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第20話.決意

ノアが離れた。

リーヴも近くにいない。



…当たり前だ。

俺がそう言ったんだから。


気付かない内に守って貰ってた今までとは違う……。



大きく息を吸って、周りを確かめる。


大体の非戦闘要員の人達は、久遠、ノア、リーヴ、黒子の近くに移動していた。ギンもリーヴの後ろにきちんとへばりついている。



ー……大丈夫。

これ以上は、きっともう………



そう思った瞬間、少し離れた場所を1人で必死に走る少女が目の端に映った。



「……楓ちゃん……?」



久遠に箱を預けられていた、あの少女。

箱を抱えながらなのか、上手くバランスが取れずに 走るスピードが上がらない様だった。

その為、戦闘要員の近くに素早く移動する事が出来ずに孤立してしまっている。


1人はぐれた楓ちゃんは、チビキメラ達の恰好の的だった。

どんどんキメラ達が楓ちゃんに向かって走り出す。


「楓ちゃん!!!」


俺の声に顔を上げた楓ちゃんは、必死にこちらに方向を変えた。

その瞬間転びそうになりながらも、堪えて再び走り出す。


急な方向転換は、スピード重視のチビキメラ達には効果的だった様だ。

楓ちゃんに向かって全力で追いかけていたチビキメラ達は、そのスピードですぐには曲がれなかった。


「ごめんなさいっ……!!ごめんなさい!!いちさん!!ごめんなさ……っ……」


楓ちゃんが泣きながら俺に向かって叫んだ。


なんで謝るんだ……?


一瞬そう思ったが、その答えはすぐにわかった。


曲がりきれなかったチビキメラ達が、やっと止まった身体を全員こちらに向けたからだ。



自分が俺の方に来るという事は、自分を追っているチビキメラ達もこちらに来るという事。


楓ちゃんに狙いを定めたチビキメラ達は、すでに12匹にも達していた。


持ってる銃を握る手に汗が滲む。


楓ちゃんが出来るだけ近くに来てから………楓ちゃんが射線に入らない場所まで待ってから撃てば……きっとチビキメラは至近距離になってる。外しはしないと思う。



でも、きっとそれは1発だ。


残りの11匹は…………?


リュックの中には、あと何が入ってる?

ぬめりゴケは練ってないから使えないし、あれだって良くて1匹だ。

黒子から取り上げた剣だって、久遠やノアみたいな腕が無ければ せいぜい上手くいっても2匹ぐらいだろう。

豚は……3秒しかない。

俺の腕力じゃ、ちぎってから思いっきり投げても…確実に楓ちゃんを爆発に巻き込むだろう。



これ………無理だ………。



そう思った瞬間、身体中から血の気が引いていくのを感じた。



「いちさんっ!!箱っ……箱を!!私が引き付けますからっ……箱を!!!箱をお願いします……っ!!!」



…箱!!?


電磁波装置の、あの箱……!?



その瞬間、楓ちゃんが久遠に向けて言っていた言葉が頭の中をよぎった。




『……命にかえても。』




ー…わからない。


あの箱がないと、今残ってる全員がこの先きっと危険になる。

それは、わかってる。


だけど、俺じゃなくて自分の命を餌にしようと即断した この楓ちゃんの様な人間の感情を…


きっとあのナンバーの女は、一生わからないと思う。



あぁ……。

本当に腹が立つな。


あの女に、これ以上こーゆう人間の命を奪われるのは。





……………ないな。





「…楓ちゃん!!そのままこっちに走って!!!」

「…でもっ……箱っ……」

「キメラ達が狙ってるのは、箱じゃない!!!俺達だから!!!」

「………っ……」

「多分俺、楓ちゃんよりは頑丈だから!!!箱はきっと………久遠が回収してくれるから!!!」

「……でもっ……」

「どっちが囮になっても、多分もう遅いよ!!!」


叫びながら、俺はとりあえずリュックと銃を捨てた。



楓ちゃんに向けて手を広げて、大きく深呼吸する。


もう、笑うしかなかった。




「…ごめんね、楓ちゃんまでもつか、わからないんだけど。」


もう守れるかもしれない方に賭けるしかない。



楓ちゃんは、俺が何をしようとしているのか すぐに気付いた様だった。


涙でぐしゃぐしゃになった目を、箱を持つ腕で一度拭うと 真っ直ぐ俺の元まで走って来て 箱ごと俺の身体に飛び込んで来た。


しゃがんで、箱を抱きしめる楓ちゃんを上から抱きしめる。



「……ごめんなさい…」


楓ちゃんが、小さく呟いた。



「…はは。俺が頑丈だったら良いんだけど……。わかんないんだ。ごめんね。」




向かって来るチビキメラ達に自分の背を向けるようにして、俺は目を瞑った。



とりあえず俺の身体。


何匹の攻撃に耐えられるのかな。


アンドロイドって死後硬直とか、すんのかな?

してくれると そのまま壁になれて助かるんだけどなぁ……。

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