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116 新しい風が吹く中で

「留学生?」

「そ、どうやら新しく来るそうだぜ」


 寮の食堂にて、悪友のバルンと共に朝食をとっているとそんな話題が出てきた。


 各国にある適正学園ではあるが、その授業内容は国によっては異なる点もある。


 ゆえに、その際の部分に関して学べるところを模索しようという名目で、他国の者が留学してきたり、逆にこの学園から他国の学園へ留学して出向くことがある。


 分かりやすい例であれば、この国の第3王子と第1王女だが‥‥‥それぞれ普段は違う国の適正学園の方に通っているようであり、それぞれでしか学べないような事を収集、学習しているようである。


 そんな中で、今回噂に挙がっているのは、新しい留学生の話。


 他国からの留学生というのもあり、噂にはすぐに上がるのだが…


「各学科に色々と入り込んだらしいが、ちょっと期待しているんだ」

「何にだよ」

「新しい出会いにだ!だって色々とちょっとアレなことが多いけど、お前のようにこっちも綺麗な女性に囲まれてみたい、出会いたい!!まだ見知らぬ地で優しく出来れば、それこそいい関係を構築できるチャンスなんだ!!」


 ぐっとこぶしを握り締め、そう力説するバルン。


 そして周囲の男性生徒たちも同意しているのか、うんうんと深く頷く。


‥‥‥ちょっとアレ、という点は否定しないが、そう都合よくいくのだろうか。


「そもそも、別の学科に所属された意味ないんじゃ?」

「それもそうかもしれないが‥‥‥それでも、チャンスがあるならばやった方が良いだろう!!」


 武闘家学科になのか、それとも別の学科に来るのかはわからないが、まず出会えるかどうかという問題。


 いや、そもそもその相手が男子なのか女子なのか分かっていない時点で不安要素しかないのだが‥‥‥ツッコミを入れないでおくか。いつものように諦めてではなく、友人として温かい目で見守ってやるのが良いのかもしれない。


 そう思いつつも、朝食の場で力説したバルンに感化されたのか、周囲の男性生徒たちも何やらやる気に満ち溢れているように見えた気がしたのであった。



「‥‥あえて言いたいのですが、会話的にちょっとアウトな気がしますネ」

「思惑を持って、堂々と来られて喜ぶ女性っているのかしら?」


 そこ、分かっているから口に出さないようにしておけ。









‥‥‥なにはともあれ、各学科に新しく留学生が来るせいか、本日の授業内容は各学科合同のものになっていた。


 模擬戦もしつつ、互いの技量を確認できるやつではあったが…‥‥


「あ、久しぶりニャ!」

「‥‥‥ルナティア!?」


‥‥‥まさかの、今回の合同する弓兵学科に、ルナティアの姿があった。




 森林国の怪物騒動の際に行動を共にし、終了後には帰国した猫獣人の彼女。


 弓兵の中でも珍しい風を纏うタイプの弓を放つ彼女ではあったが‥‥‥話を聞いてみれば、留学生の一人のようで、森林国からここへ留学しに来たらしい。


「なるほどなるほど‥‥‥ついでに聞いて良いか?」

「何ニャ?」

「他の学科にも留学生は訪れているとは思うけど、武闘家学科の方には?」

「いないニャ」


 あ、これ出会いないやつだ。バルン、お前の野望は速攻で終焉に向かったぞ。


「哀れ、バルン…‥‥」

「何の話だニャ?」

「いや、こっちの話」


 聞いて良いものでもないし、話すようなものでもないからな‥‥‥‥うん、気にしないでおこう。



「それはそうとこっちも、良いかニャ、ディー」

「なんだ?」

「…‥‥前に比べて、明かに増えているんだけどどうなっているニャ?」


 疑問を挙げつつ、こちらの事情もちょっと知っている彼女が見るのは、リザにアナスタシア。


 そう言えば、森林国騒動の時からこっちも増えていたが…‥‥


「‥‥‥ま、色々あったんだ」

「色々って何がニャ?何をどうしたら増えているんだニャァァァ!!」


‥‥‥ツッコミを入れられても、仕方が無い事であった。しかし、第1王女に比べるとやっぱりツッコミの切れが少し物足りないような‥‥‥まぁ、良いか。











‥‥‥ディーがルナティアに再会し、彼女から様々なツッコミを入れられている丁度その頃。


 騎士学科の方では、第2王子兼副生徒会長のグラディが、留学生と模擬戦を行っていた。



「ふぅ、中々なやるね」

「そちらも、中々だな!」


 木刀とは言え打撃音はすさまじく、一進一退の攻防にその場に居合わせた生徒たちはその様子に目を惹かれる。


 新しい留学生は、デオドラント神聖国からやって来た職業「騎士」のラン。


 人間ながらもその力は強く、重装備の騎士鎧を着こみながらも動きは素早い。


 ただ、そんな強い相手に対応できているグラディも実力はあり、互に力量は認め合った。


「まぁ、これで倒せたらリベンジできるとも言えるかもしれないが‥‥‥まだまだ自分は弱い事を実感させられるね」

「ほぅ、貴殿はかなりの使い手だとは思ったが‥‥‥この学園にはまだ上がいるのか」

「ああ、いると言えばいるね」


 というか、剣の使い手ではなく、正確には単純な力負けではあったが…‥‥相手が悪すぎたのもあるだろう。


 かつての挑み、華麗に宙を舞った経験を思い出し、グラディは苦笑いを浮かべる。


「気になるが‥‥‥まぁ、良いだろう。これでトドメだ!!」

「残念、カウンター済みさ!」


 振り下ろされた木刀に対して、グラディも木刀を構え、側面を勢いよく打ち込む。


 横にぶれ、相手の手がその一撃で痺れたところで間髪入れずに素早くもう一撃を入れ、剣を叩き落とす。



「そこまで!!勝者副生徒会長!」


 勝負が決まり、審判の声がかけられ、その試合は終了した。


 留学生に真正面から挑み、勝利したグラディに称賛の声もあれば、彼に拮抗したランに対しても、自分が次に挑みたいと意気込む者たちが出る。



「ふははは、負けてしまったか」

「でも、強かったことは強かったねぇ。神聖国って神官が多そうなイメージがある中で、強い騎士が来たのはちょっと意外だったよ」

「それもそうだろうな。我が国では色々と今、改革の手が入っているらしく、騎士の育成にも力を入れ始めたようだ。自国を富ませ、強くしつつ、何か上の方では動いているらしいが‥‥‥そのどさくさに紛れ、自分を高めるために私は来たのだ」


 次の模擬戦のために場所を他の生徒に譲り、一旦休憩する二人。


「へぇ、何かやっているのかな?」

「流石に分からん」


 ちょっと探りたかったグラディであったが、ランのそぶりから見ても何も知らないと思った。


 なので、これ以上その話しをすることはせず、今の模擬戦の中で見えてきた自分たちの課題に対して、互に話し合うのであった‥‥‥‥

季節が変わり始めた中で、変わる風に紛れて留学生たちが入り込む。

それなりの数が入って来たらしいが、まぁ召喚士学科に入ってきてないのはちょっと残念にも思える。

ツッコミを入れてくれる、期待の留学生探しでもしたかったりするが…‥うん、まぁ考えないでおこうか。




‥‥‥なお、女騎士ランに関して容姿の描写は今回なかったが、一応出す予定。今のところ3択ぐらいのイメージができて、どれにすべきか迷っていたりする。

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