表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

9/40

親が出て来て・・・

帰宅して、入学して二日目で早くも兄弟子に相談である。

今日合った突発イベントを報告する。


「う~ん」


うなる兄弟子。

困った顔のキャロリーン。

二人とも、うなるしかなかった。


「めんどくさい事にならなければ良いが」

「貴族と言う人種はプライドだけが高くて困る」

「用心に越した事は無いな」


二人の意見はそこで一致した。


「分かりました」

「あの(ぼこしたやつ)には気を付けておきます」




翌日の学校には、モンスターペアレントの嵐が吹き荒れている。

フランク男爵が乗り込んで来た。

ボコしたボビーを連れて!


はっきり言っていちゃもんである。

子供の言っている事を信じて、僕と学校が悪者の前提で模擬戦の不正、決闘の拒否と言いたい放題だ。

職員室の前で騒いでいるので、人集りが出来ている。

その中で見ていた僕に、ボビーが気が付き父親に伝えると。

恐ろしい勢いで突進して来た。

そして、言いたい放題だ。

ただ、僕は反対に冷静になり、昔アニメで見たセリフを思い出した。

何代も貴族の生活を続けていたら、それが当たり前になり平民と掛け離れてしまい、一種の病気みたいになると!

まさに、今の状況で貴族は正しいから、儂も子供も正しい。悪者はコイツらだ。

の論法である。

いい加減聞き飽きたので、反撃に出る事にする。


「いい加減にしろ!」

「子供の言葉を鵜呑みにして、滑稽にも程がある」

「自分に都合が良い事だけ話し、都合の悪い事は言わない御宅の息子のボビーが悪い」

「そんな事も分からないのですか?」


僕の言葉を聞いて樽みたいな体がプルプルと震えだす。


「貴族に口答えなど平民のしていい事ではない」

「平民は黙って貴族の言う事を聞いていればいい」

「虫けらの存在が口答えするな!」


怒りに任せて大声を張り上げ怒鳴り散らす。

頭からは湯気がでてピィーと湯沸かし器がなっているみたいで笑えて来る。


更に大声をあげてピィーと鳴っているみたいで滑稽だ。

顔は真っ赤になっている。

思わず、声を出して笑ってしまった。


「無礼者」


怒りが頂点に達したみたいで、殴りかかってきた。


「バタン」


男爵が倒れる。


僕が後ろに飛んで回避をしたら、足が絡まってその場で倒れたのだ。

周りの観衆もこれには大笑いである。

男爵の中では平民は攻撃を受ける者で、避ける事は無いと思い込んでいるので、また、訳の分からない事を叫んでいる。

しまいには。


「決闘だ」

「貴様に決闘を申し込む」


立ち上がりもしないで、顔を上げて僕を指さしながらだ。


「嫌です」

「以上」


すぐさま断る。


「・・・・」


目が点になり言葉を失う男爵。


しかし、決闘は断れないから、相手が飲めない条件を出してやり過ごす事を考えながら、男爵から目を離さずにいる。


「条件を言ってみろ」


ゆっくりと立ち上がりながら言った。


子供からリサーチ済みか!

受けれない条件を提示しよう。


「条件は、僕が勝った場合は男爵の爵位の譲渡、領地と財産の譲渡とあなた方一族が平民になる事」

「するなら、今日学校の訓練場に30分後だ」


これなら決闘を取り下げるだろう。


「よし、分かった」


即答したので、僕が驚いた。

僕だけで無しに、先生方や貴族の子弟もだ。

何かやばい気がする、負けても有耶無耶にするかもしれない。

ここは保険(でんかにおねがい)を掛けとくか!


