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兄弟子の息子が・・・

「ただ今、戻りました」

「おーい、今帰ったぞ」


「おかえりなさい」

「えぇ!」

「あなた、その格好どうしたの」


グリゴールのボロボロの服を見てキャロリーンがビックリしている。


「すいません、僕がやりました」


「?????」


キャロリーンには?である。

リビングで今回の事を僕と兄弟子で説明したら。


「いいの、いいの、この人が悪いんだから」

「ロビン君は気にしたらダメよ」


「ハイ、ありがとうございます」


僕はかなり気が楽になった。


「しかし、あなたが負けるなんてロビン君さすがね」


「いいえ、兄弟子が手加減してくれたから」

「それと、全力を出さないと兄弟子に失礼ですから」

「ただ、僕は試験まで宿泊させて頂けるか、気になっているのですが?」


「あぁ、忘れてた」

「ロビンなら、・・・」



ただいま〜!


二人の声が玄関から聞こえてきた。


「おかえりなさい」

「二人ともこっちに来て」

「ロビン君、紹介するから」


キャロリーンが二人を呼ぶ。


「ジャック、キャロライン」

「彼が、お父さんの弟弟子のロビン君」


「ロビンです。よろしく」


「ジャックです」「キャロラインです」


「これから一緒に生活するから、よろしくね」


「エッ」「エッ」「エッ」


三人の声がハモる。


「あなた、そうでしょ!」


「いや、試験までの間だろう」

「ロビンは魔道士団に仮入団が決まっているから」

「許可が出るまでになるだろう」


「なんで!!!」


ジャックの強い言葉が響く。

同じ年齢で、今日来たばかりのよそ者がいきなり魔道士団に仮とは言え入団するのが許せないみたいだ。

兄弟子が今回の事を話したが、火に油を注いでしまったみたいで僕に言い放った。


「お前、明日俺と戦え」

「俺が勝ったら、試験を受けずに町から出て行け」


僕が困っているので、兄弟子がジャックと話をするが聞く耳を持たない。

困り果てていると。


「ロビン君、明日ジャックと戦って」

「世界の広さを教えてあげて」

「ジャックには、いい薬です」


キャロリーンが言う。

母は偉大だ。


「ハイ、分かりました」

「兄弟子、訓練所を借りて下さい」

「もしもの場合も対応が出来るので」


兄弟子に場合を押さえてもらって、万が一の事が無いように出来るだろう。

それからの晩ご飯は、非常に気まずい晩ご飯になりました。






翌日、魔道士団の訓練所


目の前にジャックが立っている。

団員がギャラリーで見ている。

もちろん、キャロリーンとキャロラインもいるし、近衛騎士団長もどこかから話を聞きつけ観戦している。


兄弟子が審判だ。


「両者、正々堂々と勝負する事」

「では、始め」


俺は盾を構え、レイピアを抜きジャックを注意深く観察している。

同い年とは、初対戦だから、同世代かどれぐらい強いか知りたい。


「*********」


ジャックは早くも詠唱している。

先手必勝の考え方だ。


「風刃!」


へぇ~!

こんな魔法もあるんだ。

僕は炎系以外は全然だめだから、マーサも初心者用しか教えてくれなかったから。


「カン」


盾で受け止める。

ジャックは悔しそうだ。


「*******」


また詠唱をしている。

その場に止まったままで、防御魔法を展開している節は無い。

今攻撃すれば簡単に終わりそうだが・・・


「ウォーターアロー」


「ビチャ」


これも盾で受ける。

ジャックは悔しそうにしている。


「********」


また、止まったままで詠唱をしている。


あぁ、そうか僕を剣士と思っているから止まったままで、防御魔法も展開せずに詠唱しているのか?

自分が攻めているので、守りに入っていると思っているのかも?


