第45話.ナンバーの恐怖
莉音ちゃんは、何かに脅えるかの様に震えながら、ゆっくりと話し出した。
「救出するコロニーに着いてから、少し離れた丘の上に登って中の様子を見とったら、コロニーの人間が20人近く生き残っててん。
皆縛られてて、何かを聞かれている様な感じやった。
敵は小隊が3つ。21人だった。数的には有利やと確信したから、朝まで待って突入したんや。」
「なぜ夜にしなかった?」
いきなりのリーヴの質問に、莉音ちゃんは少し答えるのに躊躇していたが、ポツリポツリと話し始めた。
「全員分の暗視スコープなんて、あらへんもん。その上あっちにはサーモグラフィがあんねんで?夜に行動を起こすのは危険やって判断したんや……。………でも……今思えば……そんなことを考えんと、夜のうちに突入するべきやった………!!!」
莉音ちゃんの毛布を持つ手が、ガタガタと震え出した。
「朝突入すると、やっぱり数が多いこっちの有利やった。コロニーの人達を檻から出したって、逃げようとしたその時や………
2人組が、コロニーに到着してん…………。ナンバーって呼ばれとるのを聞いて、あかんって思うた………。
思った瞬間やってん………。
ほんまに……あ………あっという間に………仲間も、コロニーの生き残りの人達も……殺されてもーた…
皆や…………皆……っ………」
震えながら話す莉音ちゃんの声から、どれだけの恐怖を感じたのかが痛い程 伝わって来る。
ノアは、ベッドに手を掛けて莉音ちゃんの肩にもう片方の手を置いた。
「落ち着いて?今は、あなたしか情報を持っていないのよ?」
ノアの声に、莉音ちゃんは ハッとして毛布から手を離し、ノアを見つめる。
「そのナンバー2人。…何番か、わかる?」
「……直接には番号を呼ばれてるのは聞いてないんやけど……腕に、それぞれ『V』と『X』って文字が刻まれとった……」
「5番と10番……。女と男だった?」
「…………うん。」
「確定ね。」
5番と10番………?
前にも、そんな感じの話が出て来なかったか…?
そうだ……、あの時!!
「ノア!!」
「ん?」
「前にお前が6区の隊長倒した時…あの生首に、お前番号聞かれてなかったか?」
「んん……?……あぁ、あいつか。」
その瞬間、ズザザザーッとでも いうかのような音を立てて
俺達の周りにいた人達が一斉に俺達から距離を取った。
「ちょ、ちょい待ちぃや……、姉ちゃん、あんたナンバーなんか!?」
久遠が驚きながらノアに聞いた。
ノアは、やれやれ…とため息をつく。
「違うわよ。殺した6区の隊長が勝手に勘違いしただけ。」
「違うんか………。……って、6区の隊長を倒したやてぇええ!!?」
「倒した。」
「この子、一瞬で倒した。」
ケロッと言うノアと俺を見る周りの人間達の目は、完全にドン引きしていた。
「んなアホな…。隊長っちゅーたら、Bランカーやろ…?」
「ノアさんは踊り子なんで戦闘ランクはついてませんが…実力で言えば 、ナンバーと同じAランクです。」
ギンの説明に、その場の全員が固まった。
「え……?やだ…何?照れるなぁ…」
皆の反応を見て、照れ始めるノア。
違うよノア。
皆、化け物を見る目で見ているんだよ。




