第14話.キメラアンドロイド
「リーヴ様!!危険です!!お下がり下さい!!私が全力でお守り…………ふぎゃんっ!!!!」
リーヴの前に立ちふさがった黒子は、あっけなくキメラに踏まれた。
何してるんだろう……あのストーカーは……。
キメラは、踏みつけた黒子をジッと見つめ、 首を傾げた。
そしてゆっくりと俺達の方に顔を向け、俺達1人1人を順に見て行く。
一通りゆっくりと俺達を確認したキメラは、大きな声をパカリと開けた。
『なぁ~んでアンドロイドが人間と一緒にいるんですぅ??』
恐ろしい見た目とは かけ離れている、かん高い声。
……かん高い声?
「………キメラアンドロイドって……喋んの?てか、なんか声の設定おかしくね?女の声だよね?あれメスなの?いや、メスにしたって見た目と声のギャップでかすぎだろうがよ…笑えるんですけど。」
俺の質問に、全員がポカーンと口を開く。
「女っちゃー……女よね。まぁ。」
「女になります?キメラ自体はアレ、オスですよ?」
「え!!オスなの!?ちょっとやめてよオスであの声はないでしょー。………オネエ?」
『…………………。』
黒子を踏んでいる足に思いっきり力を入れるキメラ。
黒子が付けていた兵士用の防具がメキメキと音を立てて割れていく。
「ぐ……っ…」
ヤバイ!!
あれじゃ黒子潰される!!
笑えるとか言ってる場合じゃなかった!!!!
パァンッッッ パンッッ
黒子を巻き込む恐れがあるからか、構えていた銃とは違う 小さめの小型銃でキメラの目を捉えるリーヴ。
カンッ……カ……カンッ……
弾は全て地面に落ちて転がった。
「キメラも、目が恐ろしく硬いの… !?」
「……いや、目…というより、全身が硬いな。他の部分にも当ててはみたが、全部弾かれた。」
他の部分にも当て…?
目に当ててるのしか見えなかった……。
『今ぁ~、人間の代表で一番厄介な久遠さぁん。
やぁっと見つけましたよぉ~~?
こ~んな地下にコソコソ引きこもって隠れてたんですねぇ~~ 。ほぉんと、人間ってミジメですねぇ~~ こんな土の中ぁ~~ やだぁ~~ミミズみたぁ~~い。気持ち悪いぃい~ 』
「ねぇ、気色悪いんだけど。」
『…………はぁい~?…何がですぅ~?』
「お前だよお前。
気色悪い話し方しやがって。そのゴツイ顔で「ですぅ~」って何?よく語尾伸ばしてっけど、すっごい気持ち悪いからそれ。ギャップ萌え狙ってるの?ねえ、それ
狙ってるの?間違えちゃってるよそれ?逆に気持ち悪いしさぁ、気色も悪いよ。」
『…随分と躾のなってないアンドロイドですねぇ~。どこの部隊で しょ
ぉかぁ~?私ナンバーなんですけどぉ~』
「いやいや、どこのアンドロイドでもないですよ。
強いて言うなら 久遠に協力する、野良アンドロイドでーす。」
ん?
ナンバー?
『はぁ~?人間に協力するアンドロイドなんか、要るわけないんですけどぉ~~』
「悪いなぁ、ナンバーの姉ちゃん。こいつらは俺のお友達や。」
『はぁ~~?友達?アンドロイドと人間が?』
え?ナンバー??
あのキメラ、ナンバーなの!?
ナンバーって人型じゃないの!?
ナンバーの姉ちゃん??…姉ちゃん?
久遠、あれが女に見えるの?
…声が女だからアリって事なの?
ストライクゾーン広くね!!?
久遠とナンバーが会話をしている間に、リーヴが俺の元に走り寄って来て 俺が被ってるフードコートを顔の半分まで下げた。
あ……そっか。
俺達は2区からしたら、お尋ね者だもんね……。
きっちりと顔は隠しておかないと。
ん?
「でもさ、ここであのキメラ殺しちゃえば身バレはしないんじゃない?」
「このキメラは、ナンバー10番の“ナッツ”のキメラなのよ。
黒子の鷹みたいにね、視覚と聴覚をリンク出来るの。
つまり原尾コロニーにいるナッツ本体に、このキメラの目と耳から得た情報は 筒抜けって事。」
「じゃあ、少なくとも10番には、正体まではバレてないけど俺達の存在自体はバレたって事?」
「そーゆう事だね。」
下手に闘い方を見せると不利になるか…?
「10番の姉ちゃんが飼っとるキメラは確か10匹やったな。
今減らしといて損はないやろ。」
そう言うと、久遠は小声で俺達に ささやいた。
「俺があの黒子姉ちゃんを踏んどる足をやるけぇ、速攻で黒子姉ちゃんをキメラから離れた所に持ってってぇな。」
「黒子運ぶの、俺やるよ。一番戦闘力ないし 。リーヴ遠距離持ってるから援護お願い。ノアはもう1匹に注意して警戒してて。
ギンは、キメラの戦闘データーなるべく取ってね。
後から、原尾コロニーとかでまた戦うだろうし。」
3人が俺を見て頷くのを見た久遠は、ホゥ…と息を吐いた。
「ほんま、いちはんリーダーやってんなぁ。様になっとるやん。」
「僕すぐ調子に乗っちゃうから、そこら辺でやめておこうか久遠君。……てか、久遠…足は大丈夫なの!?」
「足は問題あらへんよ。サクは優秀やでのぅ♪戦闘の方も……こいつが優秀やでな。」
カチャッ……という音をさせ、久遠が腰にさしていた剣を鞘から引き出した。
それは
スラーッと綺麗に伸びた、黒色の長刀だった。




