8話.行動(4)
「ちょ………まっ……………速っ…………………ガチッ」
あまりの速さに舌を噛んだ。
この速さは、ありえない。
だいぶ通路の幅が広くはなったけど、上や下にガンガンぶつかるので
あぁコレ死ぬわ。って思ったのだが………。
俺が当たっていたのは、ほとんどノアの体だった。
ノアが壁にぶつかって、その上に俺がぶつかる……の、繰り返し。
すんごく柔らかかった。これは不可抗力だ 俺は悪くない。
リーヴは うまいこと俺らを避けながら、壁にぶつかる時は受身までとっていた。
「うぅっわ……!!外明るいっ……」
外に出ると、今まで暗闇の中にいたせいか、めちゃくちゃ眩しかった。
目の前には森が広がっている。
しかし俺はふと後ろを見て、あ然とした。
俺達がたった今脱出してきた建物が拍子抜けする程 単純な、ただの真四角のキューブ体だったからだ。
ちょうど出た場所が小高い丘になっていたせいか、その奥もほとんどが見えた。
「…………街?」
たくさんの四角いキューブの建物が並び、人の様なものが出入りしている。
「あ……あんな四角い物に、皆住んでるの??」
びっくりする俺を見て、皆があきれた顔で口々に言う。
「他に何に住むと言うんです?」
「ネジいくつ飛んでんだよお前……」
「ねぇ、あんたトロすぎない?ほふく前進すらマトモに出来ないとか、何アレ?」
ノアだけ、いきなり話が飛んでいた。
こいつも頭のネジ何本か飛んでるんじゃねーかと思うのは俺だけか?
「んな事言われても、記憶ねーんだからわかんねぇよ……ほふく前進するような生活はしてなかったんじゃねぇの?俺。」
「子ども型じゃないあんたが、そんなぬるい生活してた訳ないでしょ。ったく……どこの部隊よ?よくそんなんで生きてたねぇ?」
「ぶ……部隊って!?え、何!?戦争でもしてんのか!?」
「ダメだ この頭。」
ノアが手を肩まで上げて、あきれた様に首を振る。
うわぁーーーーー。殴りてぇ。
さすがに女を殴るのはアレなので、どうしてやろうかと思った瞬間、ギンが割って入って来た。
「シッ!!伏せてください!!」
「どうした?」
同じように身をかがめたリーヴが、声のトーンを低くしてギンに聞いた。
「警報が…………」
ギンの声が、かすかに震えている。
確かに、さっきから警報が鳴っている。
さっきノアが叫んだと同時に鳴った警報。
だけど、さっきは俺達が逃げ出したあの四角いキューブの中で鳴っていたが、今はもっと響いている様な気がする。
反響していない。
そう……建物の中じゃない。外に警報音が出ている。
「ちょっと待てよ……。街中にまで警報出してねぇか?」
リーヴの顔がこわばる。
ふとノアを見ると、真っ青な顔をして カタカタと震えていた。




