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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

ジャンル分けの短編

【朗報】俺氏、異世界転移した結果奴隷で無事死亡

作者: ロム

 Hello,nice to meet you.

 俺は一般成年男性の花桜(かろう)四鶴太郎(しつるだろう)、会社員だった。


 ある日仕事中に便意の限界でトイレに行った所、トイレの個室で寝てしまってな。目が覚めて気づけゔぁ天国ざぁ。


 どうやら俺は神様の手違いで死んじまったらしく——中卒の俺でも入れるようなヤバイ工場で働いてたのが原因だと思うけど——死んじまったようでな。えらく腰の低い老いぼれ神がいたもんだから、軽く強請ったら何とお詫びに特典(?)とやらをつけて中世ヨーロッパ風の異世界へ飛ばしてくれるそうだ。ざけんじゃねぇタコが、普通に石油王のところへ転生させるくらいしろやなんて行ったけど、『待ちがって人殺しちったぁ、メンゴ!』なんてカスみたいなミスを起こす神様じゃあそれが限界らしくてな。


 なんだか上司に怒られるだか、税金が高くて働かないと生きていけないけれど老化で体が限界だとか、自分より年下の上司にどうのこうのってなんか色々心が痛くなるような事を言われたから特典を指定させてくれるなら良いぞって話へ運んだんだよ。


 んで、特典どうするって話になったんだけど……ここでバカをやった。謙虚に9個でいいとか言っておけば良かったんだけど、最近知ったアニメみたいにスマホが欲しいって言って金の斧銀の斧形式でなんか貰えねーかなって思ったらマジでスマホだけ渡されちまってよ。せめて充電器と手回し発電機をくれよなっつー。


 そんなこんなでゴミ板とともに俺、異世界へ。


 言葉も通じねーし石投げられるわ糞投げつけられるわくせーわなんの。無事に破傷風で死にかかってるところを人攫いの旦那の所へ攫ってもらえたわけよ。これが良いもんでなぁ、焼ゴテとか原始的すぎるような気もしなくもない治療をしてもらって、しかもエサも分けてくれるんだよ。少しでも恩を返そうって思ってちょこちょこっとこっちの数字とか言語を死ぬ気になって覚えたら、何とばかうけ。『人語を喋る猿!』何つってな。


 いやあ、そんでもって中等教育を受けた俺が俺と同じ奴隷仲間に計算の仕方とか教えたら旦那に気に入られるのなんの。お前は教師の才能があるって事で瞬く間に奴隷の教育係よ。れえぎさほーなんつーむず痒いものも教えてくださって、貴族様への振る舞いと計算が出来る事で高級奴隷サンプルとして手堅く扱って貰ってな。


 それでどうだ、奴隷商の旦那様に取り立てて貰ってるうちに大商人の大旦那様にいたく気に入られて今じゃあ奴隷界の貴族同然よ。ナポレオンつーの、ナポリタンつーの? 風雲児よ麒麟児よ神童よ、20代だがな!


 まあそこで御子息と御息女に計算やら礼儀作法を教えつつ他の奴隷どもへ奴隷頭として鞭を振るってな。ただミスを犯しちまってな……御息女にこれまた痛く気に入られた。最初のうちは憂さ晴らし用のサンドバックとして裏拳とか肘鉄とか可愛いもんを食らわされてたんだがな、段々とそれがエスカレートよ。鞭で打たれて、燭台で熱したスプーンを押し当てられて、腕に噛み跡つけられて、ナイフで内腿を薄く切られて、首を絞められて……まあ、お嬢様は人を傷つけて性的興奮をする立派なサディストに変わっちまってな。


 それである日、俺が猿ぐつわされて指詰めされているところを旦那様が目撃よ。ウチの娘にどんな教育をしてんだってぶん殴られて、片足を膝あたりから切り落とされてね。本当だったら打ち首だった所、長く勤めてたから旦那様の温情でそれだけで済んだわけよ。


 それでお嬢の始末は知らないんだけど、追い出されて奴隷商の旦那んとこへ戻ってな。いやあ揉めたわ揉めたわ。『こんな状態でウチへ返却とはどういう事だ、お前の娘が悪魔付きなんだろ』やら『お前のとこの奴隷を買ってからウチの娘は可笑しくなった』でもう言葉の応酬よ、水掛け論の平行線で、結局のところ奴隷商の旦那が若干負けて俺へ適当な義足を商人の旦那が送って、奴隷商の旦那が商人の旦那への微かな詫び金ってトコで終わった。


 まあその後はお嬢のおかげですっかりコワモテに変わった俺が奴隷どもへの教育係としてもう一回教鞭を振るってな。奴隷どもは怯えて前より真面目に俺の教えを受けて元人攫いの旦那は大奴隷商人よ。いやあ、自分で言うのもなんだけどここら辺で破傷風にかかった所に治療を施して貰った一生の恩は八割がた返したかなって思い始めてな。まあ後釜を準備してないからその時に俺が抜けたら逆に恩を仇で返すことにもなるから、旦那にそろそろご褒美として嫁が欲しいって要求したんだよ。


 旦那も俺とも長い付き合いだから俺への愛着みたいなもんが湧いてたんだろうな、滅茶苦茶の美人を工面しようと力を入れて嫁探しをしてた所な……事件が起きた。


 この時には既にお嬢の元を離れ10年。俺は大体40くらいだったんだがな、お嬢は既に成人してたんだ。んで、お嬢が旦那んとこへ奴隷を買いに来た。いや、俺を買い戻しに来た。


