郊外学習で2
折角のダンジョンをゴーレムのお披露目に時間を取られて、昼からダンジョンに向かう。
ただ今、ゴーレムはアイテムポーチの中で充電中である。
他の一回生は何処にいるのかも解らないまま、地下一階のダンジョンを探索する。
先生の話を聞きながら、初めてのダンジョンを楽しんだ。
「しかし、不思議ですね」
「地下の筈なのに、明るいし木や森それに川が流れ生態系が存在している」
「本当に地下のダンジョンか疑ってしまいます」
僕の質問に先生が答えてくれた。
「ここは、特別なダンジョンで他のダンジョンとか、ここの地下2.3.4階は暗い迷路になっているから」
「色々な角度からの体験が出来るから、泊まり込みで来る価値があるんだよ」
「普通のダンジョンでは無いから」
僕達はその説明に聞き入いっている。
「まぁ、ダンジョンのいろはを覚えるのには調度いい所さ」
「なぁ!」
「そうだな」
「うむ」
頷く、両士団長。
そんな話をしながら、初日のダンジョン探索は終わったのである。
翌日の朝。
「ドミニクを知らないか?」
集合場所には、ダリアとエリーナしかいなかったからだ。
「朝から探しているんだが」
「昨日の夜には部屋にいたのに、朝には居なかったから」
「あそこに並んでるわよ」
面白そうに答える二人。
「就寝時間の後、宿泊施設を抜け出して女の子と遊ぼうとして、騎士団員につかまったみたい」
「今日は一日ハードな訓練になるみたいね」
「まぁ、ドミニクらしいですけど」
「ドミニク~、今日は頑張ってね~ぇ♥」
笑顔に大きな声で、面白そうに声を掛けた。
「お~ぅ」
情けなさ層に返事が来たが、身から出た錆である。
「まぁ、ドミニクはほっといて」
「今日も楽しみだ」
「そうだね」
「うん」
さぁ、二日目のスタートである。
二日目は、本当にダンジョンらしく暗くて迷路になっているし、定番の落とし穴や、宝箱に隠し部屋などダンジョンらしいトラップを勉強した。
最後に、転送トラップで地下一階に帰り、二日目の予定終了である。
何事も無く?、ダンジョン探索か終わった。
「最後に魔道士団長より、あいさつがある」
集合場所に集まり座っている生徒達の前で。
「魔道士団長のロイだ」
「二日間お疲れさん、今回で良い経験が出来たであろう」
「今後とも、精進をして我が魔道士団に入団できる強者を待っている」
「君たちは非常に恵まれている」
「この学年には化物がいる、この化物に追い付こうと頑張れば自然と道は開かれるであろう」
「以上だ」
「そうだ、化物」
「折角なんだ、何か面白い事をやってくれ」
士団長の無茶ぶりである。
「学校だと出来ない事が多いだろう」
「此処だったら、誰の迷惑にもならないからな」
「士団長、無茶言わないでください」
「士団長命令だ」
「やれ(笑)」
ロイのむちゃくちゃな言葉で、引くに引けなくなった。
「士団長、今回だけですからね」
少し怒り気味に話しながら前に出てくる。
そして、皆から10mくらい離れた。
「では、MAXで行きます」
「***************」
「ハァ―!」
気合を入れた一言で、術の発動完了である。
発動後、全身に悪寒が走る。
何かに射抜かれたみたいだ。
「ロビン」
「これは何だ?」
「何の変化も無いぞー!」
スタンは何が起こっているのか判らないみたいだ。
ロイやラファエル先生は、ロビンの回りに強力な結界が現れた事に気が付いているが、何の為の結界なのかまでは理解できていない。
「先生、やばい」
「地下から何かが来る」
全身に鳥肌が立つ!
「何だ?」
「地下から」
「来たー!」
僕の後ろ20mくらいに、魔法陣が光り輝き光が収まるとダンディな紳士が立っていた。
背広にネクタイと帽子。
麻○太○みたいにダンディな紳士だ。
葉巻にステッキが非常にに合いそうだ。
ただ、肌の色が違う。
「魔族だ」
誰かが叫ぶ。
「違う!」
「魔人族だ!」
ダンディな紳士の最初の一言だ。
「おい、そこのお前」
「直ぐに、結界を解除しろ!」
「早くしないと、家が大変な事になる」
「早く!」
○○太郎が訴えてくる。
「早く!」
○生太○が訴えてきている時には、先生(ラファエル先生を除く)と生徒はもうパニックである。
ギャーと声を上げながら、全員がダンジョンの出口目指して走っている。
普段からは想像が出来ない速さで。
我先にと他人を押しのけ突っ走って。
両士団長や兄弟子たちとラファエル先生は直ぐに臨戦態勢を整え、麻○太○を取り囲もうと動き出す。
誰が命令したわけでもないが流石である。
「えぇぃ、強制的に解除する」
「はぁー!」
力強い声と供に右手を突き出した。
衝撃波が僕を襲う。
麻○○郎の一撃は結界が後ろにそらす。
「マジか!」
麻○○○が驚いている。
この結界は自身に魔術攻撃を受けた時に攻撃を後ろに受け流すのだ。
ただ、この一撃で両士団員+先生が吹っ飛んで戦闘不能に陥った。
立っているのは僕だけだ。
「やばい」
盾を前面に押し出し、結界の中で防御体制をとる。
勿論、レイピアを抜いて。
結界を展開していると、此方から魔道攻撃できないが攻撃を受ける事も無いが、兄弟子たちが心配だ。
ここは、攻撃に転じるしか無いと一瞬で判断をしてチャンスをうかがうが。
お構いなしに麻○太○は突っ込んでくる。
「どりゃー」
気合で結界内に侵入して、僕を攻撃するのではなく結界を展開して僕の結界を打ち消した!!!
「えぇぇぇぇぇ」
叫ぶ僕。
「ふぅ~」
と一息つく○生○郎。
「はぁぁぁぁ!」
僕はチャンスと思い、気合と供にレイピアを突き出す。
勿論、炎付きだ。
「甘い」
力強い言葉と供に麻○太○は僕の方に踏み込んできた。
「ドスッ」
剣先よりも早く踏み込み僕の右腕を左腕で払い、右手のパンチが僕のボディに刺さり鈍い音が響いた。
「*-+-/#$"」
僕は声にならない声を上げてのた打ち回る。
「取りあえず、最悪は防げたか!」
「ここからが、また大変だな」
そんな事を言いながら立ち去ろうとするが。
「*-+"#$%&&'」
「ゃゃぉぇぅぉゅ」
言葉にならない言葉を発しながら、ずっとのた打ち回っている僕の所に来て。
「こっちも不味い」
「やり過ぎた」
ケガの様子を確認したのだろう。
麻○○郎似の魔人族は僕に触ると転移陣を発動させて、僕と供に光に包まれ消えて行った。
「ロビーーーーン!」
後には戦闘不能の兄弟子の叫ぶ声がダンジョンに響くだけであった。
つづく
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