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第24話.守りたかった

やがてチビキメラ達は殲滅され、怪我を負った人達の手当が始まった。


戦闘要員2名、非戦闘要員は9名が犠牲になり

7名が重軽傷を負った。


犠牲になった者の中には、まだ小さな子どもが2人もいた。



「……酷い……」



子どものすぐ隣に座り込み、声を上げて泣いている男女は 2人とも戦闘要員の人間だった。

…両親…なのかな……。


戦闘要員達は、コロニーの人達を守ろうと全員が必死に戦ってた。



「守ってあげられなかった……!!」


男性が涙を流しながら子どもを抱き締めながら地面に突っ伏した。



守ってたよ。

守ってたじゃん。

皆、一生懸命守ってたよ……。




ノアの顔に、雫が落ちた。



ノアを抱き抱えたまま座ってる俺が泣いてるからだ。



涙が止まらなかった。


両親の姿、息絶えてしまった子ども達の姿が滲んで見えなくなっていく。




ー…守りたかった…。





ふと、背中に何かがあたった。


「………なんや自分、男のくせに涙腺弱いなぁ。」

「久遠………」


久遠は、俺の反対側をクルリと向くと、そのまま俺の背中によし掛かる様にして座った。


「……泣くアンドロイドか…」

「………あ。」


そうだ……久遠はリーヴの話を聞いてたあの時、莉音ちゃんと医務室にいたから知らないんだっけ…。


一生懸命袖で涙を拭っていると、背中が揺れた。

久遠が笑ったんだ。


「ええやん。泣きぃや。せっかく泣けんねんから、泣きたい時は泣いたらええわ。」

「…じゃあ、久遠も泣きなよ。」

「なんでやねん。」

「この状況で、誰よりも今泣きたいのは久遠でしょ。」

「………」

「………ぃでっ!!」


久遠は、黙って自分の背中で俺の背中をどついた。


「俺はなぁ、莉音のおらん所で泣いたらあかんねん。」

「…へ?」

「そう約束しとる。お互いに、お互いがおらん所では絶対に泣かんって。…親父の墓の前で約束してん。……せやから、もしこのまま会えんごとなったら…………俺は一生泣けへんなぁ。」


久遠の体重が背中にかかる。



「……あ!!せやけどな?いちはんが楓守ってくれはった時!!あん時はヤバかったわぁ。なんやねん自分、男前な事しはってからに~ぃ!!」

「……??いや、キメラの口に腕突っ込んだだけで んな大袈裟な…」

「はぁあ!?何言うとるん!!その前や!!もー、俺涙が眼球の奥まで来とったわ。」

「眼球の奥で止めれんのが凄いな(笑)。あ、じゃあ莉音ちゃんと再会した時は久遠の貴重な泣き顔、動画撮っとかないとねww」

「……………は?」

「………え?」


久遠が真顔で俺の方を振り向く。

とっさに俺も振り向いた。


「…え、いや、冗談だよ!?冗談だって!!」

「……………」


え。怖い。

冗談だってば。


「……いちはん……」

「…はい。ごめんなさい…」


「……何で……そんな昔の言葉を知っとんのや……?」



…………へ?


え?何?

昔の言葉???


「“動画”なんて、もう200年以上前から使われとらんで…?

人間ならまだしも……俺かて、中野博士がふざけて作っとらんかったら…今だに知らん言葉やった。」

「………え……、……え……?ちょ……ちょっと待って?ど…どうゆう……」



パニックになったその時

リーヴとギンが走って来た。



「早く移動しないとマズイ。黒子の鷹では、2区と6区の隊の進行が思ったよりも早い。」

「とにかく、無事な人は怪我人を背負い、移動しながら治療しましょう!!」

「……さ、さよか……。わかった。……いちはん、また後でな。」

「………あ………うん…」


皆の元に走りながら、指示を出す久遠を ポカンとした顔で見ている俺を見て

リーヴが頭を撫でた。


「いち。疲れただろうが、ここに留まるのは危険だ。歩けるか?」

「………うん……」

「あららら……ノアさん爆睡してますね。全く、いちさんいつまでノアさん抱いてるんですか。……って、泣いてたんですか!?ああもうノアさんの顔にいちさんの涙が……」

「うわああああ!!ノアごめんごめんごめんごめん!!!」


俺は、一生懸命自分の左側の袖でノアの顔を拭いた。



ついでに、ノアの顔についてた泥とか血も 袖でなんとか綺麗になった。



「いち、ノアは俺が背負う。背中に乗せてくれ。」

「えっ……、あ…いや、でも…」

「?なんだ?」

「俺が背負いたい……んだけど……」



ギンの口が縦長に伸びた。

0の字になってて、なんか腹立つ。


「お前、右腕噛まれて怪我してるだろうが。」

「……あっ。」

「片腕でノア背負えるならいいが………」

「…リーヴさん、お願いします。」


リーヴも片腕なのになぁ……。

それに、リーヴも相当エネルギーを使ったはずだ。

最後のあの 大砲みたいなやつは、マジで凄かった。


どうやら、自分のエネルギーを弾に乗せて撃ったとか言ってたけど……


どのぐらい、エネルギーを消費してしまったんだろう……。



すると、前の方の列にいた楓ちゃんが

こちらに走ってきた。


「いちさん!!!」

「あ……、楓ちゃん……肩…」

「ふふ。思ったよりも浅かったんですよ。」


とは言っても、まだ肩に巻かれた包帯からは血が滲み出ている。


「それよりも、いちさんの怪我を。」

「え?」

「噛まれた右腕です。塗り薬と、包帯、ガーゼ…あと痛み止めの注射を持って来ました。」

「…えっ、そんなに!?うわ!!ありがとう!!」


受け取ろうと両手を出すと、楓ちゃんは俺の手には渡さずにモジモジしている。


ん?


「あの………、私……が…やりますっ……」


んー………。ヤバイ。



「怪我した腕を出して下さい!!」



すかさず俺は、楓ちゃんの手から注射器を取ると

そのまま左手で勢いよく右腕にぶっ刺して中の液を入れた。



あーーーよかった。

注射針が服を貫通してくれて。


「ありがと楓ちゃん。ひとまず俺は大丈夫だから、その残りくれる??ノア手当したいんだ。」

「………えっ……あ……でも、いちさんの手当も…」

「俺は大丈夫。なんか思ってたより頑丈だったみたい(笑)。他の怪我した人の手当してあげて??」


楓ちゃんは、ションボリして立っていたが

何かを決意したかのように顔を上げたかと思うと、思いっきり俺に向って頭を下げた。


「私っ…どうしてもお礼が言いたくてっ!!!本当に、本当にありがとございました!!!」

「へ?いやいやいや、そんな大した事してないから!!頭上げて!?」

「……っ……いぇっ………私っ………私………」


楓ちゃんは顔を上げたものの、その顔はいきなり真っ赤に染まった。



「……す……すっごく……。……………すっごくかっこよかったです!!!!!」




「…………ほへ?」


マヌケな声を発してしまった俺の胸に、楓ちゃんは持っていた救急セットなどをぐいっと押し付けると

恥ずかしそうに走って行ってしまった。

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