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第17話.ノアVSキメラ

ノアの手元にある刀は、久遠が使っていた(サナギ)とは色も形も違う。


真っ赤な刀身に、黒い柄。


黒い刀身に、赤い柄 である(サナギ)とは正反対の色合わせだ。


「へぇー。この刀、凄く軽いわね。」


ノアが刀をフリフリしながら久遠に言った。


「勝手に使うなアホーーー!!!」

「あれも、ロストテクノロジーの1つなのか?」

「んな訳あるかいな。そんな何本もロストテクノロジーの刀なんぞあらへんわ!!

あれは、(サナギ)を作るために造られた試作品の中で唯一生き残った刀や。名称は赤金(アカガネ)

(サナギ)ほど硬くはあらへんけど、ロンズデーライトを使っとるからダイヤモンドよりは硬いで。」


充分凄いではないか………。


赤金(アカガネ)かぁ……。

(サナギ)の兄弟って感じかな??


『このっ……ふざけるなぁあ!!さっさと降りろ!!!』


「おっと。」


頭の上のノアを必死に殴ろうと手を振り回すキメラだが、なにぶんノアは踊り子。

その身軽さで簡単にスラリとかわす。



『あなた………その身軽さ…ただの兵士じゃないですねぇ?…何者ですぅ?顔を見せなさいな!!!』


あ。ヤバイ。

顔は見られたらヤバイ!!!

特にノアは有名人だ。すぐにバレる!!!


恐らく、ノアに関しては名前を呼んだだけでもアウトかもしれない。



「顔が見たいのなら、先に見せてみなさいよ?キメラの中に入ってるナッツちゃーーーん?それとも、お顔はそのまんまなのかなぁ?キメラみたいな お顔なのかなぁー?自分は顔見せないのに人に見せろだなんてズルイわぁー。」


おい。アイツ挑発し始めたぞ?



『貴様ぁああああああ!!!』



挑発するのもどうかと思うけど、あそこまで簡単に挑発に乗るのもどうなの?


俺はこの隙に 黒子を背負って皆の元へと走った。


よほど頭にきているのか、あのキメラ全くこっち見なかった。



「ねぇ…あのじゃじゃ馬、どうしたらいい?」

「俺の刀借りパクしたら絶対許さへんで。絶対許さへんで!!」

「いや、そうじゃなくて…」

「いちはん!!もっと強くタズナ締めとかんかいな!!自分緩すぎるわ!!俺ならもう首締めとるわ!!!」


ダメだ。こっちも随分と頭にきている。


俺は祈る様な気持ちでリーヴを見た。

怒ったリーヴには、あのノアも恐縮していたからだ。


「見ろいち。6区のBランカーを相手にしている時は、飛び上がるまでの体術に圧倒されて最後の止めを刺した剣術が霞んでしまっていたが……。これはなかなか。あいつ剣術も素晴らしいな……ほら見ろ!!あの手首のスナップを!!見ろ!!」

「…………」

「俺を見てどうする馬鹿者!!ノアを見ろと言っている!!褒めてやれよ?主人として、あの動きは褒めてやるべきだ!!むしろ讃えてやってもいいだろう!!」


ダメだこの戦闘狂。


「ギンー……」

「…ぅひっ!?ちょちょちょ、待って下さい!!僕にあの戦闘の中に入れと!?あんなカオスな中に!?」

「だってアイツ、明らかに遊んでるよ!?このまま遊ばせてたらコロニー自爆すんだけど!?」

「…………ふぁっ!!!」



ええええええ!?


ギン君、そこまでロストテクノロジーで興奮しちゃった!?

久遠、刀パクられて頭に血が登りすぎちゃった!?

リーヴは戦闘スイッチ入るとそれ以外完全OFFになっちゃうの!?


このコロニー自爆スイッチ入ってるの、皆忘れてた訳!?

まさかのギンまで!!!


ちょっと待って記憶喪失は俺だけでお腹いっぱいなんですけど!?



「僕とした事が……。なんたる不覚!!…さっさと終わらせましょう!!!」


ギンは数歩前に出ると、右手で背中にある巻物のカバーをパチンと外し 中のペーパーを引き出した。


すげ。

もう義手使いこなしてる。


それを、フワッと手前に放り投げると

すかさず呟く。


「タブレット!!」


フワフワしていた紙が ビシッとした板状に変換され、地面に向けて落ち始める。


それを、キメラの頭の上で見ていたノアは ニヤッと笑顔を浮かべて目を閉じた。



「ライトニング!!!」



え?何!?ライト……?


ギンが叫んだ瞬間、降下していたタブレットが物凄い光を放った。


「…眩しっ……」


あまりの眩しさに目をつぶる。


何これ!?目くらまし!!?


そう思った瞬間……



ー…ドサッ。



鈍い音が耳に響いた。

何かが近くに落ちた。そんな音。


まさか…

あいつ、眩しさに目がくらんでキメラの上から落ちた!!?


「ノア!!!」


目をつぶりながらも、しゃがんで音がした方向に手探りで進む。

ふいに、何かが手に当たった。


「ノア!?」


目を開けると、ぼんやりと視界が開けて見える様になってきた。


「ノア!!ノア…………」




俺の手の先にあったのは、ノアではない。


赤いオイルにまみれたキメラの頭だった。



「………っ………!!!」



あまりのグロテスクさに、叫び声さえ出なかったよ。



「いち!!いちー!!見てた見てた??きっれーいに斬れたっ!!久遠みたいに、斬る時に音しなかったでしょ!?ね!?」



キメラの胴体の上で、ノアが嬉しそうにピョコピョコ飛び跳ねている。



……この女は、何でもかんでも 首ちょんぱしないと 気が済まないのだろうか……。



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