第40話.4区のナンバー
さて。
やっぱり気になるのは、2区のリーダーであるネオが このメルを欲しがっているという事実だ。
『ネオは……メルを使って他の地区を手に入れる為の本格的な戦争でも始める気か……?』
リーヴご不機嫌そうに言った。
「やるかもね。ネオだもん。」
「ネオって、どんな奴なの?」
「私は顔見た事ないのよ。」
「会った事ないって事!?嫁になれとか言っといて!?何それ!?」
「ううん。真っ黒のフードコートを深くかぶってて。いつも口元しか見えないもん。」
「しかもなぁ。あいつ、自分で自分にナンバーの1番をつけてんねんで?」
「ナンバーの1!?」
自分が一番強いって称号つけちゃってんの!?
リーダーじゃダメなの!?
しかも他の地区も全部欲しいの!?
メルも!?ノアも!?
「どんだけ欲しがりちゃんなんだよ!!」
ムカツキながらも、草むらの中からスコープで原尾コロニーを見てみると
いいタイミングで5番がコロニーに着いた所だった。
物凄いデカイ声で怒鳴りながら、4区のナンバーを突き飛ばす5番の男。
「……!?…何をするんです!?」
訳がわからないま突き飛ばされた4区のナンバーも、怒りの表情に変わる。
ナッツの本体と思われる女が、少し驚いた顔をして5番の男に話しかけた。
『ちょっとぉ~。どぉ~したのぉ~?じゅんじゅん~』
じゅ、じゅんじゅんだと…?!?
随分と可愛らしいお名前ですね、じゅんじゅん君。
『さっき、俺と話した2人の兵士はどこに行った?そいつらを出せ。1人はナンバーレベルの女だ!!雑魚にだってわかるだろ!!おい!!あいつらはどこだ!!』
じゅんじゅんの言葉に、4区のナンバーの男は首を傾げる。
他の兵士達も、ザワザワとざわめき立っていた。
そりゃそうだ。
あいつと話した2人の兵士って、4区の兵士のフリした俺とノアだもん。
4区のナンバーは、手を口に当てて何かを考え込んでいる。
4区は頭脳派集団だったよな…?
何かの手を考えてんのかな?
頭のいい奴って、何考えてんのかわかんないから読みづらい。
こうやって見てると、一目瞭然だ。
2区のナンバー5番がギャーギャーブチ切れてるのは見てるだけでわかるけど
4区のナンバーは、黙って考え込んでいるだけ。
怒ってるのかさえも見てて、何も分からない。
こっちの方がずっと不気味なんだよな。
先に仕掛けようとしたのは5番の男だ。
『もういい。取り敢えずこいつら全員ブチのめそう。ちょっとは楽しめそうだし♪誰か1人残しとけば情報取れるだろ』
『じゅんじゅん~、こいつら、私のダイヤモンドキメラだけで充分なんですけどぉ~』
始まるか……。
俺達にも、一気に緊張感が伝わる。
「あ、ちょっと待ってください。」
ふいに、4区のナンバーがハキハキした言葉で皆のやる気を制止した。
『なんだ?』
『白旗上げちゃいますかぁ~?』
「いえいえ、なんだか随分とお互いに状況が混乱しておられる様なので。
1度、お互いに上司に報告を入れるべきではないかと思いまして。」
『そおかぁ?報告いるかぁ?』
『ん~?地下コロニー見つけたってのとぉ~、あの久遠を炙り出せたってのとぉ~、あ、久遠が蛹持ってたって事も言ってないやぁ~』
『蛹!?マジかよ!?あの蛹!?』
『うん~。あ、あと原尾コロニー占拠してんのも、まだ言ってないかも~こっち着いてから報告一回もしてないやぁ~。
あっ、あとねぇ~地下コロニーから炙り出した人間をチビキメラでいっぱい殺したぁ~。これちゃあんと言って、もぉっとチビキメラ作って貰わなくっちゃぁ~。』
『………』
「随分と、報告が溜まってらっしゃる様ですね…」
『………』
いくらなんでも、ここでメルの事は口にしないか。
「では、こうしましょう。今夜いっぱい、停戦と言う事で。」
4区のナンバーは、そう言うと地面に大きめの銃を撃ち込んだ。
それに続いて、4人のBランカー達もそれぞれ同じように銃を地面に撃ち込む。
何が起こるか分からない状態のナッツとじゅんじゅんは、即座に戦闘態勢に入った。
しかし撃ち込まれた地面からは大量の鎖が吹き出し、原尾コロニーの入口を見事に鎖で覆った。
『……こんなんで、私達が外にでられなくなるとでも~?』
「いいえ?鎖の間からいくらでも連絡用のロボットは飛ばせるでしょう?
下手に開戦しない様に、我々も入れないようにしたという配慮のつもりです。」
『……ふぅん。』
『……まぁ、いい。ナッツ、ちょっと中で情報まとめんぞ。』
『ふぁ~い。じや、朝にね。たーっぷり殺し合おうね?4区のイケメン君?』
そう言って、ナッツとじゅんじゅんはコロニーの中に入って行った。
残された4区の兵士達には、動揺が広がる。
「そりゃそうやわぁ。今夜いっぱい籠城されてもーたよーなもんやん。籠城戦って、援軍来るってわかっとる以上は…負けはほとんどないで?」
『まぁ、そうですねぇ。籠城戦での負けは、兵糧不足など色々ありますが……。それも、たった一晩と自分から言ってしまっていますし…。
ここは同じ第2区。援軍なんていくらでも来ますよ。挟み撃ちにされるのがオチなのでは?』
「なんで、わざわざ不利な状況を提案したんだ?あいつ……」
スコープで4区の男を見ていた俺は、思わずスコープから顔を離し、後ろに後ずさった。
「どないしたん?いちはん?」
「…あいつ……」
「…いち?」
「め……目が…合った……」
「は?スコープごしで!?んなアホな…」
久遠が急いでスコープをのぞき込むが、もう違う方向を向いてしまっている様だ。
「こっち…向いてへんけど…」
「いち、何かされなかった!?」
ノアの声に、ハッとした。
何もされてはいない。
でも、あった。数字が。
「……ナンバーの数字かは、分からないけど…。……目の中に…3本の線が……」
『目ん玉に3本線……!!それは4区のナンバー3、シュカだ!!』
ケータイから、リーヴの叫び声がした。
ナンバー3……!?
4区は……ナンバーの3を投入して来たのか…
かなりの上位じゃん…
つーか……
かなり大きな事に、巻き込まれる不気味な予感しかしないんだけど…。




