先輩の二回戦と本命と!
騎士科5人VS魔物のカバの対決はあっけなく終わった。
川岸から、先輩達が弓で攻撃をし当たるも弾かれてしまい、そこから怒りに狂うカバが陸上に上がり猛攻を仕掛けて来た。
先輩達はあまりの迫力に逃げ惑うだけであった。
まだ、死人が出ていないだけマシであろう。
見た目が弱そうなカバだが隠れた実力者であることは、動物が好きな人なら周知の事実、しかもそれの魔物である考えるまでなかろう。
そこからは、口撃を食らわない様に逃げ惑う先輩達。
はっきり言って惨めである。
偉そうな口を叩いた割には・・・である。
「そこのお前、見ていないで助けろー!」
僕の言う事を聞かなかった先輩が、上から目線で叫んでくる。
僕にはその気はない。
「がんばってくださ~~~い」
ゆるく拒否をする
「ちくしょー覚えていろよ!」
捨て台詞をはきながら逃げている。
指揮官はどうしているかと言うと、KOされてしまった生徒を二人がかりで安全な場所まで運んでいる。
まぁ、指揮官だから仕方が無いだろう。
騎士科の先輩とカバの魔物の戦闘も15分をすぎて最後の先輩が体当たりをくらいKOされて終了である。
僕はここで戦闘に介入して、炎の壁を騎士科の先輩とカバの間に展開して、カバの本能に訴えて引いてもらった。
良く上手くいったものだと自分で感心してしまった。
先輩方は、よく頑張っただろう。
幸いにして死者はいないが、5人とも重症である。
骨折している先輩もいるだろう、まとめて後方に帰還だろう。
ただ、助けなかったので文句を騎士科の先輩方は言って来たので言ってやった。
「自分のケツは、自分で拭いてください」
この言葉を聞いて言葉に詰まった先輩方は、捨て台詞を言いながらも僕の前から消えて行った。
貴族はどうも自分は特別と思ってしまってるらしい。
民主主義社会体験者の僕には、貴族(特別)にひとつも思えなくて、害虫と同じぐらいと思ってしまう。
まぁ、前世の政治家も・・・・・であるが。
この後、殿下に言い過ぎだと説教をされたのが、改めて異世界だな~と思ってしまうのであった。
翌日、斥候で出ていた近衛騎士団の団員が、魔物を発見したと報告があり急いで現場に急行する事となる。
ベースキャンプからは山を5つ越えた所で発見したと報告があり、どう対応するかが話し合われた。
「基本戦術は、虎の魔物に対して距離を取りつつ魔道騎士団で攻撃をして、弱った所を近衛騎士団が止めを刺す方針だが、異論のある者は」
「・・・」
「・・・」
異論は出なかった。
というより異論の出しようが無い。
虎の魔物が対象と分かっているだけで、あと、かなり強いことしか解っていないからだ。
「士団長、学生はここで待機にしていただけるのでしょうか?」
ラファエル先生とジミー先生の質問だ。
大物と戦えるはずは無いからだ。
「あぁ、ロビン以外はここで待機して、ベースキャンプを守ってください」
「はい、了解しました」
「では、用意出来しだい討伐に向かいます」
「解散!」
話し合いが終わり、先生に挨拶をして兄弟子の元に向かう。
元々、準備は万端な為すぐに出発した。
迂回して山を三つ越えた辺りで、異様な魔力を感じた。
「兄弟子いました」
「異様なほどの魔力の大きさです」
「バケモノです」
「すまん、俺にはまだ分からん」
「ロイ魔道士団長に報告してくる」
そう言い残すと、士団長に報告にいく。
僕の話が聞きたいと、士団長が出向いて来た。
「ロビン分かったのか」
「はい、山二つ向うにバケモノがいます」
「どうしましょうか?」
「予定通りに攻撃をする」
「それしか方法が無い」
「士団長お願いがあります」
「ここまで来てなんだ」
「僕に最初の一撃を入れさせてください」
