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第29話.二筋道(3)

「無線は、俺とサクが付けとるやつしかあらへんねや…。

せやけどコレ…さっき、コロニー出る時に持って来たんやけど…。俺と、莉音のやつ2つある。俺のは いちはんに。莉音のやつは、ギン坊に渡しとくわ。」


そう言って久遠がポケットから取り出した物を、俺とギンそれぞれに渡した。


これって………


「これ、何ですか?」


ギンが渡された物を見て、不思議そうに聞いた。

手のひらサイズの、長方形の形をした機械。


「いちはん、知っとるか?」


ギンの反応を見た久遠は、同じ物を手にしている俺に向かって そう尋ねた。



「………携帯電話。」

「…せや。」


自然と、出て来た。

これの名前。


「携帯電話!?これが!?これが、あの有名な……話には聞いた事ありますけど……実在するとは……」


ギンが興奮しながら、あちこちを触る。


「ここ触ったら、相手に繋がる。俺も莉音も、お互いにしか使わんから お互いの番号しか入っとらんからな。」

「無線のように、通話が出来るって事ですか……」

「せや。ここら辺は、昔っからの名残で今だに電波が普通にあるけぇなぁ。

けど、ずっとはあかんで?バッテリーなくなってまうからな。」

「バッテリーなんですか?」

「昔は違ったのかもしれん。これは中野博士が自己流で復刻させた物やから。」


ギンは目を輝かせて久遠の話を聞きながら あちこちを触っていたが

ふいに 首を傾げた。


「……何も反応しないんですけど。」

「は?するやろ。タッチパネルやねんから触れば…」

「……無反応なんですけど。」

「えええ……!?まさか壊れたんか!!?」

「え!?うっそ!!!ちょ……」


焦る久遠の横にいたコロニーの1人が、手を伸ばしてギンが持つケータイを触った。


ケータイの画面が明るくなる。

指を動かすと、画面がスクロールされて行った。


「……壊れてないじゃん…」

「……えっ…」


嬉しそうにギンも指を当てて動かす。


画面は、スクロールどころか1ミリも動かなかった。


「…………なぜ、僕には反応しないんです……。なんですか?この携帯電話は相手を選ぶのですか?」

「……なんでや……?なんや!?わからん……なんでや!!!…まさか、アンドロイドだからなんか!?」

「えええええ!!?ちょっと!!それ意味ないんですけど!!いちさんと連絡取れないじゃないですか!!」

「え。俺には反応するんだけど。この携帯電話。」


俺が渡された携帯電話の画面をスクロールしているのを見て、ギンの口がまた0の形になった。


「…僕だけ、拒否されているのですか……?」


明らかにショックを隠しきれていないギンを見て、コロニーの人達が慌てて慰めに入った。


「…だ、大丈夫だって。ほら、連絡取る時は俺が触ってギン君の耳元に当ててあげるから!!」

「……………」

「そうそう!!ハンドフリーだと思えばいいんだよ!!俺達を使ってくれて、構わない!!な?」

「……………」

「携帯電話を使う時は、俺達が君の手足になろう!!」

「…足はいりません。」

「……………俺達の…手を…使っておくれ…。」



皆さん……。ほんとにすみません。ありがとうございます。ありがとうございます。


「わかりました………。なら、いちさんに僕のペーパーを多めに渡しておきますね。」

「え?」


ギンは、自分の背中の巻物から紙を引っ張り出してから切る、を繰り返し た何枚かの紙を俺に渡して来た。


「いちさんの携帯電話から僕の声を聞かせれば、タブレットに変えれますし、ライトニングも出来ると思うので。」


えっ!?

うっそマジで!?


「それは滅茶苦茶助かるな…。使う前にギンに電話して繋げとけばいいのか…」

「そうなりますね。」


この携帯電話は嬉しい。

ギンを連れて行ける様なものじゃないか。

長電話は禁止だけど。


それに、ペーパー、タブレット、ライトニングは戦いに凄く使える。


「しかし、携帯電話ですか……。随分と原始的で、なかなか面白いですね」

「原始的!?ケータイが!?」

「そらそーやわ。腕時計から始まって、腕輪、リング、ボタン。どんどん時代の流れで小型化してっとるもんなぁ。」


何だそりゃ!?

