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連れ去られたら、あれ?

超初心者用ダンジョンに魔族(魔人族)が現れたニュースはすぐさま王宮に連絡が行く。

国王は軍に命じ直ぐに動員できる可能な最大人数で、ダンジョンでの魔族(魔人族)捜索とロビンの救助を決定する。

翌日には捜索(救助)が開始され地下1階から4階まで捜索をしたが、手掛かり一つ無く1週間の捜索(救助)で打ち切りが決定された。

以後、このダンジョンは立ち入り禁止となり、入り口が閉じられたのである。


そして、兄弟子の手元にはロビンのレイピアが発見物として届けられ、それを見て泣き崩れるキャロラインとキャロラインを優しく抱きしめるキャロリーン達の姿があった。



時間は少し巻き戻り、麻○似の魔人族は転送後、自宅兼研究室に転移した。

後で知ったが、ここはダンジョンの地下五階でダンジョンからの入口は無く転移で出入りしているとの事だった。


急いで魔術で服を脱がし、頑なに主人を守る意思を見せているらしい盾を外して、調整槽に丁寧に僕を沈める。


「**************」


特殊な治癒魔術の術式を発動させて、さらに。


「*************」


別の治癒魔法を発動させる。

僕の顔が苦悶の表情から解放されたのを見て。


「ふぅ、間に合った」


○○太郎似のダンディな魔人族が一息を付いた。


「しかし、こいつは何者なんだ?」

「結界を発動させたはいいが、ダンジョンのコアと共鳴を始めるなんて???」

「今は考えても仕方の無い事だ、治療が終わったら本人に聞くとしよう」


そう思うと、研究室を後にするのであった。






それから1ヶ月後・・・


「ガシャーン!」


机からマグカップが落ちて割れる音が、研究室に響く。


この音に反応して、僕は目を覚ました。


今の状況が理解できない。

水の中にいる?

息ができる?

向こう側には人がいる?

裸?

何がどうなっているのやら分からない。


人がこちらに気が付き近づいて来た。

肌の色が違う。

あの時の魔人族(○そ○た○うに)だ。

とっさに身構えたが裸では何もできない。


「い#か'%ずを*く##」


何か言っているのだが、水中ではうまく聞こえない。

ただ、今から水を抜くらしいとジェスチャーで伝えてきた。


排水口から水が流れ出るのを感じながらしばらく待つ。

顔が空気に触れると、咳き込み水を吐き出して呼吸が出来る様になった。


「取りあえず、これで前を隠せ」


真っ裸であるのでタオルをくれて(むすこ)を隠す。


「今から、風呂にいくぞ」


「風呂?!」


ここに風呂?

魔人族も風呂?

そんな事を思いながらも、風呂に案内されてた。

「汚れを落として温もって来いよ」

と言われて脱衣所を通り抜けてお風呂場に入る。


「えっ」

「温泉や!」


見事な檜風呂がそこにはあった。

妙にテンションが上がる。


「とぅ!」


喜んで風呂に飛び込んだ。


「あ~! 気持ちいい」

「風呂最高!」


やはり日本人である、お風呂は大好きだ。


「ここに、着替えとタオルを置いておきますね」


女性の声が脱衣所から聞こえた。


「ありがとうございます」


素直にお礼を言い、散々お風呂を堪能してしまった。


お風呂から上がり、脱衣所を出ると明るい部屋の方に向かうと。


「サッパリしたか!」

「まぁ、座れ」


魔人族(○そ○た○うに)の横側に座る。

掘りごたつに足を突っ込んでだ。

畳に座布団そして、掘りごたつ、正に日本の居間だ。


「改めて、先日は済まなかった」

「君が発動させた結界がこの(ダンジョン)と共鳴して、この(ダンジョン)

に何が起こるか分からない状況になったので強制的に結界を解除させた」

「ただ、君の反撃が思いのほか鋭いから、思わず一撃を入れてしまいもうちょっとで、あの世に旅立たせる所だった」

「すまなかった」


素直に謝ってくる魔人族(○○太郎)。


「いえいえ」

「事情が判れば、反対にご迷惑をお掛けしたのは僕のほうですから」

「気にしないで下さい」

「そして、治療していただきありがとうございます」

「僕はロビンといいます」


「私はニコラス、妻はヘザーだ」

「よろしくたのむ」


「よろしくね」


「はい、よろしくお願いします」



魔人族(麻○○○)さんの言葉を信用することにした。

思い出したのだが、ダンジョンの異常を解消するために、○○太○さんは結界の解除を求めてきた。

しかし、それに答えなかったのは僕のほうで、強制的に解消したのを攻撃されたと思い反撃して返り討ちに遭い死に掛けたのだから。

そのまま放置でも困らない所を、ワザワザ助けてくれた。

実力でも太刀打ちできないし、僕がどうなろうと関係の無い人が助けてくれている、信じるには十分だろう。


「まぁ、これからの話は飯でも食べながら話そう」


そう言って食事をとる事になるが、食卓に並ぶのがご飯に味噌汁・焼き魚に厚焼き玉子に御漬物。


僕は??????が並びながら準備が整うのを待つ。

こっちの世界に来て、初めての日本食!

