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星屑の森の魔法使い  作者: 灯野あかり
第1章 星屑の森の魔法使い
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06 ポーシャ

 国を代表する魔法使いたちは政治への介入を禁じられている。


 だが、人々の生活と自然界との均衡が崩れる恐れがある場合に限り、魔法使いがその架け橋となる役目を担ってきた。それが暗黙のルールであり、メルフォルト王国以外の国でも同じことだ。


 肥沃な土地に囲まれた星屑の森は、収穫物も豊富だが、一方で木々も著しい成長を遂げている。

 成長しすぎて数が増えるほど大地から吸い上げる滋養は偏りはじめ、十分な成長を遂げられない木は早々と枯れる。本来何百年という時間を生きるはずの木が、十年も待たずに立ち枯れてしまうのだ。


 命の世代交代もままならず、長く生きた植物が寿命をまっとうしたとき、その種が絶えてしまう可能性がある。実際、そうして固有の種が滅びてしまった例がいくつもあった。


「互いに養分のとりあいじゃろうて」


 魔法使いの長老・バールが普段見せない沈痛な面持ちで話していた。


 最終的な目的は人が森に入り、木々の手入れをすることで固体のバランスを安定させることにあった。

 繁殖しすぎた植物を狩り、木々の伸び放題の枝を払い落す。土地が痩せないように増えすぎた薬草は、ある程度刈り取るべきなのだ。

 しかし、十年ほどまえから不法な採取が続き、動物どころか精霊の命さえ脅かす危機に瀕したことがあったらしい。


 そこで保守的な精霊たちは、人間の侵入を防げば森の生命は平穏無事に暮らせると信じて人間たちの立ち入りを拒んできたのだ。


「ポーシャよ、精霊を説得するのじゃ。彼らは人間よりも頑なになってしまった」


 それが、若き魔法使いポーシャが長老から受けた命令だった。


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