フライングし過ぎました2
翌朝・・・
スッキリと目が覚める僕。
昨日は、いきなり目の前が真っ白になり意識を失ったのだ。
「おはよう、大丈夫?」
部屋に入って来たアンナが声を掛けてくれる。
両手で桶を持ち、その桶には頭を冷やす用のタオルが掛かっていた。
水を替えに行っていたみたいだった。
「おはよう」
アンナの目を見て挨拶すると・・・
二人ともが、顔を真っ赤にして少し俯く。
「もう大丈夫」
「ごめんね、心配かけて」
真っ赤な顔をして、少し声がうわずりながら。
「うん」
顔を益々赤くして返事をしてくれるアンナ!
かわいすぎる。
「ロビン気が付いたのか」
ドカドカと足音をさせながら、ニコラスと賢狼が入ってくる。
折角のいい雰囲気が・・・
「しかし、ロビンもやるもんだね~ぇ」
「いきなりプロボースか?」
「俺にもその度胸は無いな!」
うんうんと頷く賢狼。
「えっ、プロポーズ???」
「告白・・・」
考え込む僕・・・
・・・・
・・・・
僕が考え中にニコラスは、僕の手を取り魔力の流れを確認していく。
ただ、軽口は忘れずに。
・・・・
・・・・
・・・・
「う~~~~~ん」
「これは・・・?」
「一体如何したらこうなる?」
考え込むニコラス。
ニコラスを言葉に不安を覚える僕。
それ以上に気になっているアンナ。
「ロビン当分は無理をしない事な」
「はい」
ニコラスの見立てには間違いないと思うので、無理はしないでおこう。
「ところでニコラス、賢狼殿、なぜ告白したって知っているのですか?」
ギロリと二人を見る。
二人は知らないふりをして口笛を吹きながらとぼけようとするが。
「二人とも!!!」
語尾がきつくなる。
「怒らない?」
「何をですか」
言葉がキツイ。
ニコラスと賢狼の言葉に、少し怒り気味で答える僕。
僕の言葉に諦めた様に話し出す。
「昨日夜中に、ロビンが抜け出したので後を付けて、現場で聞いていた」
「わしは、寝たふりをしていて、見事に罠に引っかかる小動物を見ていた」
ニコラスと賢狼の言葉に言葉を失う僕・・・
「・・・」
「若者をもてあそんで楽しいんですか!」⤴
「ごめんなさ~~~い」
僕の怒りの言葉に、二人は謝りながらその場をフェードアウトしていった・・・
困った大人?だ。
「ロビン君本当にいいの?」
二人が出て行った後、真剣な表情で僕に問い掛ける。
「私は・・・」
言葉を濁す。
「僕はアンナちゃんが、何者だろうと関係無い」
「もう一度言うよ」
アンナの目を見て、アンナの手を取り・・・
「僕とお付き合いして頂けますか?」
・・・
・・・
・・・
再度の告白と供に嫌な空気が流れだす。
取っていた手には力が入り、見つめていた目には、いや体全体から怒気が溢れ出して。
「ロビン君」
「昨日はプロポーズしてくれたのに、今日は何故、お付き合いなのですか?」
アンナは激怒状態で、静かに言葉を絞り出す。
目線は外さずに手からは万力を使ったように力を感じ、手は絶対に離れない状態にして、そして髪の毛は逆立って・・・
もはや、いつもの可愛いお淑やかなアンナではない。
この変わりように、ロビンは恐怖におののいた。
そして、全身から発する凄まじいプレッシャーを感じている。
・・・
・・・
第六感が囁く。
早くやり直せと・・・
今なら、間に合うとも。
数秒後・・・
「もとい」
恐怖に慄きながら、大きな声を出して目の前にいる巨大なプレッシャーと戦う?
「アンナちゃん、僕とずっと一緒に居て頂けますか?」
どうにかプレッシャーに打ち勝つ???
「はい♥」
可愛い声の返事と供に、怒気も、万力の力も、プレッシャーも、そして逆立っていた髪の毛も全てが、一瞬で元に戻りロビンに抱き着いてくる。
とても嬉しそうである。
ただ、ロビンはガタガタと噛み合わない奥歯を震わしながら、心に誓う。
アンナは怒らせたら怖いと、二度と怒らせない様にしなければと心に誓うのであった。
本気の聖獣は伊達では無かった。
いや、女は怖い!これが全てであろう(実証済)
つづく
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