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再び魔人族の王都に出発して・・・4

「この辺りで、一旦休憩しよう」


騎士団副隊長のチチパスの提案に、皆が頷く。

そして。


「ロビン君、なぜ森の出口を駆け抜けさせたんだ?」

「たかが、小さい魔物が一匹倒れたぐらいで?」


「ああ、あれですか」

「あの倒れたの、演技ですよ多分」


「うそだー」


ナオミさんの声が上がる。


「根拠は、まずコアラの魔物(魔獣)が地上に降りた時は、四足歩行です」

「ここぞとばかりに、二足歩行で歩く事は考えにくいです、またあんなにわざとらしく倒れる事は多分無いでしょう」

「それと、殺気(やるきまんまん)でしたよあのコアラ」

「あと、森の中にテイマーがいましたね、流石に殺気は無かったですが」


「まぁ、殺気が全てですけどね」

甲冑(そうこう)越しに殺気を感じろって言っても無理か?

そんな事を思いながら、僕の思いを伝えた。


五人は納得はいかないがね理解してくれたみたいだったが。


「ねぇ、ロビン君」

「殺気が無かったら、助けた?」


アンナが少し涙目で聞いてくる。

少しやり過ぎと訴えているみたいだ。


「そうだな、回復魔法ぐらいの処置はしたかも知れないが、自然の掟には出来るだけ逆らわない様にしたいね」


「そうよね」


少し寂しそうなアンナである。

ここでナオミが提案をして来た。


「話は変わるんだけど、行先どうしようか?」

「パパはどうせ無駄な抵抗してるだろうし」

「どうしようか?」


「やはり、王都に行って陛下にあって頂かなければ、私達が困る」


騎士団副隊長のチチパスの言葉だ。


「だよね、じゃあ陛下に謁見した後は家に来るって事でいいかな?」

「お城じゃ落ち着かないだろうし、パパの弟子って事は、私にとって弟みたいな者だし」

「ロビン君が弟なら、アンナちゃんは義理妹(いもうと)か!!」

「アンナちゃんも、私の事お姉ちゃんて呼んでね♥」

「あと、狼君もよろしくね」


ナオミは一人で盛り上がりながら、アンナに熱い視線を向けている。

お姉ちゃんと呼んで、お姉ちゃんと呼んでとプレッシャーをかけている。


アンナはアンナで、もじもじしながら。


「お・ね・え・さ・ま・・・」


「きゃー、可愛いぃぃぃぃ」

「もう、誰にも渡さないわ、ロビン君だろうとパパや陛下だろうと」


そう言いながら、アンナに抱き着き一人でハイテンションMaxになっていったのであった。


冷めた目でナオミを見ながら、一応反論しようと思ったが、テンションMaxの相手はしたくないのでスルーしたロビンであった。





さて、その頃ニコラスは?


1時間以上追い駆けられて。

追い駆けられるのに疲れ。


「*****************」


「いい加減にしろ!」


と言いながら、超強力な一撃を発動させ、追跡者(しんじゃ)を追跡不能に追い込んだ。

そして、その一撃で髑髏型のきのこ雲が起こり、魔人族の人々が各地で見つけて、王城に報告が相次ぐのであった・・・





再び出発したロビン達は無事、王都城門に到着!

チチパスが入場手続きの為に席を外している時に、問題は起こった。


「キャーーーァーーー」


入場の為に城門に来ていたご婦人が、いきなり大きな声で叫ぶ。

辺りの人々が一斉にこちらを見て。


「人族がいるぞ!」

「二人も」


大きな声で叫んで、辺り一帯が騒然となる。

急いで、デミナー、ブパシ、パエスとナオミが魔王の客人だ、私たちがエスコートしているから大丈夫と大声で話をするが、騒然となり過ぎで声がかき消されていく。

しまいには、剣を抜き戦闘態勢を取る者や詠唱を始める者まで出てきてしまいもはや収拾がつかない状態だ。


そして・・・


「お前だな、ニコラス様を騙して弟子入りをした奴は!」


その言葉を聞いた人々が僕とアンナに敵意をむき出してくるのにさほど時間は掛からなかった。


「ロビン、覚悟を決めろ、もはや収拾は付かん」

「アンナとお前を背中に乗せて、逃げる事も可能だが」

「どうする!」


ウルフの言葉に、切迫感が漂う。


「しかし、この状況ではデミナー、ブパシ、パエス、ナオミの安全は保障できん」


答えが見つからず、逃げようかと考えていると、


父様(ウルフ)、ロビン君、私に考えがあります」

「私を守ってください」


「うむ」「わかった!」


二人の返事を聞くと、アンナは手を胸の前で組み祈りを捧げるように詠唱に入った。

凄い集中力でアンナの回りは神々しく輝きだす。


「攻撃させるなー!」

「いけー」


これを見て群衆が攻撃を仕掛けて来たが、初手は5人ですべて防いだ。

そして詠唱が完了。

アンナは目を見開いて!


「聖獣の福音」


術式を開放する。

アンナを中心に光の輪が広がり出し、一部は城門を越えて街中まで及んだ。

すると、光の輪に触れた人々がその場に静かに横になり、安らかな寝息を立て始めたではありませんか!。

半径300mぐらいの間に居る人々全員、人数にして200人以上が!

これで攻撃される危険性は去ったが、城門詰め所の中まで光の輪は届き、お城から異変に気が付き、騎士団が到着するまで待つ事となったのである。


ちなみに、ウルフ、デミナー、ブパシ、パエスとナオミにも効果が発揮されて、起きているのは僕とアンナだけであった。





つづく


最後まで読んで頂いてありがとうございます。

評価、ブックマークを頂けたら幸いです。

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