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08 第1回 ノインに常識を

「‥‥‥さて、まずはどうしようか」


 昼食後の学園長室へ向かうまでの時間があったので、ディーは一旦寮の自室に戻り、ノインにこの世界の常識を教えることにしていた。


 まだ数日も経たないのに、数々のノインのやらかし具合。


 それは、この世界の常識をあまり知らないがゆえに引き起こされてしまったことであり、ならばその常識を教えてしまえば、ツッコミを入れなくても済むのではないかと考えた。


「座学用の教科書とかあるし、予習なども兼ねて学ぼうかノイン」

「了解デス」


 俺の問いかけに対して、ノインはこくりと頷いた。


‥‥‥なお、この場所は寮の自室とは言え、ノインによって拡張されていつの間にか増えていた部屋の中である。明らかにおかしい位置にあるような気がするが、気にしないほうが良いだろう。



 とにもかくにも、まずはお手軽にこの学園及びある場所についてである。


「さてと、まずはこの学園‥‥‥適性学園。ココがどの様な場所なのか、ノインは既に把握しているかな?」

「ハイ。適性検査と呼ばれるものを受けさせ、顕現した職業に応じて学ばせる施設ですヨネ?」

「その通り」


 この世界の人々は、その適性検査を経て、各々の持つ適正による職業を顕現させ、その能力を得ることができる。


 召喚士が召喚獣を出せるように、武闘家であれば武術が、魔法使いであれば魔法が、タンクマンであれば痛みを快楽へ変換、などとさまざまである。


 とはいえ、それはあくまでも能力を得ただけであり、使いこなせているわけではない。


 学園で、その職業に応じた勉学を受け、ようやく使いこなせるようにするのだ。


「付け焼刃と言う言葉もあるそうだけど‥…ようは、ただ出すだけだと意味がない。きちんと研鑽を積んで、ようやく一人前になれるような感じだな」

「ふむ‥‥‥努力が必要なのですネ」

「そういうこと。怠けているとその職業の力が失われるって話もあるし、最悪の場合無職になって、何もできない人になるらしいからね」


 別に、無職になったところでどうなのかと言われれば、そうでもない事もある。


 しかしながら、そういう状況に陥る人ほど対応ができないことが多く、結果として悲惨な結末を迎える例が多いようだ。


 それでも年に数人は出てしまうことがあるらしいし‥‥‥人のさがというのはどうにもならないのだろう。



「ついでに言うのであれば、適正学園は何もこの国だけじゃなくて、他国にもある」


 当たり前かもしれないが、職業を顕現させる検査は一国に限らず、他国にも存在し、各国でそれに合わせた教育がなされる。


 軍事国家であれば軍事系統重視などもあるそうだが‥‥‥何にしても、この国は平等にしているようだ。



「職業は確かにその職に合わせた力を人に与えるけど、何もそれに縛られることは無いかな」


 例えば、召喚士が良い例だ。


 召喚獣がムキムキマッスルな筋肉質で、戦えるのであれば国の兵士になって役に立ったり、料理が得意であれば料理人になって店を構えるなどある。


 貴族、平民と言った身分もあり、そこも考えると職業はあくまでもその人のついた能力という扱いぐらいだ。


「噂話程度で聞いた話だと、この国の国王は『遊び人』という職業らしいからね。それでも成り立っていることを考えると、そこまで影響するってことはないと思う」

「‥‥‥大丈夫なんですかね、ソレ?」


‥‥‥うん、多分大丈夫だと思う。国の黒い噂とか、こっちには来ないからね。遊び人の国王ゆえに結構城下街へ出て、あちこちで悪党退治などして臣下たちを心労で胃に穴をあけたという噂ぐらいか。



 何にしても、学園に関する話はこの程度。


 あとはここで学んでいくうちに、把握もできるだろう。


 次にするのであれば‥‥‥


「あとは、国かな?」


 


 この学園があるここは、ヴィステルダム王国。


 周囲を他4か国ほどに囲まれている国であり、3か国は友好国で残る国がちょっと関係が危ういらしい。


 戦争になってほしくはないが‥‥‥まぁ、それは国の判断次第だな。


「友好国は、ガランドゥ王国、フルー森林国、デオドラント神聖国。で、ちょっと不味いのがゼオライト帝国とされるようだ」

「‥‥‥王国、帝国、神聖国なのは、文字的に分かりやすいですネ」


 王国は国王が治め、帝国は帝王、神聖国は神官と言った具合。


 森林国に関しては、どちらかと言えばいくつかの小国が集合した連合国に近いらしく、まとめて呼ばれているだけでもあるらしい。


 人間ではなく、エルフとかそう言う亜人種族とかが一番多い国でもあり、目の保養国とも言われているらしいが‥‥‥いつかは入って見たいかも。


 話がずれたが、一応各国で政治体制なども違いがあるが‥‥‥ひとまずは、この国の説明だけにしておこう。




 ヴィステルダム王国は、周囲を国に囲まれながらも成り立つ大きな国。


 周囲からの輸入に頼るところもあるが、資源もそれなりに豊富であり、一応バランスはとれている。


 国王の職業が遊び人という不安要素もあれども、一応政治的には問題なく、愚王でもない‥‥‥と思いたい。


「まぁ、落胤とかそう言うのが多いという話もあるけど‥正式には、王子3名、王女1名の普通の一家ともされるようだ。正妃・側室などもいるが‥‥‥権力争いは普通にあるようでも、仲はそこまで悪くないすがすがしい関係を築き上げているらしい」

「一応、争いはあるのですネ」

「まあ、王太子とか決まり切ってないそうだしね‥この学園の生徒会長が王子って話はあるけど、そこまで明かされてもない。身分を平民に交わらせているようだし、気が付けば会えるかもってぐらいみたいだよ」


‥‥‥ついでに聞く噂話としては、夜な夜な王妃と側室が共に手を取り合って、包丁を構えて国王の部屋に通っているという話もある‥‥‥何故包丁なのか、考えないほうが良いだろう。




 っと、ここまで話していたところで、気が付けば昼になっていた。


「おっと、そろそろ食堂で昼食を取らないとね。まだ詳しい話しはまたの機会にして、今はさっさと食べて学園長室へ向かうか」

「ええ、そうしましょウ」


 色々とある話だけど、一度に常識として彼女に話すには量が多い。


 ひとまずは、学園のある意味と、国に関しての話ぐらいはできたし…‥‥国関係での話が来ても、ある程度わきまえて動いてくれるようになればいいと思う。


 そう考えながら、ディーは食堂へ向かったが…‥‥その考えは甘かった。


 その事を思い知るのは後日なのだが、少なくとも誰が王族なのか自分で調べておいたほうが良かったと後悔する羽目になる‥‥‥


チョット設定種みたいになったが、今後も機会があれば不定期開講していきたいところ。

少しづつで良いから、この世界について知ってもらい、やらかし防止にするのだ。

責任重大なような気がしつつも、今は学園長の話とやらに向けたほうが良いだろう‥‥‥



…‥‥しかしながら、教える前に事があったら意味ないような。

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