98 使いようは色々と
修正の指摘を受けています。
誰かはわかりませんが、丁寧に全て確認してくださり、感謝しています。
…‥‥それだけ間違えているという事ですが、なんとか間違えないようにしているつもりです。
‥‥‥ヴィステルダム王国、王城内。
現在、第1王女ミウは、父親である国王から説教をされていた。
「‥‥‥遊び人という職業柄、無意識のうちに情報を集めたくなる気持ちはよく分かる」
「…‥‥はい」
「だがな、そのせいで被害を、いや、正確には損害はないかもしれないが、状況によっては非常に不味い選択肢を取ってどうするのだと言いたい。まだ次期王の座に関して言っていないとはいえ、評価としては+にも-にもなるような真似をされると、困るのだ」
「‥‥はい」
「…‥‥妹よ、お前何をやらかした?」
「聞いた話だと、僕らが忙しい間にディー君がやって来て、色々あったらしいよ」
「あの男か…‥まさか幼女を連れこんできたとか?それならわかる」
「「そんなわけはない」」
その傍らで王子たちがぼそぼそと情報を確認しつつ、何故こうなったのか理解させられていた。
「ここは王城、国の要ともなる場所。ゆえに、警備の手なども常に緩めることはないのだが…‥‥たった一人の、いや、一匹の召喚獣のマッサージの手によって撃沈されたとか、訳の分からない醜聞を引き起こしかけるのはダメだろう。というか、本当になんだその報告は!!」
国王がビシィっと持っていたその報告内容が書かれた書類を床に叩きつけ、そう叫ぶ。
本日、たった一匹の召喚獣の手によって騎士たちなどが、武力でもない技で撃沈しましたという話なんぞ、どうすればいいのだと言いたくもなる。
幸いにして、撃沈していた者たちはその前後の記憶が定かではなく、何が起きたのか理解しておらず、噂にもならなかったようだが‥‥‥‥
「そもそもだ!!確かにリキッドスネークとかいう幻の酒を生み出す蛇を国へ押しつけられるのも困るという言い分も分かるが、その報告にあるというか、以前から話に出ていた召喚士に押しつけ返した上に召喚獣にさせ、より訳の分からない存在にしてどうするんだぁぁぁああああああああああ!!」
国王の、その心からの呆れとツッコミを入れる叫び。
その声は、王城の外まで聞こえたという…‥‥‥
「兄ちゃん、なんで召喚獣が増えているのー?」
「…‥‥色々とあったんだよ」
妹からのじとっと見てくる視線に、俺はややいたたまれない気持ちになって、眼を背けながら質問に答える。
「王城へ行って、何かの報告をするだけって聞いていたけれども、新しい子も連れてくるって我が子ながらお父さんのように予想外の事をするわねぇ」
ふふっと微笑ましく笑う母さん。
うん、父さんのように予想外の事と言われるのはちょっとな。あの人、たまに何かしでかしたからなぁ‥‥‥野犬に追い回されていたと思ったら猪、シカ、熊って増えていたし‥‥‥最終的には巨大ミミズだったかな。
「ふむ、そうダーリンを責めなさるな、妹君。わっちも皆と同じ召喚獣でありんす」
「召喚獣にしても、半人半蛇って聞いたことないのー!!」
(‥‥‥データ上、実は半人な例は結構あるようですが、黙っておいた方が良いでしょうカ?)
リザの言葉に対して、ツッコミするセラ。ノインが何かムズッと口元が動いた気がするが、気のせいだろうか。
まぁ、無理もないか。ただ単に行って帰って来るだけならまだしも、増えていたというのはちょっと予想できなかったのだろう。
「この調子だと、お父さん以上の奇想天外な事をやらかしそうねぇ。あの人は本当に、斜め上の事をしていたものねぇ」
「そう言われたくないなぁ…‥‥」
「‥‥‥主殿の父上って、本当にどういう人なのでござろうか」
「わたくしたちが言うのもなんですが、聞いているとなんかとんでもない事をしでかすような感じですわよね」
「‥‥‥浄化されていた墓であったのじゃが、そこの残っていた他者の思念からも、色々あったという話題を聞いたしのぅ…‥‥死者たちの話題にもなるのはどうなんじゃろうか」
…‥‥うん、まぁ、父さんって色々やっていたらしいからなぁ。亡くなったとはいえ、今もなおこうしてちょっと話に出るほど、濃くもあったからね。
そう考えると、父さんと同じ道を歩むような気がして、拒否したくなるのであった…‥‥息子だけど、父さんのような道は歩まんぞ。
そう心に決めているディーではあったが、5分の2ぐらいはちょっと歩んでいる状況なのは、誰もツッコミを入れない。
ツッコミの人材不足は、どうも深刻なようであった…‥‥‥
父さんのような道は歩まない。
そう思いつつも、このメンバーを見ると歩みそうなのが怖いところ。
できれば死因は、普通に満足げな大往生とかが良いのだが‥‥‥できるのか?