プロローグ
「ルピ、おはよう」
私の朝は飼い猫のルピを撫でて、緩やかに挨拶を交わす所から始まる。
あまりにも朝の微睡みが気持ちよすぎてついつい(短い間である、と弁解はしておく)二度寝してしまうこともあるが仕事への遅刻の心配はご無用。
なにせ私の職場はまさに目と鼻の先の階下。一階の雑貨屋【みずいろめがね】が私の職場。いわゆる自営業というやつだ。
自分で商品を制作したり、様々な店に足を運び自分の好みに合うもの、また幅広い年齢層が好みそうなものを購入し仕入れたりして所謂気ままなやり方で日々生活しているので安定した収入は見込めない代わりに、自由という意味では非常に充実した一日一日を過ごしている。
ん?私は誰かって?これは失礼。私は誉 佐和。身長は175。女性にしては高めだろう?体重はトップシークレットさ。あ、BWHのサイズなら教えてもいいぞ。なに?そこまで聞いていないなどという突っ込みは野暮だよ、君。
おっと。そうこうしているうちにお客様が来たようだ。
さてさて。ここから語られるのはうちにくるお客様たちの過去、現在、そして未来。暇で暇でたまらない時にでもうちの店に幾重にも積み重なった物語を覗きにおいで。
私はいつでもここにいる。
ルピと一緒に、待っているよ。