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第12話.サクへ。

「ここまでの物を作るとは……」


信じられない……といった顔で3つの装置を見つめるギン。


「しかし、人間に対しても危険なのでは??」

「中野博士がそこ考えへん訳あらへんやんかぁ。人間には無害になる様作っとる」


中野博士って……一体何者なんだよ……。


「ねぇ、もしかしてあんたが私達に手伝わせたかった裏の目的って、莉音ちゃん達の様子見だけじゃなくて……」

「…せや。様子見ついでに、中野博士のコロニーで最後の1個が完成しとるかの確認と……ついでに、隠しとるやろうから、探し出して貰えたらいいなー♪って話やってん」


人使い荒っ………


「でもさ…もし最後の1個が完成してなかったら…」


きっと、最悪の結果になる。

でも、そんなシナリオが久遠の頭の中を よぎらない訳が無い。


すると、久遠は悲しそうに笑って俺に言った。



「……俺らには……もう他に行く所はあらへんねや。」


その言葉に、隣に建ってる少女もうつむく。

箱を閉じ、大事そうに再び胸に抱える。

その箱の上には、少女の涙と思える雫がいくつもこぼれ落ちた。


「その電磁波装置を起動したらさ、俺達も通れないよね?」


俺の言葉に、ギン、リーヴ、ノアが顔を上げた。


「あんたらが全員入ってから起動するけえ、安心せぇ。」



でも、出られなくなるんじゃないか…?起動されたらずっと、中野博士のコロニーの中から…。


もちろん、俺達は脱走してアンドロイドから逃げてる。

アンドロイドが入って来れない場所……立場上、これは願ったり叶ったりな場所のはずなんだ。



なんで俺は………迷ってるんだろう…。



《久遠さん…っ…久遠さん?》



そんな時、久遠の耳に付いている小さな無線機からサクの声が響いて来た。


「サク!?サクか!!!」


《はい。どうかしましたか??》


「サク……」


《はい?》


「莉音が………コロニーを飛び出してってもーた……」


《え……?》


「襲われた原尾コロニーに、1人で向かっとる…」


《そんなっ……なんで……》


「……………」


《…分かりました。あそこに行くなら、ここを通りますね。……逆走して合流します。》


「……いや……せやけど…」


《はい??》



久遠が唇を噛み締める。

言いたい言葉を、必死に飲み込もうとして 堪えてるのがわかる。


俺は久遠の横まで歩き、久遠の耳元になるべく近い場所で言葉を出してみた。



「サク、聞こえる?」


《…いちさん?》


「出来れば、莉音ちゃんと合流して欲しいんだ。」


《はい。》


「……でも、莉音ちゃんの体の中には爆発物が埋め込まれてる可能性がある。」


《………えっ………!?》


無線の向こう側で、サクが息を飲む。


「確率は低いと思う。……でも、ゼロとも言いきれないんだ。」


《………………………》



無言になるサクに、久遠は目をつぶって俯いた。



《………ああ……、だから原尾コロニーに……。まだナンバーがそこにいるんですね?……ははっ…ほんと、無茶するなぁ》


サクの笑い声に久遠が顔を上げた。


「サク………」


《逆走して、合流しますね。》


「サク……、せやけどっ……もし爆発したらお前かて……」


《行きます。あ…すいません……僕体力には自信ないので…話しながら走るのはちょっと厳しいかな……。莉音ちゃんと合流したら、また連絡入れますね。》



そう言って、サクは無線を切った。



サク………


ほんと、ありがとう。


かっけぇよお前…。惚れそう。



「昨日の泣き虫とは思えませんねぇ。」

「…ふ。全くだ。」


苦笑いをするギンに、リーヴが頷く。


「あら?でも、久遠が泣きそうよ?」

「……っ…泣かへんわ!!お前らも、はよ準備せえ!!!!」


久遠はクルリと背を向けボソッと呟いた。



「……ありがとぅな…いちはん…代わりに…言うてくれて。」



そのまま歩いて行く久遠の背中を見ていると、胸が痛くなった。

何十人もの命を預かるリーダーという役割の大変さ…。

たった19歳の男の子には、あまりにも重すぎるんじゃないか…?


手伝えることがあるなら、出来る限り手伝いたい。



「サク……凄いわね…」

「………うん。凄いな。」


「人間は……、“成長”するのね…。

しかも、あっという間に。

……成長…か。アンドロイドにはないものだわ……」



………何を言ってるんだか、全く…。


そう思った時点で、お前はもう成長してんだっつーの。

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