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魔人族の王都へ出発したら!

ロビンからの手紙で兄弟子が走り回っているころ。

一緒に暮らす(弟子入り?)が決まってからのニコラスの行動も早かった。

(ダンジョン)のメンテナンスを素早く済ませ、1ヶ月はメンテナンスがいらない状態にしてから何か準備を始めていた。


「ヘザー、ロビンを連れて都まで行ってくるから」


「はいはい、分かりました」

「今回も留守番ですね」

「じゃあ、ロビン君の荷物の用意をしてきますね」


そう言うと奥に消えて行くヘザー。


「ロビン、一緒に都に行ってもらうよ」

「これからの為と、ロビンの勉強の為に!」


「選択肢は?」


「イエスかハイで、お答えください」


迫力のある○生○郎似がそこには立っていた。


「判りました、選択肢は無いと言う事ですね(笑)」


「この旅だけでも、かなりの経験になるぞ」

「楽しみにしていてくれ」


「ちなみに、出発は?」


「明日だ!」


「善は急げですね」


「その通りだ」


元日本人同士のおかしな?一体感であった。



翌日、朝。



「行ってきま~す!」


ヘザーに見送られながら出発する。

普通の街道を二人で歩いて行く、何も変化の無い道を。

ただ、二人の会話は途切れない。

魔道の話をしながら街道をひたすら歩いて行くのだった。

街道沿いには、建物は無く木が立つている処や、林が多少あるだけでだったが、街道が山道に差し掛かろうとした地点で、ニコラスが提案して来た。


「この辺りで、野営するか!」


太陽が大分傾いているのと、山道に入るからだ。

少し早いが色々あるから、ニコラスの提案に頷く僕。


「さて、やるか!」

「*************」


詠唱をして、術を発動させる。

すると、簡易な家が土を素材にして出来上がった。


「ベースキャンプはここにするから、薪を拾って来てくれ」


「はい!」


元気に返事をすると、僕はアイテムポーチからゴーレム2体を取り出して、薪ひろいの指示を出す。

その間に、僕も薪を拾いながら周りの確認をしていく。


今回、薪拾いに出したゴーレムは、ニコラスのアドバイスで完成に至ったゴーレム達である。

魔力効率が非常に良くなり、魔力切れの心配が基本的には無くなった。

ただ、Maxでの稼働時間は15分が限度であるが、魔力消費問題を解決出来たゴーレム達である。

ちなみに、全部で12体今回持ってきている。

こんなに持って来るつもりは無かったのだが、アイテムポーチに入れっぱなしにしていたから、仕方なく持ってきた。

野宿で一番大変な夜の見張りを担当してもらおう。

これで安心して眠る事が出来るから。

周りを確認して、念の為にゴーレムを何体か監視役に置いておいてから、薪を持って帰る。


帰ってからは、テキパキと火をおこして、食事の準備をして明るいうちに準備完了だ。


日も暮れて来たので、食事を済まして早々に眠る事となったが、眠る前にゴーレムのロック(名前持ち)をアイテムポーチ出して、後の事をお願いして眠りに就く。

ロックは僕が持っていた一番大きな魔石を使い作った、一番能力の高いゴーレムであり、12体のゴーレム達の要でもある。

執事であり、ゴーレム隊の隊長でもあり、そつなく何事もこなせる頼りになる相棒であった。



ガバッ!


真夜中を迎えたころ、僕は何者かが近づいてくる魔力を感じて飛び起きた。

隣を見ると、真っ暗だがニコラスも起きたみたいで、回りを警戒している。


「マスター」

「未確認の魔物たちが、近づいて来ます」


ロックが僕とニコラスを起こしに来た。


「このゴーレム達と、建物の守りを固めてくれ」


アイテムホーチから、残りのゴーレムをすべて出して、守りの支持を出すと。


「**************」


詠唱して、結界を発動させる。

ニコラスと出会った時と同じ、魔力攻撃が効かない結界であるが、その改良版で僕の攻撃は出来る様に、バージョンアップしていた。

そして、結界の中ではロックをはじめゴーレム達は魔力切れをおこさない仕様だ。


今できる、迎撃態勢を整えてから建物から出てみると・・・

建物を遠巻きに囲んで此方の出方を伺っている。


僕は緊張いや、プレッシャーを感じて気弱になりかけた所に、この状況を楽しんでますと顔に描いているニコラスが僕の横に立ち、背中をポンポンと軽く叩き、力の入り過ぎを指摘しながら、周りを見回していた。


「大丈夫だ、俺が付いている」


周りを見回す余裕が無い僕を指導するように、落ち着いて語り掛けてくれる。


「ロビンの結界とゴーレム達がそろっているから、落ち着いて対応したら俺が手を貸さなくても守り切れるから」

「俺が、手を出したら圧勝だけどな!」


ニカと笑いながら僕に語り掛けてくれる、落ち着きを取り戻せるように。

この人は、どれだけの修羅場を越えて来たのかと考える余裕が少し生まれた。


「こういう時は、此方から手を出さずに守りに徹してチャンスをまとう」


ここから、約10分間ぐらいにらみ合いが続いたが、その後は潮が引く様に僕達を取り囲んでいた魔力は無くなった。


「ふぅ」

「引いてくれたか」


魔力を感じなくなって一息つけたが、もう力が入り過ぎていてクタクタであり全身汗だくである。


「ロビンもまだまだだな」

「実戦経験が足りんな」


笑い飛ばすように声を掛けてくれるニコラス。


「これは、どういう事でしょうか」


疑問がでる。

此方は何もしていないからだ。


「たぶん、森には入らずに帰れと言うメッセージだ」

「ただ、売られた喧嘩は買う」

「おもいっきり高くな」


悪だくみしてますと顔に描いていて、付き合う僕が大変な目に合いそうである。


「後は、ロック達に任せてもうひと眠りをしよう」

「頼んだぞ、ロック」


「はい、ニコラス様」

「安心してお休みください」


「じゃあ、もうひと眠りだ、行くぞ」


ニコラスに連れられながら、建物に戻るも朝まで眠る事は出来ずに夜明けを迎えたのであった。



つづく










最後まで読んで頂いてありがとうございます。

評価、ブックマークを頂けたら幸いです。

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