大狼(賢狼)再び! 2
いま、一行は供に王都に向かっていた。
深夜まで及んだ二人の話は、取りあえず一緒に旅をして安全な住処を探すとニコラスから話を聞いたが・・・
何か裏があるように思えてならない。
そんな事を思いながらも、襲ってくる大型の爬虫類や昆虫を撃退していく。
「賢狼殿一つ聞きたいのですが!」
ニコラスが疑問をぶつける。
「王都までの街道に、大型の昆虫や爬虫類が姿を見せすぎの様に思うのですが?」
「・・・・申し訳ない」
「虫寄せをしている」
「昆虫や爬虫類の力を借りて、ロビン君やニコラス殿を排除しようと先に手を打っていたのだ」
「・・・・」
言葉が出ない僕とニコラス
「だが、思っていたより虫よせが効きすぎてこれは多すぎると思う」
「それでだ、街道の安全の為、頑張ってくれ」
「ロビン君!!!」
賢狼は全く悪びれず、後始末を僕に丸投げかい!
「まぁ、良いですけど」
「ごめんなさい」
「頑張って」
アンナが優しく応援してくれる。
この言葉に癒されて。
「頑張る!」
と宣言すると、旅路の安全の為頑張るのであった。
安全で快適な旅の為に頑張る僕に、優しく励ましてくれるアンナ。
一緒に歩き、色々な事の話をして同い年の二人が仲良くなるのに、時間は掛からなかった。
「どりゃ〜」
「ウオォォォ!」
「ダァァァ」
魔物や、昆虫,爬虫類を駆逐していきながら(素材、魔石の回収もわすれずに)森の中の街道を進む一行に、後から考えたら、最大のピンチが訪れる。
結界を張って進む僕に、敵意の無い動物や昆虫は監視対象から外し辺りを警戒しているのだが、進行ルートが交差してあの魔物と出会ってしまったのだ。
魔物にとっては、いきなりの対面で警戒態勢をとる。
具体的には、しっぽをぴんと上に伸ばし、体をくの字に曲げて顔と排泄口のあるお尻をこちらに向ける。そして、僕たちから目線を外さない。
黒毛が覆い尽くすボディーに頭からYの逆マークに近い白い模様のある魔物。
そう、スカンクの魔物である。
体長が2メーターを超える大物である。
全員がピタッと止まる。まるでだるまさんが転んだを遊んでいる時みたいに一糸乱れぬ動きだ。
そして、僕達全員の顔が青くなって行く・・・
(ゴーレム達以外が)
後は、スカンクを刺激しないように全員が少しづつ後ろに下がっていく、何の指示もないのに同じ行動をとっていく。
そろりそろりと・・・
しかし、空気を読めない者が居たのを、僕は忘れていた。
そう、スカンクを撃退しようと動き出したのだ。
僕の右後ろから、素早く距離を詰めだす。
スカンクの警戒心がMAXになったのがわかった。
「やめろーーー!」
力強く叫ぶ、ゴーレムを止める為に右手を横に出すが、すでに遅くゴーレムは僕の横をすり抜けて、ゴーレムに一撃を与えようと攻撃態勢に入る寸前で止まっのだが!
すると・・・
--ブッツ!・ブッツ!--
辺りに響く、毒ガスの発射音。
それと同時に辺りに漂い始める強烈な悪臭。
「おぇぇぇぇぇ」
「・・・・・」
「くぎゃや」
「うっ」
僕達全員(アンナは除く)が咳き込み、おう吐し、涙を流し、鼻水をたらしてのたうち回り始めた。
もう、何も解らない。
ただただ苦しむだけだ。
あれから、何分間全力で苦しんだのだろう。
「**********」
「ふぅぅぅぅぅ」
「助かった」
「ロビン君大丈夫?」
心配そうに見つめるアンナ。
アンナが回復魔法を掛けてくれたのだ。
「ありがとう」
聖獣の微笑みに癒される僕。
しかし、涙に鼻水だらけの凄い顔を見られてしまった。
ハズカシー!
急いで水筒の水で顔を洗い、現状の確認だ。
スカンクはもういない、ただ、体液をもろにかぶったゴーレムを如何し様か考えなければならないが・・・
それと、ニコラスや賢狼と狼達も落ち着きを取り戻していたが、どっと疲が出て座り込んでいた。
今日はもう動きたくない。
全員の気持ちが一致して、此処で野営する事となり僕達は最大のピンチを乗り越えたのであった。
ちなみに、アンナには聖獣の加護がスキルで付いている為、スカンクの攻撃も通用しなかったそうだ。
追伸
体液被りゴーレムは川で水洗いをさせても臭いは取れず、魔石だけ回収してボディは廃棄処分になった事を付け加えておこう。
つづく
最後まで読んで頂いてありがとうございます。
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