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第1話.リーヴの過去(1)



俺達は、リーヴが座っている椅子の近くに それぞれ椅子を運んで4人で輪になる形で座った。


その真ん中に、サクが丸い小さなテーブルを置いた。


「何だこれは?何かの会議か?」

「違うよリーヴさん。お茶会だよ!!ほら、あったかい飲み物も貰って来たよ。」

「わぁ!!ミルクティーじゃないのコレ!!それにクッキーまで!!」

「サク、このクッキー爆発する?」

「へ?」

「あぁ…。いちはな、豚に心中されそうになってな。」

「あはははっ!!地上の食べ物はねぇ…。昔、人間が遺伝子研究実験とかなんとかで散々いじりまくった結果みたいだねぇ。…ほとんどが、凄い突然変異しちゃったらしいから…」

「人が、あんな化け物果実の産みの親!?」


何してくれてんだよ昔の人間…。


俺は半泣きでテーブルのクッキーを1枚口に入れてみた。


サクッ……と いい音を出したかと思うと、ふわっと口の中に甘味が広がり

あっという間に口の中でなくなってしまった。



うまっ!!!!

これだよ!?俺が求めてた食べ物はこれ!!



次から次へとクッキーを口の中に詰め込む俺を見て、ノアが呆れた顔で話を切り出した。


「で?何のお茶会なの?コレ。」

「あぁ、リーヴさんが8回殺された時の話を聞く会です。」

「ぶふぉっ!!!!!」



クッキー全部出た。



そんな物騒なお茶会だったの!?


「げほっ…。そ…そうだ…。リーヴ、人間に8回殺されたって言ってたよね…」

「あぁ。金持ちの家で飼われてた。金持ちの間では、娯楽でお互いの家のアンドロイドを闘わせる遊びが流行ってた。」

「いやいやいや…遊びってちょっと……」

「俺も少し聞いたんだけど、賭けまでしてたらしいんですよ…」

「どっちが勝つか!?とんでもねーな…」

「…ふ………。いちも、サクと同じ事を聞くんだな。」

「え?」


リーヴは少し笑うと、すぐに笑顔を消し

冷たい目をして俺達を見ながら言った。


「どっちが勝つか負けるか、じゃない。

どっちが死ぬか生きるか、だ。」


は…………?


「生死を…賭けの対象に…してたって事…?」


カップを持つサクの手がカタカタと震える。

人間が何をして来たのかを、された側のアンドロイドから聞かされるんだ。

たまんないよな……。


それでも、サクの目はリーヴをじっと見たまま 視線を逸らさなかった。

それを見たリーヴが ゆっくりと静かに続きを語り出す。



「4回目まではな、俺には感情も思考も付けられてなかったんだ。

だから本当に何も考えず、何も思わず、ただ命令されるまま目の前のアンドロイドを無心で殺していた。」

「相手にも感情とかは、付いてなかったの?」

「ああ。その時は全員付いてなかったな。

俺の飼い主は俺の他に、もう1人アンドロイドを飼っていてな。俺はそいつと同じ檻に入れられていたんだが…·……。

お互い感情も思考も持ってないからな。

…一言も口を聞いた事がなかった。」


同じ檻の中で、2人……ずーっと無言て。

なんか置き物みたいなの想像しちゃったんですけど…。


「てか俺、そんな無言空間の中に放り込まれたら…1分もたない自信ある…」

「はははっ!!いちはそーだなぁ!!」


あれっ?

珍しくリーヴが大声で笑った。


「だがな、金持ちの娯楽っていうのは本当に飽きっぽい。

そいつらはもっと楽しく出来ないかと話し合って、『飼ってるアンドロイドに感情と思考を付けよう。』という事になってな。

…俺は5回目の再生から感情と思考を付けられた。」

「じゃあ、その時から今のリーヴになったんだね?」

「あぁ…、そうなるのかな。」

「あ!!もしかして、同じ檻に入れられてた もう1人のアンドロイドにも、感情と思考が付けられたの!?」

「ああ。」

「じゃあ、話が出来る様になったんだね!?」


嬉しそうに次々と質問をする俺に、リーヴは微笑みながら頷いた。


だけどその笑顔は、どこかとても……悲しそうだった。




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