「はぁ~」


ため息が出てしまう。


「ファイアーボール」


今度は、炎系だ。

別の意味で感心する。

色々な系統の魔法が使えるからだ。

だったら最後まで、付き合ってみよう。

盾で受けながらそう思った。


その後、雷系、土系、などを繰り出したが、テレフォンショットであり、盾で受けて終わりである。

ただ、バリエーションはすごいと思うし。

学校では優秀だろう。


「反撃してもいいか?」


あえて、挑発してみる。


「はぁ~ぁ、反撃もできないくせに、偉そうなことを言いな!」


強気のコメントだが、状況が全く分かっていないのが分かった。

兄弟子も頭を抱える。


「じゃぁ、行くぞ」

「よっと」


右手からファイアーボールを撃ちだした。

ジャックはびっくりしている。

たぶん、詠唱が無かったからだ。

慌てて、防御魔法を詠唱を始めたが、間に合うはずない。


「ドゴ」


鈍い音と供に吹き飛んだジャック。

気を失ってしまった。

勝負ありである。

なにか、弱い者いじめをしてしまったみたいで後味が悪い。


「すまんな」

「ただ、ジャックは魔法士団に入るのが夢だから、入隊が決まったロビンに食って掛かったんだと思う」

「許してほしい」


兄弟子が謝ってくれた。


「兄弟子、気にしないでください」

「今回の事は、ジャックが言い始め」

「自分は強いと勘違いしているから起こった事で、これが実戦なら死んでいます」

「これを教訓にして成長すれば、良い魔導士に成長すると思います」


兄弟子には、本音で話す、正直自分にはバリエーションが無いから、あれだけの系統を使う事が出来るジャックを羨ましく思うところはあるのだから。

話が終わるとジャックを救護室に連れて行った。


兄弟子と入れ違いに、近衛騎士団長が訓練所に降りて来た。


「坊主、俺と一戦やらないか?」


やる気満々である。


「遠慮します」


その言葉が終わらない内に、居合抜きの様に薙ぎ払いに来た。

盾でとっさに受けながら距離を取ろうとするが、密接して剣技を繰り出す。

盾とレイピアで防戦一方な展開に持って行かれた。


「いい加減にしてください」


その言葉と同時に、扇状にファイアーボールを散弾で打ち出す。

至近距離からの散弾に全回避は無理だが、致命傷は避けている。流石騎士団長だ。

これ位では諦めてくれる様子は無いので、防御を固める。

そして・・・


「*******」

「ファイアーソード」


詠唱して、対剣士様にラノベで優位に戦えてた技を思い出し剣に炎を乗せてみた。

視覚効果はばっちりである。


「オォ~~~~!」


思わず声を上げるギャラリー達。


僕と騎士団長の距離は12.3メートルあるがお構いなしにファイアーソードを横に振る。

炎が伸び、騎士団長に届きそうになる。

ガードも出来ず、後ろにも下がっても同じなのでジャンプで回避する。


ロビンは一回回避されたのと同じ攻撃をもう一度おこなう。

ジャンプでもう一度回避したが回避は織り込み済みで、無詠唱のファイアーボールが空中の騎士団長を襲う。

空中で避けようの無い、騎士団長は直撃を受け吹っ飛んだ。


「あいたたた、坊主俺の負けだ」

「坊主にはむやみに戦いを挑むのはこれからやめるは」


頭をさすりながら近衛騎士団長が言う。

致命傷は無いが、全身やけどだらけであるし、髪の毛はちりちりだ。

ただ、あきらめの悪さは天下一品だ。


「坊主、今日から近衛騎士団団員な」


「うちの新人を勝手に勧誘しないでください」


後ろから、魔道士団の団長がクレームを入れる。

また、この二人の言い合いが始まったので、だまってフェードアウトである。

しかし、この戦いをみていたキャロリーンとキャロライン親子は目が点になっていた。


「あの子は、鍛え直しね」


ジャックの鍛え直しを誓うキャロリーンであった。




つづく

読んで頂いてありがとうございます。

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