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103 派手なのは好まないが何故好きな人もいるだろうか

「夏季休暇明け、落ち着いた頃合いにとは言われていたけど…‥‥うん、やっぱり緊張するな」

「王城にはすでに数回は来ていますけれどネ」


 そう互いに話し合いつつ、俺たちは王城の門をくぐり、案内人の手によって、控室で待っていた。



 本日は、俺の叙爵のための式だそうで、マナーとしての一張羅もといノイン御手製のタキシードを着用していた。


 先日のゲイザー騒動やその他諸々いろんな功績を積み重ねすぎたせいで、国としても放置できなくなったらしく、そのためいったん面子的な意味で行われる、爵位を与える叙爵式。


 大体準男爵とかそのあたりの、領地を持たない貴族の位を貰うことになり、簡易的な式でそこまで大々的でもないのだが、緊張するものは緊張するだろう。



「と言っても、ノインたちまでドレスアップするのは良いけどさ…‥‥」


 召喚獣も共にという内容なので、彼女達も場にふさわしいおめかしはする。


 普通の召喚獣であれば、毛並みをブラッシングで整えたり、鱗を磨いたり、もっと燃やすなりするそうなのだが、彼女達の場合は人間の女性に近いので…‥‥



「…‥‥サングラス、持ってきた方が良いんじゃないかな」

「どういう訳ですカ?」


 うん、彼女達と共に過ごして、だいぶ慣れてきた俺でも、ちょっとこれはどうしたものかと思う。


 見た目が美女なんだけど、普段から特にメイクをしているわけでもなく、天然物そのままである。


 だがしかし、流石にこういう式典の場では、それなりにおしゃれをしてもらうべきだとはわかっていたのだが…‥‥



「ぐぬあわああああああ!!」

「ひがぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

「目がぁぁぁぁぁぁぁ!!」



「‥‥‥なんか悲鳴が聞こえるのぅ」

「何処かの間者でも、紛れていたのでござろうか」

「大丈夫なのだろうかその人たち…‥‥」


‥‥‥いやまぁ、俺はある程度慣れてきていたのだが、改めて化粧されると色々凄い。


 絶世の美女にさらに美しさを足すと、それは凶器にもなりうると凄く実感させられる。


「やっぱりもうちょっと化粧を落とさないか?」

「ナチュナルメイクでして、そこまで濃くしていないのですが‥‥‥まぁ、そうした方が良いですカネ?」


 疑問形にしなくても分かってしまえることである。


 どこかで見ていたらしい間者とかは発見されたらしいが、全員眼をやられていたそうな…‥‥。









「‥‥‥それでは、これより叙爵式を始めるとしよう」


 国王がそう宣言し、王城内に作られた簡易的な式場にて叙爵式が行われる。


 一応、今回は国の面子的な者もありつつ、平民が爵位を与えられるので簡易的なものであり、この場は、俺たち以外にも護衛の騎士たちや王族ぐらいである。


 他の貴族も姿を出すことができるだろうが、こういうささやかな類には基本的に出席しないらしい。


 とはいえ、興味がある者たちであれば参加するようで、まったくいないという訳でもないのだが‥‥‥



「‥‥‥あの者が、今回の新しい貴族名簿に加わる者か」

「領地無しの貴族位を貰うそうだが、功績を考えるともっとありそうなものだとは思う」

「色々と事情があるのだろうが…‥‥あの者、やけにエスコートする女性が多すぎるような」

「あれ全部召喚獣らしいぞ。しかも全部規格外なのだとか」


 ひそひそと話し合い、情報を集めているようである。


 それもそうだろう。自分で言うのもなんだが、彼女達を引き連れている時点で目立たないわけがない。


 絶世の美女にしか見えないとか、召喚獣なのが惜しいとか、自分こそが手に入れたいとか…‥‥欲望なども少々入り混じっているようだけど、ほとんどが容姿の方で話しているようにしか思えない。


