第十話
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御堂正巳を【正規部隊】に引き渡した後、今後の方針と対策を練る為に遊祉と涼穏はココロを連れ、執行部第九支部へと戻る事にした。
第五地区に向かうモノレールの車内。ココロはぽつりと言葉を漏らす。
「今更じゃが……本当に良かったのかの? ココロを連れて来て」
「どういう事だ?」
「先程も言ったじゃろう、ユーシ。ココロは狙われておる、ココロの持つ【クラスS】プログラムを奪う為にじゃ」
遊祉は何故御堂に狙わる事となったのか、大体の成り行きを説明されていた。
ココロは尚も目を伏せて、不安そうな色を浮かべながら言葉を続ける。
「正直言ってしまえば……、ココロは油断しておったのじゃ。護衛など付けずとも問題無いと。しかしお主らが居なければココロは間違いなく連れ去られていた。その事について改めてココロは二人に礼を言いたい」
「い、いえ私は何も……」
涼穏はココロの御礼にかぶりを振る。
「私は御堂に対して遅れを取りましたし……」
「そんな事は無い。リオンが居なければココロは危なかったのじゃ。そう謙遜するでない」
「そうだぞ、志燎。礼ぐらいきちんと受け取っとけよ」
「……正論ですがニート先輩に言われると若干腹が立つのはどうしてでしょう。しかしながら、ええと、当然の事をしたまでです」
頭を下げる涼穏。それを見てココロは笑みを零したが、すぐに神妙な顔つきへと戻る。
「ただ、だからこそなのじゃ。こちらとしてはこれ以上、お主らを巻き込むのは忍びない。御堂正巳はココロを何処かへ連れ去ろうとしていた。それは組織的な犯行である可能性も高い。要するにまた、誰かしらが襲って来ないとも限らないのじゃ」
「エレクトール。ならお前はどうしたいんだ?」
「研究室に戻る。そのまま外に出なければココロの助手も居る事じゃし、問題は無い」
「本当にそう思うのか? 俺が敵なら研究室だろうが何処だろうが機会があれば狙うぞ」
「しかし……」
「エレクトール教授。一先ずはこの事を執行部に報告しましょう。それにここで引いてしまうのは私もちょっと……嫌ですから」
「リオン……」
ココロは少しばかり悩んでいた様子だったが、最後には笑顔を浮かべると、
「……うむ。もう暫くの間、宜しく頼むのじゃ」
そう言って再度頭を下げた。




