第4話.リーヴの過去(4)
「……その日の夜だ。1人のアンドロイドが立ち上がり、人間に反旗を翻したのは。
ーーー…もちろん、俺もそれに続いた。
俺が最初に殺した人間は、俺とラスを飼っていた人間だ。
そこからは、もう人間への殺意のままに戦っていたな。
…殺せるだけ殺し尽くした。」
サクは堪える事が出来なかったのか、大粒の涙をボロボロと流していた。
人間がしてしまった残虐な行為に対してなのか、それともあまりにリーヴの経験がショックだったのか…
俺は、違う事でも悔しかった。
だって、その日の夜って……。
後一日…もし後一日、そのアンドロイドが早く立ち上がっていたら
ラスさんは死なずに済んだのかもしれない…。
歴史的瞬間の、たった数時間前に死んでしまうなんて…。
こんな事ってありえるのか…?
こんな悔しい事…
「…………リーヴ……」
俺の声に顔を上げたリーヴは、息を飲んだ。
それに気付いたノアが俺の顔に目をやった瞬間、目を丸くして叫んだ。
「いち……!?」
「……え…?」
俺も何が起こってるのか…正直よく分かってなかったんだ。
「え……え?何これ……」
驚いた。
俺の目から、涙がこぼれ落ちていたから。
次から次へとこぼれていく涙。
「俺………泣……泣いてんの…?」
「いち……お前…もしかして、人間に作られたアンドロイドなのか……?」
「えっ……!?」
そうなのか……?
凪ちゃんみたいに、俺も!?
「え…アンドロイドって……泣かないモンなの?」
いまだに大粒の涙をボロボロと流しながら、サクが不思議そうに俺達に聞いた。
ああ……!!そうか……。
サクは凪ちゃんを知ってるんだもんな。
「でも、そうか…。だとしたら、あんたも中野博士に作られたアンドロイドなのかしらね。」
「中野博士に……?」
だとしたら、俺の親も中野博士になるのか……?
『中野博士は……もう亡くなっとるんや』
久遠の言葉が頭をよぎり、それを必死に振り払おうと頭を振る。
今はそんなことよりリーヴの話を……
………ん???
「…あれ?ノア、お前いつラスさんに会ったの?リーヴが人間に戦わされてた時に会ったのか?
もしかして、お前もその賭け仲間の人間に飼われて………ああああ!!リーヴを4回殺したのってお前か!!!!」
「へ!?いやいやいや、違うわよ。私がラスに会ったのは人間との戦争の後だよ。」
「戦争の……………後!!?」
びっくりしてリーヴを見ると、リーヴは軽く頷いた。
「手当たり次第に人間を殺しまくってたらな、リーダーに呼ばれたんだ。あぁ、リーダーってのは最初に立ち上がったアンドロイドな。
何か褒美をやると言われたので、俺はラスの修復を頼んだ。
当時は人間から取り上げた素材も山程あったからな。」
「え……!?じゃあ、ラスさんと再会出来たんだね!?」
嬉しくなってリーヴに尋ねると、リーヴは眉間にシワをよせた。
え……?嬉しい事…じゃないの?
「あいつが修復された時、俺はすぐに会いに行った。そして頭を下げたよ。
俺の命を引き換えにして、あいつは死んでしまったんだからな。
だが……、頭を下げた俺にラスが言った言葉は………衝撃だったな……」
「なんて……言われたの?」
リーヴは静かに、ラスさんに言われた言葉を復唱した。
「死にたかったから、ちょうど良かった。」




