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郊外学習で!

学校に入学して半年が立とうとしている。

学校生活とゴーレム研と魔道士団を掛け持ちしながら、快適な学生生活を送っている。

ただ、兄弟子とキャロリーンが下宿代を受け取ってくれないので、ドミニク、ダリア、エリーナと供に冒険者ギルドで依頼を受けて狩に行き、現物支給で納めている今日この頃である。


そして、今日は一回生全員で一泊二日の校外学習、ダンジョンの攻略の仕方を習いに来ている。

ただ、ダンジョンと言っても、1.2階層の安全な場所を探索するのだが。

このダンジョンは、超初心者用のダンジョンでしかもこの地下1.2階ならまず、死ぬ事は無いと言われるほど簡単な、学生がダンジョン攻略のいろはを体験するには最適なダンジョンだ。

だって、魔物と言っても魔石の取れないランク外の魔物しか出ないダンジョンだからだ。

ただ万が一が遭ったら困るので、助っ人を呼んであるそうだ。


「すまん、遅れた」


魔道士団長ロイ、近衞騎士団長スタンが団員を率いてやって来って、ラファエル先生と話し出した。

今日はフランクに話をしている。

どうゆう事?

討伐の時には、こんな感じでは話していなかったのに?


「おーい、ロビンちょっと来てくれ!」


ロイ士団長のお呼びだ。


「はい」


返事をして駆けだした。

連絡事項を聞いた後、ロイ士団長が聞いて来た。


「ラファエル(こいつ)は先生が務まっているか(笑い)」


「はい、凄く良い先生てです」


よいしょっと!


「自分には無い、知識と体験談でご指導いただいています」


よいしょっと!


「しかし、ラファエル(こいつ)に先生が務まるなんてな!」


「士団長、お伺いしてもいいですか」

「ラファエル先生とお知り合い何ですか?」


「お前、まだ言ってなかったのか」

「ラファエルと俺は、同級生で魔道士団に入団したバリバリの魔道士だったんだ」

「任務の時には、オラオラ言いながら一番に突っ込んでいった暴れん坊さ!」

「ただ、任務の時に片腕を無くして士団での仕事が無理になったのだが、当時の学校長がここの先生になって後進の指導に当たってくれと声を掛けて今に至るだ」

「ざっと、こんな感じだ」


「そうだったんですね!」


「ロイとは、腐れ縁さ」

「ただ、お互い忙しいから、飲みにも行けないがな」

「まあ、こんな話をし出したら止まらないから、本題に戻ろう」


元魔道士団員だからスタンとも仲が良い。

お互いに、考えるな感じろタイプだからかな?


「今回もよろしく!」




早速各班に分かれて、ダンジョンに入って行くもちろん、保護者付きで。

僕達は4人しか居ないのに、両士団長が付いてきた。


「いいんですか?」

「僕達に付いて来て」


「あぁ、いいんだよ」

「子守は部下に任せて、俺達はロビンが作っているお人形(ゴーレム)に関心があるからな」


「後でスタン近衛騎士団長にお願しようと思ってたんですが」

「お聞き頂けますか?」


その言葉を聞いて皆が興味津々だ!


「僕のゴーレム1号と2号に剣の演武を見せて頂きたいのです」

「それを見てどれだけ学習能力があるか試してみたくて」

「お願いしてもいいですか?」


「あぁ、いいとも」

「じゃあ、今から始めよう」


「今からは、ダンジョンが・・・」


「いいから、いいから」


「ダンジョンに行きたいよ~~~~~~!」


お願いしたばっかりに初ダンジョンはお預けになってしまった。

先生も其方に興味があったらしく、簡単に許可を出した。


うそーー

だんじょ~~~ん!


