大狼(賢狼)再び!
「援護します!」
と言いながら、ファイアーボール(ショットガン)を取り囲んでいる巨大アリに撃ち、注意を此方に引く。
一撃で2.3匹を撃退する。
なにかおかしい?
魔人族の姿なのに、ニコラス達と何かが違う!
そんな事を思いながらも、攻撃の手は緩めない。
「まだまだ!」
続けざまに、ファイアーボール(ショットガン)を連発して、巨大アリ達と距離を取る事に成功するが。、仲間が倒されたのに関係なく次から次に湧いてくる。
ファイアーボールの連発で10匹ぐらい倒したのに、アリたちに恐怖心は無いのだろうか?
などと考えながら、一掃していく!
結局、全滅させてしまった。
あっ!
やっぱりそうだ。
全滅させて近づくと、疑問が確信に変わる。
僕達に向ける殺気が無いから臨戦態勢取らなくていいよね?
まあ、油断はしないけどそんな事を考えながら。
「ありがとう、助かった」
一行を代表して、紳士が声をかけてきた。
「間に合ってよかった」
「大狼殿!」
僕の言葉に、緊張が一気に辺りを支配していく。
そして、三人の魔人族は臨戦態勢をとる。
その行動が答えを示しているのだが。
「私は、魔人族の男性だが?」
魔人族の紳士は返答するが。
「いやいや、匂いですよ」
「先日の戦いで、体当たり?されて大ケガをしてますから」
「その時の匂いと同じだし、それと彼女の良い香りで判りましたよ」
彼女にぺこりと頭を下げる。
女の子に匂うと言ってしまったから。
「これは参った!」
「姿や魔力量ばかり気にしていたが」
「まさか、匂いでばれるとは」
大狼とは言え、自分の匂いは無頓着らしい。
魔族の紳士(大狼)は頭をかきながら、素直に認めた。
「また、どうして?」
ストレートに聞く。
「まあ、あれだ」
「寝首を掻くためにな!」
思わず身構えてしまう僕。
ただ、大狼(魔人族の紳士)から殺気は感じられない。
「ただ、正体を見破られてしまっては、お願いするしかあるまい!」
「詳しい話は、山を抜けて麓に付いてからでいいかな?」
話ながら、後方目掛けて、衝撃波を放ち巨大ムカデを追い払う。
それから約三時間かけて山を抜け麓までたどり着いた。
何とも言えない空気が流れた三時間だった。
「さて、何処から話そうか?」
そう言いながら、大狼がゆっくりと遠くを見るように話し始める。
「あれは、12年前の事で」
「女神様の降臨は、いきなりだった」
「当時は一族を率いて、良い立地の縄張りを守る為の戦いに明け暮れていてね」
「殺伐とした生活を送っていた、そんな時にだった」
「女神様から、アンナ(ユニコーン)を託されたんだ」
「それからは、アンナを守る事を第一に一族を率いてこの地まで、流れて来てんだ」
「ここからがお願いなんだが、アンナの事を秘密にしてくれないか?」
「女神様から託された聖獣がいる事が知れると、どの様な事が起こるか考えて見てくれ」
「......」
「命を狙って置いて、お願い出来る立場で無いのは判っている」
「それでも、お願いできないだろうか?」
「...........」
話しを聞いて、返事に困り、ニコラスを見ると。
ニコラスが笑みをこぼしながらこちらを見て、ロビンが決めろと目が語っている。
心の中で、お~れ?
ニコラスの意地悪。
事情を知ってしまえば、簡単に広めてよい話でない。
すると、選択肢は一つ。
「判りました」
「この話は、黙っておきます」
「ありがとう」
深々と頭を下げる、大狼ととアンナ。
ウンウンと頷く、ニコラス。
「では、改めて自己紹介をしょう」
「私はマカミ、狼一族の長をとている」
「そして、娘のアンナ(ユニコ)」
ニッコリと笑う。
「後ろに入る者達はダニエル・クラ―ン・ロレンジの三人だ」
ペコリと頭を下げる3人
「よろしく頼む!」
ニコラスが自己紹介で驚いて!
興奮気味で話を始めた。
「あなたが、賢狼マカミ殿ですか!」
「ロビン、俺達運がよかったぞ!」
「賢狼と言えば、魔人族では知らない物がいないほど有名で、敵にすれば厄介この上ない存在だ」
「よくもまぁ、命があったものだ」
ニコラスの語りに、マカミが少し照れている。
反応がかわいい?
今度は、うちらの番だ。
「僕はロビンです」
「そして、師匠(仮)のニコラス」
右手を上げて挨拶をする。
「この子が、ゴーレムのロック」
丁寧に挨拶をするロック。
「ニコラス?」
「あのニコラス?」
賢狼殿が驚いている。
「賢狼殿、どうしたんですか?」
疑問をぶつけるロビン。
「ロビン君、ニコラス殿は良い意味でも、悪い意味でも有名でな」
「若い頃はニコラス殿が通った後には、ぺんぺん草すらも生えないと言われる程の荒くれ者だったんだ」
「それが、いつのまにか魔人国で三巨頭の1人に数えられる様になったが、確か弟子は取ったことは無かったと思うのだが?」
「賢狼殿余りいじめないで下さい」
「昔は荒れていましたが、今は改心?して初めて弟子(仮)を取り、迷惑が掛からない様に、田舎で暮らしているのですから」
痛い過去をバラサレテ少し恥ずかしそうだ。
「ただ、ニコラス殿が本気だったら、最初の時点で一族が滅んでいただろう」
「そしたら・・・」
「そんな事は考えたくないな」
「それは、仮定の話しで意味は無いでしょう」
「これからの事を考えましょう」
ニコラスの提案で、ニコラスと賢狼は夜遅くまでこれからの事を、話し合うのであった。
つづく
最後まで読んで頂いてありがとうございます。
評価、ブックマークを頂けたら幸いです。