 うん、確かに彼女達は美女でもあるけど、中身色々とカオスだからね?羨ましいとか言っていても、絶対に痛い目を見ること間違いなし。


 そう考えている間にも式が勧められ、爵位の授与の段階にあたった。


 

「それでは、今回功績を多く積み重ねた、ディー・ゼロス、前へ」

「はい」


 普段フルネームで呼ばれることはないものだからちょっと反応が遅れそうになったが、直ぐに俺は動く。


 まぁ、この後は普通に爵位が貰え、直ぐに終わるはずである。



 簡易的な式でありつつ、長くならないでよかったなぁと内心のんきなことを考えていたが、気を抜かないようにすぐに前へ出た。



「この度、ディー・ゼロスは、ダンジョンからあふれ出るモンスター・パレード収拾、ダンジョン攻略、その他ゲイザー討伐などの功績を考慮し、爵位を与えることになった。偽りは無いな?」

「はい」


 そっと跪きつつ、そう答える。


 王族救出や、森林国での怪物騒動収拾もあるが、こっちはこっちで色々あるので省略されても別に良い。


 さっさと領地の無い準男爵の位を貰って退場して、いつも通りに…‥‥ん?


 ちょっと考えている中、ふと国王の目を見て、俺は妙な予感を覚えた。


 真面目そうにやっているのだが、一瞬だけ目の感じが変わったような気がする。


 うん、経験上なんというか、こういう場合は…‥‥すごいろくでもないことだ。


「そしてその他にも、多くの召喚獣を従えるという、召喚士としての力量なども考慮して…‥‥本来であれば(・・・・・・)準男爵の位を授けた。だがしかし、ここまで多くの功績を考え、将来的にさらなる功績を生み出すとも考えられる」

「…‥‥」


‥‥‥あ、すっごい嫌な予感、もしかして的中?


「そのため、さらなる功績なども考慮しつつ、本人の希望する将来の推薦場所なども考慮し、男爵以上の爵位を先に与えよう!!」

「「「「「!?」」」」」


 国王のその言葉に、会場にいた者たちの驚愕の声が言葉にならずとも、雰囲気で一気に伝わる。


 爵位って、確か高い順に大公爵、公爵、侯爵、辺境伯、伯爵、子爵、城伯、男爵、準男爵ってあって、俺がなる予定だった準男爵じゃないってことは…‥‥


「男爵以上、子爵未満として城伯というのがある。とは言え実は、今その位に付いている者はおらぬ。領地はないが、将来的な功績を考えると、現状その爵位こそが一番妥当ではないかと思う!!なのでディー・ゼロスよ、この式後は城伯の爵位を受け、今後は貴族性を入れたディー・フォン・ゼロスと改名し、新たな貴族家として国を支えてもらおう!!」

「‥はい!」


 ちょっと衝撃が強くて、少し間が空きかけたが慌てて俺はそう返答した。


 ふと見れば、国王から離れた王族用の場所にいる、第1王子と第2王子(ゼノバースとグラディ)が、国王に向かって「やらかしやがった!!」というような目を向けていた。


‥‥‥王族の方でも、何か色々とあるらしい。国王、この後大丈夫なのだろうか。


 疑問に思いつつも、式はすぐに終了し、俺はこの日城伯の位を授かったのであった。



「‥‥‥なぁ、ノイン。城伯って普通は領地があるような」

「今は無いようですが…‥‥何か狙いがありそうデス」


 遊び人だからこその遊びのつもりか、それとも何か狙いがあるのか。


 分からないが‥‥‥今はひとまず、さっさと退散したほうが良さそうだ。他の出席者たちからの質問とかあったら困るからなぁ…‥‥。


おそらくこの後、国王は王子たちから話し合いをさせられるだろう。

準男爵ではなく、あまり聞かないような城伯とか…‥‥何を考えているのだろうか。

色々と気になるのだが、今はひとまず、さっさと学園寮へ逃げておくか。



‥‥‥城伯って、聞かないけど調べるとローマとかそのあたりもあったらしい。

ちょっと変わった爵位命にしたいとは思っていたが、センス的に無難にある物にした。

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