幸せの粉
ヨロシク(* ̄∇ ̄)ノ
最近、友人のノブの様子がおかしい。
夏休み明けでクラス中がテンションダダ下がりなのに、やけにハイテンション。八月の中旬に会った時はぽっちゃり体型だったのに、別人に見えるくらいに痩せている。
どう見てもおかしい。
■ ■ ■ ■ ■
学校の帰り道、ノブが話を切り出した。
「なぁ、今日うちに来ないか?」
めずらしい、ノブはあまり家に人を呼ばないのだ。
「おう、いいぞ。じゃあ四時半過ぎにお前ん家に行くわ」
大体そのぐらいに着くだろう。
「じゃあな」
「おう」
夏休みの最後の二週は会ってなかったのだ、聞きたいことはたくさんある。
家についた俺は自転車に股がり、ノブの家に向かった。
■ ■ ■ ■ ■
「今日はどうしたんだ?」
ノブは頬を掻きながら、
「いや、実はさ相談が有ってな……。聞いてくれるか?」
ノブから相談から話をしてくれるみたいだ。聞き出す必要がはぶけそうだ。
「何だよ水くさい、いつもは俺が聞いてもらってる側だろ、遠慮すんなよ」
ノブは心なしかホッとした顔になった。
「実はさ、好きな食べ物があるんだけどさ、それを食べるなって言うんだよ」
こいつが痩せた原因の話かもしれない。
「その好きな食べ物ってどんな食べ物なんだ?」
ノブは至極マジメな顔をしてこう言った。
「コナ」
?????、こな、コナ……粉?
「えっと、コナってあれか?パン粉、とか小麦粉とかの『粉』?」
「そうだ」
粉ってことは『味○素』……とか?
反対される理由ってなんだ?コスト面か?
「その粉って値段が高いから反対されてんのか?」
「いや、高くはないぞ。普通に誰でも買える」
どうやら違うらしい。
「じゃあどこで買うんだ?」
「商店街の路地裏で買ってるぞ」
急な減量、おかしいテンション、粉、路地裏。
なんか雲行きが怪しくなってきたぞ。
「え、えっと。えっと、その粉って何て名前なんだ?」
「ハッピーパウダー」
……。
いやいやいや、それ絶対『麻薬』か『覚醒剤』の類いだろ。
一夏のアバンチュールは失敗してたくせに、アウトな方向には一歩踏み出しちゃってんだよ。
「おいノブ、俺も止めるのを勧めるぞ」
「お前もかよ、確かにちょっと中毒性があるけど自分で止められるぞ。」
「いやノブ、初めは皆そう思って始めるんだ。今ならまだ間に合う、やめるんだ」
ノブは怒った。
「幸せな気分になるだけで何の害も無いのに、どうして止めるんだ!!」
「中毒性とか明らかに危険だろ!! 今すぐ止めれば、警察にも学校にも黙っておいてやる。だからやめるんだ!!」
ノブは「何を言ってるんだコイツ?」と目で訴えていたが、俺は続けて、
「ノブのことだから、吸ったら痩せるとかモテるとか言われたんだろうけど、ダメだ。お前は痩せてもイケメンにはなれないんだぞ!現実を見るんだ!!!!」
「何だよ!オヤジもお袋もお前も別けわかんねー事ばっかいいややがって。
お前ら食べたこと無いのかよ『ハッピータ○ン』!!!!」
「ハッピーター○?」
疑問を送る
「ハッピー○ーン。」
真顔が帰ってきた。
「ハッ○ーターンについてる粉あるだろ、」
「ああ」
「あれの名前は?」
「ハッピー……、パウダー?」
「そうだ。」
(俺)「・・・・・・。」
(ノブ)「・・・・・・。」
「ノブ、好きなだけ食べろよ」
「ああ」
---end---
ハッピーパウダーの方は商品名じゃないからモザイクは要らないはず……。
誰かダメだったら教えてください。