「殿下そう言う事になりました」

「立ち合いをお願いします」


「ロビン、私がいるのが分かっていたのか」

「先輩使いの荒い奴だ」


「はい、ですから証人になって頂こうかと」

「男爵に有耶無耶にされない為に」


ここでの殿下の登場に、男爵は動揺しまくっている。

負けても、平民の戯言で済ますつもりでいたのがまるわかりだった。


「では、男爵その条件で30分後に始める」

「準備をして訓練場に来るように」


「私の顔をつぶすなよ」


最後にすごんで殿下は訓練場に向かった。




30分後、僕は訓練場に立っていて、目が点になっている。

それは、フランク男爵が禍々しい甲冑一式を着込み剣を持って立っている。

まさに、樽に手足を付けたみたいだ。

しかし、ここまで用意しているのは、最初から決闘をする気満々だつたのだろう。

そして、ボビーも禍々しい装備一式で出て来た。


「二対一か」

「まぁ、いいか」


「猫の手は入りませんか~」


間抜けな声で売り込みをしてくるやつがいる。


「いいのか」


「おぅ」


「猫の手を借りよう」


クラスメイトのドミニクが一緒に戦ってくれる。

こいつも酔狂なものだ。

自分から危険に飛び込んでくるのだから。


「では、今から決闘を始める」

「立会人は私が勤める」

「先ほどの条件を守り、正々堂々戦う事」

「人数がお互い増えているが、良しとしよう」

「では、始め」


「ファイアーボール」

「ウォーターアロー」


二人が先制攻撃を狙う。

しかし、目が点になった。

それは、男爵の甲冑に吸い込まれていく。


「やっぱりか」

「何かあると思ったが」

「あの甲冑は魔術師殺しだな」


ドミニクが冷静に甲冑に付与されている魔術を教えてくれる。

男爵の甲冑から、大笑いが聞こえる。

こちらの攻撃が通じなかったのが本当にうれしいみたいだ。

ただ、男爵も攻撃手段が無い為、ボビーがそれを担当するのだろう。


「向こうも、攻め手が無いから慌てずに行こう」


そう言いながら、ボビーの攻撃を盾で受ける。


「ドミニク少し、攻撃をしていてくれ」

「両方が死なずに勝てる方法を思いついた」

「詠唱に少し時間がほしい」


「何かわからんが、任された」


「************」


僕は詠唱に入る。

ドミニクはボビーを狙い攻撃魔法を打ち込むも、父親を盾代わりにしている為、甲冑に吸い込まれていく。

ボビーの攻撃を、ドミニクは回避しながら戦っている。

しかし、男爵は不動である。

ひょっとして、甲冑が重すぎて動けないのかも知れない。

ドミニクは結構攻撃を打っているが、すべて甲冑に吸われてしまいボビーは無傷のままだ。

ある意味、攻守がしっかりしている。


「すまない、待たせた」

「顕現せよ、炎の壁よ」


術式を開放すると、盾が光って高さ2mぐらいある炎の壁が男爵とボビーの回りを包み込んだ。

直接攻撃では無いので、甲冑に炎は吸い込まれず二人の回りで燃え続けている。


「なぁ、ロビン」

「これって、攻撃なのか?」


「あぁ、そうか」

「これは、直接攻撃では無いが、間接攻撃に当たると思う」

「此処でも、かなり熱いだろう」

「じゃあ、あの中は?」

「炎は効かないが暖められた空気は、鎧の隙間から侵入するし呼吸もするから」

「あの中は大変だと思うぞ」

「もう、鎧の中は汗でべちゃべちゃの筈だ」


「嫌な攻撃だな」

「俺は干からびたくない」


男爵とボビーは炎の壁の中で暑さと脱水症状の二つの敵と戦っていた。

炎の壁に水系の攻撃をしても蒸発するだけで、打つ手なしだ。

しかし、まだ頑張っている。


「ふぅ」

「中々出て来ませんね~ぇ」


五分後そう言いながら、炎の壁の発動に、魔力を流し続けているので結構疲れてきている。

ただ、もう戦闘不能だと思う。


「ドミニク!」

「壁を消すから、臨戦態勢に入ってくれ」


「OK」

「いつでもいいぜ」


「3・2・1、解除」


炎の壁が一瞬で消えた。


「おぉ」


ギャラリーから声がする。


簡単な話である、魔力の供給により付いていた炎だから、供給を止めればすぐに消えるのである。

男爵とボビーを見てみると!

二人とも直立不動だが、壁が無くなったのに動きが無い。


僕とドミニクが二人を確認すると、意識が無いみたいだ。


「殿下、男爵達は戦闘不能です」

「確認をお願いします」


立会人である殿下が、二人を確認に行く。

意識が無く、直立不動で立っているだけである。


「うむ、勝者ロビン&ドミニク」


訓練場に歓声が上がる。

この完成にドミニクは手を振って答えている。

僕は少しやり過ぎたかな~と考えながら手を小さく振って歓声に答えていたのであった。





つづく










最後まで読んで頂いてありがとうございます。

評価,ブックマークを頂けたら幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