 俺は知らなかったんだが、俺が奴隷商の旦那んとこへ出戻りしてからすぐに商人の旦那は病気を患って死んだらしい。そこで俺から教育を受けた御子息が見事な手腕を発揮して最初こそ苦しかったものの、見事に盛り返したらしい。そこで、御子息は俺が首になった理由を知らなくてお嬢の俺を買い戻したいと言う意見を二つ返事で了承しちまったらしい。まあ向こうも急に別れる事になった教師に対しての愛着みたいなもんがあっただろうしな。


 奴隷商の旦那は必死になって断ったんだが、お嬢はせめて一目と粘るもんだ、旦那の立会いの下で面会をすることになった。すると不思議なもんでなぁ、お嬢は息を飲むような美人になっていて、心臓を鷲掴みしされちまった。俺からも旦那へ頼み込んだね。嫁のことなんか忘れてくれ、どうかもう一度お嬢のとこで働かせてくれって。


 それから旦那は呆れて果てて、そんなに死にたいなら勝手にしろと手切れ金とともに俺を野に放った訳よ。奴隷としてじゃなくて、一般市民としてな。旦那には感謝しても仕切れねえぜって。


 晴れて一般人となった俺はお嬢と結婚……と言っても正式に教会で祝福されたわけでもなく、お嬢は行き遅れの独身って事になっちまったがな。流石に大商人の妹が元奴隷と結婚はマズイってことよ。


 それで毎日こっそりと今の商人の旦那に隠れて、夫婦水入らずで半殺しにされながら生活を送ってたらすぐにお嬢が妊娠。旦那からはこの幸せもんと小突かれたもんだ、まあお嬢の性的欲求も体調的なストレスも文字通り一身に受けることになったんだが、それで無事に元気な女の子が生まれた訳よ。


 それで、娘が一端の娘に育ち嫁へ出た頃、俺はもうオジンよ。傷の治りも悪くて、袖を捲ればジュクジュクとした輝きを放つ生々しい傷跡も見えた。そんな時、ちょっとした事故があってな……うむ、また死んだ。そん時は水責めを味わってたんだが、どうも限界を超えたらしくてな。


 まあだから……あの爺のミスじゃあねえと思うよ?


「——概ね、書面通りですね。はい、確かに供述は一貫していますし、貴方が強要されている訳ではないのがわかりました。」


 そうか、アンタも大変だなあ。爺の上司だって? 部下の尻拭いか、俺も地球では迷惑をかける側だったが異世界では上司だったこともある。でも奴隷じゃなくて神様の上司じゃあやることも大変だよなぁ。


「ああ、そう言えば貴方は勘違いしているようですが、私は上級天使です。貴方を転生させた者も天使ですよ。」


 は? マジでか、アイツ自分が神様だってって言ってたような……いや、俺の勘違いかもしれねえな。もし俺の記憶違いで、あいつが責められでもしたら大変だろうしな。俺の記憶違いって事にしてくれ。アンタも話はわかるだろ?


「まあ……重罪ではありますが、それ故に調査は慎重にしなければなりません。今の所は適当な紙へメモする程度にして後回しにしましょうか、最近は忙しいのでめもがどこかへいくかもしれませんが。」


 よかったよかった。ああそう言えば、所で、この後俺ってどこ行くの? 別に悪事らしい悪事を働いた記憶はないんだよね、強いて言えば年下の娘を手篭めにしたことぐらいで。


「そうですねぇ……死因は自殺に近いですが、魂の損傷も激しいので暫く魂の病院へ言ってもらう事になりますね。自殺の罪は完治の後に煉獄へ行ってもらい、その後に漸く天国へって感じになると思いますよ。」


 魂の病院……? そんなものがあるのか、なんだかあの世ってのも不思議なもんだなぁ。でも煉獄とやらへ行くのが延びるんだったら嬉しいもんだ、なんだか辛そうだしな。でも……俺ってそんなに傷ついてるのか? 自分じゃあ死ぬ前とあんまり変わんねえと思うんだけど。


「ええ、転生前ならばそのまま煉獄へ行って貰ったのですが転生後に魂が傷つきすぎましたね。まあ、御上の裁量次第では転生自体がこちらの落ち度ですのでこの件で煉獄行きが免れるかもしれませんがね。」


 なるほどなあ、まあ俺自体は美人な嫁ももらえたし娘婿は誠実ないい男だった。素直にその煉獄とやらへ行ってもいいんだがな。まあ、取らぬ狸のなんとやらだ、まだお上の裁量さえわかんねーんだったら期待しないで待っとくわ。


「それがいいでしょう。御上はもっと別に他の案件で忙しいものです。それこそ、天使が堕天して勝手に大量虐殺を始めたとか、あなたにとってはあまり笑えないものでですね。」


 ほぇー、いやまあ、普通に天使のアンタも笑っちゃあいけない事だと思うんだが。じゃあ、取り調べってのは終わりでいいのかな? いやあ、あんまりこうも長々と話すような人生を送ってなかったから疲れたのなんのって。


「ええ、どうぞお帰りください。お出口はあちらです。」


書いてて後悔しか湧いてこなかったし、書き終えて後悔しか湧かない。そもそも最初は息抜きに頭を空っぽにして読める話を書こうと思ったのに、どうしてこうなった。


本来目指してた流れ


転移→奴隷落ち(ここまで一緒

→奴隷の待遇に感動(大体一緒

→使える奴隷として貴族へ(ちょっと違う

→同じ奴隷と恋へ(ここからおかしくなった

→奴隷同士で結婚、そして幸せへ……(目指してたもの


まあこれだとあまり話が膨らまないけど、こっちの話の方が逆に希少性がまだ高いし書いてて精神的に安定だ

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