結局、ドミニク、ダリア、エリーナもこっちの方が面白そうといって付いて来た。

皆、酔狂だね。


ダンジョン入口横の広場に移動して、ゴーレム1・2号をアイテムボックスが取り出した。


「*********」


呪文を詠唱し、魔力結界を形成してスタン士団長と1号と2号を結界の中に取り込んだら準備OKだ。


「スタン士団長、合図をしたら最初は素振りから、初めて段々難しい動きをしていってください」


少し間を置き、僕は結界集中してスタンの動きを把握する。


「では、お願いします」


スタン近衛騎士団長の演武が始まった。

簡単な素振りから始めたが、それすら洗練されて綺麗な動きだ。

基本の素振りから始まった演武は、段々迫力を増していく、迫力のある剛剣がうなりを上げる。しかし、力任せではない洗練された動き、剛柔併せ持つ素晴らしい演武だ。

剣を習った事のある人なら、この演武がどれだけ素晴らしい物かわかるだろう。

僕は演武に見入ってしまい、鳥肌が立って感動に近い物を覚えてしまった。


シャキィーン


剣が鞘に収まって演武終了である。


「スタン近衛騎士団長ありがとうございました」

「素晴らしい、演武でした」


「ロビン、褒めたらだめだ」

「図に乗るから」


横から、ラファエル先生が笑いながら突っ込みを入れて、場が和んだ。


「そんな事は置いといて、今の演武とゴーレムの学習能力とどういう関係があるのかな?」


スタン近衛騎士団長の質問である。


「僕もどれだけ出来るか解らないので、物は試しに演武をさせてみます」

「では、1.2号演武スタート」


1号と2号には木刀を握らせている。

演武がスタートすると、スタン近衛騎士団長と全く同じ動きの演武を2体が同時にしている。

見ている全員の目が点になっていた。

勿論僕も!

スタンが何年もかけて練り上げて来た剣技を真似しているのである。


「・・・・」

「・・・・」

「・・・・」


演武中には、瞬きも忘れて見入っていた。


「ロビンは凄い物を作ったね、学習能力の有るゴーレムなんて」

「ここまで俺の演武が再現できるなんて、このゴーレムも立派な戦士だな」


演武が終わり、ラファエル先生が冷静に評価してくれる。


「しかし、ダメなんです」

「致命的な欠点があって」

「これを、改善できる方法が思いつかないんです」


「これだけ、凄い事が出来るのに」


スタン近衛騎士団長の問いである。


「欠点とは、学習する時には魔力結界の中で演武をして貰わないと駄目だし、コアに使っている魔石が小さいので、直ぐに魔力切れを起こすので、補充が必要な為に長時間稼働に問題があるんです」

「実際に試してみましょうか?」


「スタン近衛騎士団長・ドミニク、ゴーレムと模擬戦をしてもらえますか?」


「やっと俺の出番!」

「壊しても良いのかい」


嬉しそうなドミニクに、ゴーレムを壊してしまったらと心配するスタン近衛騎士団長。


「問題ないですよ」

「思いっきり行ってください」

「じゃあ、結界を解除しますね」


ぱーん


両手を叩いて、強制的に魔力結界を解除する。


「ドミニク、術を使ってもいいから、思いっきり戦ってね」


「りょうか~い!」


ゆるい返事が帰ってくる。


「では、お願いします」


ゴーレムとの模擬戦スタート。


スタン近衛騎士団長と1号が、ドミニクと2号が戦う。


早速、ドミニクが詠唱をしてウォーターアローで先制攻撃に出るが、二体とも無駄のない動きで、回避して対戦相手との距離を一気に詰める。

スタンに対して1号が、上段より切り掛かるが剣技で受け流し抜き胴を狙いにいくが、それを交わす1号と、高等な動きの応酬をしだす。

まるで、二人で演武をしているようだ。


また、ドミニクは距離を取りながら遠距離攻撃に徹している、魔道士は近づがれたら終わりだからだ。

接近戦にはめっぽう弱い。

ただ、2号の鋭い踏み込みにひやひやものだし、距離を取るのに必死だ。


5分を越え2体の模擬戦を見ながら、もうそろそろかな?と思っていると急にゴーレムが動かなくなった。


「あれ」

「えぇ!」


二人が驚く。


「これが、限界なんです」

「まぁ、これから要研究です」


「ドミニクどうだった?」


「あれが、ゴーレムの動きか?」

「歴戦の戦士と戦っているみたいで、ヒヤヒヤものだったぜ!」


「スタン近衛騎士団長はどうでしたか?」


「自分と戦っているみたいで嫌だった」

「もう自分とはしたくないな」


「スタン近衛騎士団長、ありがとうございました」

「ドミニク、ありがとう」


「ロビンこの解決策はあるのか」


先生の質問である。


「う~ん」

「何か考えてみます」

「取りあえずは、学習能力の高さが判ったので、今日の所は合格です」


ゴーレム研に入って五ヶ月、取りあえず一つの形になったのであった。




つづく










最後まで読んで頂いてありがとうございます。

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