「僕に考えがあります」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「士団長、ロビンにやらせてみてください」
考え込んでいる士団長に、兄弟子がお願いしてくれる。
「よし、やってみろ駄目で元々だしな」
「はい、有難うございます」
「早速ですが、僕が先頭を走り攻撃に最適な場所に陣取りますので付いて来て下さい」
「また、斥候の隊員は後退させてください」
「では、行きます」
そう言い残すと、先頭を走り、魔物を山向にとらえた場所を探し出して陣取った。
僕の後を隊員は付いて来れず少しの間待つ事になったが、良い休憩になった。
5分後に、全員がそろいミッションスタートである。
「士団長、此方から攻撃すると、虎の魔物がすぐさま反撃に来ると思われますので、対応よろしくお願いします」
「ここからか!」
流石に山向うにいる化け物の魔力には全員が気付いているが、団員たちの射程距離ではないみたいだ。
団員達が驚いている。
「では、始めます」
「**************」
「**************」
ロビンは呪文を唱えながら、盾に魔力を集中させていく。
盾の色が段々オレンジ色になり、更に集中していくと紅に染まった。
「おぉぉぉ」
盾の変化に驚いている団員達。
カッと目を見開き、兄弟子と士団長にアイコンタクトを取り攻撃開始だ。
イメージはバッチリである。
「いけ! ヘルフレイムキャノン!!」
「ドゴ~~~ン」
盾より白光のファイアーボールが撃ちだされた。
直ぐに着弾して、轟音がが吹き荒れる。
グワァァァァァ
トラの断末魔が聞こえる。
両士団員達は、余りの光の強さと轟音に目を瞑り耳をふさいでいたが、それが収まると、あたりの景色が変わっている事に目が点になっていた。
狙った虎の魔物を中心に半径150mくらいが焦土と化していたからだ。
「あはは・・・」
「・・・」
「・・・」
兄弟子や団員たちはまだ、状況を把握できないでいたが。
「来ます!!!」
僕が叫ぶ!
虎の魔物が真っ直ぐに突っ込んでくる。
ただ、ダメージはかなり大きく、全身が真っ黒に焼けただれて肋骨や足などは骨が見えている。
そして、走る度に体から肉が落ちていく、満身創痍の状態だが、虎の目を見ると狂気を感じさせる。
「迎撃用意」
「くるぞー」
両士団長が檄を飛ばすもあまりの迫力に押されてしまっている。
僕もあまりの迫力に足がすくんでしまい、怖気づいてしまう。
「パァーン!」
「パァーン」
兄弟子が自分の顔を叩き気合を入れると、僕の背中も叩いて檄を入れてくれた。
「しっかりしろ!」
「はい!!!」
どうにか立ち直り迎撃に間に合った。
「くたばれー」
僕は叫びながら盾ファイアーボールをMax連射で迎撃を始める。
すると、魔道士団員も迎撃で攻撃を始めるが中々直撃をしない。
当たると、肉が削げ落ちるのだが回避しながら突撃を止めない虎の魔物!
この状態で、致命傷を避けながら突撃してくる虎の魔物の戦闘力のは凄まじい。
僕は鋭く早く連続でと心の中で唱えながら攻撃をしていると、攻撃の手段が段々ファイアーボールではなく、ファイアーガトリングに進化した。
虎の魔物があまりにも早い弾速の弾が数十発以上も飛んでくるので、流石に回避が出来ず、当たる度に肉をそぎ落とし体内を貫通して突撃を止める事に成功した。
足が止まった虎の魔物はただの標的と化した。
余りの恐怖に隊員たちの攻撃は凄まじく、一斉攻撃の的と化して崩れ落ちたのであった。
後には、虎の魔物の骨と魔石しか残っていなかった。
「恐ろしい魔物だった」
ロイ士団長の言葉に両騎士団全員が頷くのであった。
これで魔物の討伐作戦は終了したのでほっとしたら、足が震え出し座り込んでしまった僕であった。
つづく
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