ヒャホー!


「では、いただこうか」


「はい」

「いただきます!」


お箸を持って、白米を口に運び、すごくおいしそうに食べるのを目が点になりながら二人が見つめていた。


「お前、日本人か?」


恐る恐るニコラスが聞いて来た。


「はひ!」

「そうです」


あっけらかんと答える。


「そうか」


嬉しそうに僕の背中をバンバンと叩く。


「そうか、そうか」


1人納得したように頷きながら。


「私とヘザーも元日本人なんだ」


「やっぱり、そうですか」


檜風呂に、この食事日本人がらみと思っていたが元日本人だったか!


麻○○○に似ているのも元日本人だからか?


「私もヘザーも前世が日本人で、前世の記憶を思い出したんだ」


「そう、私も元日本人よ」


「ただ、前世を思い出してしまったら、魔人族の中での生活に違和感を感じてしまって、こんな片田舎に住んでいるんだよ」


「食事もまったく違うしね」

「魔人族なのにその中で生活が出来なかったからね」


しみじみと語るお二人。

そこからは、日本の思い出を三人で語り合う。


面白い事に、ニコラスさんは僕より日本人年齢で10歳年上だが、此方の年齢では155才だし、ヘザーさんは僕より××さい年上だったが此方の年齢では107才で時間軸が此方の世界と日本では違う事が何となく分かった。

そんなこんなで、三人は夜遅くまで話に花を咲かせるのであった。



翌日



「おはようございます」


眠い目をこすりながら、起きて来た僕。

TKGを食べながらニコラスさんが話し掛けてくる。


「ロビン君、君には申し訳ないがもう一週間ぐらいここに居てもらうよ」

「経過観察だけど」

「まぁ、念のためにね」


「分かりました」


ここからの一週間は、一日が非常に速かった。

ニコラスのあとを付いて回り、今までに見た事も無い、魔術の発動や魔法陣に触れ、また、ダンジョンの維持管理に面白さを感じ質問攻めの日々を過ごしたのだ。

それだけで無く、試作中のゴーレムを出してあぁだこうだと改良を重ねて完成と言えるまで、仕上げてしまった。

2週間後には、師弟関係に近い物が出来ていたのである。

当初の予定を7日もオーバーして。


「なぁ、ロビン」

「このまま、此処で勉強(せいかつ)していかないか?」


唐突に話を切り出すニコラス。


「よろしくお願いします」


何も考えずに、即答した。

この二週間は非常に充実して魔道士としてレベルアップしていると実感が出来るほどの充実した日々であったからだ。


「ロビン君、ここで暮らすのは良いけど、あなたを待っている人はいないの」


ヘザーの冷静な言葉に、初めて思い出す。

キャロラインや兄弟子にマーサ、そしてクラスメイトに先生方や先輩の事を。


「あっ、そうですよね~ぇ」

「でも、ここで色々教えてもらいたいのが本音で」


ニコラスの表情が明るくなりうんうんと頷いている。


「じぁ、手紙を書いて無事を知らせなさい」

「全てはそこからよ」


僕は急いで3通の手紙を書いた。

マーサと兄弟子とキャロラインにあてて。


「書けました」

「じゃ、近くの村まで行ってお願いしてきますね」


そう言うと、走り出したロビン。


「まてまて」

「もうすぐ来るから!」


落ち着いて声を掛けるニコラス。

そんな事を言っていると。


魔法陣が急に表れ光り出したら、僕の半分くらいの背丈の魔人族の男が現れた。

帽子に制服、そして大きなカバンを携えて。


「お呼びですかい、旦那!」


「あぁ、待ってた」

「この手紙をここに届けてくれ」


「珍しいですね」

「人間の国に配達に行けるなんて」


「大丈夫か?」


「問題ないです」


「じぁ、急ぎで頼む」


「わかりました」

「料金は・・・」


「あぁ、分かっている、いつもと同じていいんだな」


「はい」


「じぁ、よろしく頼む」


「まいどあり」


そう言うと、また魔法陣が光だして男は消えて行った。




そして、配達人の魔法陣は兄弟子の家の前で光り出して、辺りがパット明るくなる。

一瞬明るくなったと思ったら、ドアの前には魔人族の配達人が立って、ドアをノックする。


トントントン!


「ハーイ」


ドシ


返事と供に、キャロリーンがドアを開けるも、尻餅をついて口をパクパクさせて言葉にならない。

それはそうだろう、目の前に魔人族の配達人が立っているのだから。


「この手紙を預かってきました」


そう言うと3通の手紙をキャロリーンに渡して魔人族の配達人は、光と供に消えて行った。

尻餅をついて、腰を抜かしてしまい言葉にならないキャロリーンだが、手紙の送り主を見てもっと驚いてしまうのであった。


この後、兄弟子は報告に駆けずり回り、また、師匠の家まで訪ねて非常に大変な思いをする、また、キャロラインは手紙を見て大泣きをし、読んでは大泣きをしてうれし涙が止まらなくなっていたのであった。




つづく




最後まで読んで頂いてありがとうございます。

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