になる処でもある。

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