タッチパネルでさえ無くなってるし

もはやケータイじゃねぇじゃん!!


ケータイを見ながら首を傾げる俺に、リーヴがリュックを渡して来た。


そして俺の足にホルスターを2つ付け、大きめのガンケースを渡して来た。


「お………重い……」

「なるべく軽い銃にしたんだが……。足のホルスターは、レールガンとショットガンな。あとはリュックにいくつか入ってる。

ガンケースには、大きめのショットガンが入ってる。」

「レールガンって何!!?」

「レールガンだ。」

「ショットガンは?」

「ショットガンだ。」


わかんない!!!


あれ?俺が今まで持たされてたのは普通の銃だったけど……。

レールガンって、あれか?ビームみたいに弾が出んの!?

何それ!?かっこいいんだけど!!


「いちは、銃の腕が無いという事がさっきのキメラでわかった。

レールガンじゃないとダメだ。当たらん。射線が出るから、相手にも分かってしまうのが難点だが…。それを逆手に取って相手の動きを先読みしてから撃て。バッテリーの残量に気を付けるんだぞ。予備のバッテリーはホルスター横のポケットに1つ入ってる。

いいか?素早く相手の動きを先読みするんだ。少しでもバッテリーの減りを少なくするんだぞ。心理戦だ。お前は心理戦には向いている。」


簡単に言うけど、それ難易度高いよ!?


「無理だと思ったら、ショットガンの方を撃て。」

「なんで?」

「散弾銃だからだ。ただ、射程がそんなにないんだ。だからレールガンで無理だと思う所まで接近されたらショットガンにしろ。あと、敵が自分に密集してる時もショットガンがいいな。レールガンはリロードが短いが、ショットガンは少し長いから気を付けろよ。」

「……………」


覚えきれない。

やりながら、覚えよう……。

無理だと思ったら……か…。

リーヴの腕なら、全部一発急所なんだろうなぁ…。


「リュックとガンケースは俺が持ったるわ。ひとまずホルスターに入っとる銃を先に使いーや。

ガンケースは、コロニーに着いたらどれかの建物に隠しといた方がええな。持ちながら戦闘しとったら動きづらいけぇ。」

「うん!!ありがとぉおおおおおお」


助かった。

重みで後ろに倒れそうだった。

しかもノア背負ってるから、リュックもガンケースも手で持たないといけない所だったし……。


「リュックには、短剣も小型の銃も入ってる。これも隠しておいて、莉音や凪、サクに使わせるといい。」

「莉音、なんの武器も持たんと出てってもーたからな……助かるわ。」

「サクって、銃撃てるの?」

「下手くそやけど、撃つことは出来るで。作ってんのあいつやし。」


サクって義手や義足だけじゃなくて武器も作るんだ!?


戦闘要員じゃないけど、職人って点で貴重な戦力だなぁ。



俺は、ギンに貰ったペーパーを胸のポケットに入れて

久遠に渡された携帯電話をズボンのポケットに入れた。


久遠は、地図を胸ポケットに入れ、ガンケースとリュックを背負った。



「よし。……ほんなら、いこか。」


久遠の声を聞いた瞬間、ギンが不安そうな顔をして俺を見て来た。


「だぁーいじょーぶだって!!ほら、俺には例の電気もあるしさ。」


ギンの髪をワシャワシャしながら、今電気出んなよ?と、ちょっとだけハラハラした。


「リーヴ、ギンときぃちゃんを頼むね。」

「…わかってる。」

「コロニーの人達も。」

「わかってる。」

「あと、ついでに黒子も。」

「……………」


そして、今度はリーヴが俺の髪をワシャワシャと撫でた。


「中野博士のコロニーで待ってる。」

「うん。」


お互いに反対の道を歩き出したものの、全員が振り向いた。



「「行ってきます」」


同時に叫んだ俺と久遠に、皆が声を揃えて答えた。



「「「行ってらっしゃい」」」



大丈夫。すぐ会える。絶対会える。


自分に強くそう言い聞かせて、俺は久遠と共にリーヴ達とは逆の道へと足を進めた。


この次の話から、数話はサクside側のお話になります。

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