第44話.始まりの目覚め
「莉音っ!!!!目ぇ覚ましたんか!?」
久遠が莉音ちゃんの元へと走り寄る。
良かった……意識を取り戻したって事は、ひとまず安心なのかな?
「にぃ………ごめ…….。うまく…いっとったんに……もう少しやってん………ごめ………ごめんなぁ……」
「今は喋らんでええ。ゆっくり休みぃや。」
「………ヒック……ごめ……皆っ……皆やられてもーてっ………皆……」
「喋らんでええて。」
もしかして、救出に行った40人の中で………生きて戻って来たのは、この子だけなの!?
久遠は毛布を莉音ちゃんに掛けようとしたが、莉音ちゃんはそんな久遠の手を掴み 涙を流しながら話そうとする。
「莉音。今は寝るんや。後で話そな?」
「聞いて……にぃ……。お願いや ……!!」
次の瞬間、莉音ちゃんの口から出た言葉を聞いて
その場にいた、全員の空気が止まったかの様な感覚がコロニーを包んだ。
「突入して……っ、もう少しでって所やってん………っ……けどっ……ナンバーが……2人来たんや……」
「ナンバーですって!!?」
莉音ちゃんの言葉に最初に食いついたのは、ノアだった。
「……なっ…!!?なんでアンドロイドがここにおるん!!?」
ノアの姿を見た莉音ちゃんが 慌てて起き上がる。
「大丈夫や、莉音。こいつらは凪ちゃんと一緒に脱走して来た、凪ちゃんの仲間や」
「凪の………!?凪っ………」
ベッドのわきにしがみついてる凪ちゃんに気付いた莉音ちゃんは、信じられないといった顔をして凪ちゃんを見つめていたが、その目はみるみるうちに涙でいっぱいになった。
それを見た凪ちゃんも、同じく涙を浮かべながら莉音ちゃんに抱きつく。
「良かったぁ凪っ…!!凪たちのコロニー襲われたって聞いた時、うちすっ飛ん出ったんよ!?でも全員首都に連れてかれてもーた後やった……。間に合わんくて、ごめんなぁ……ごめん……」
泣きながら凪ちゃんを強く抱きしめる莉音ちゃんの手元に、メルもパタパタと飛んでくる。
「リノーン!!リノーン!!」
「メル!!良かったぁ……メルも無事やってんな…!!!………でも、脱走って……一体どうやって……」
「この人らがな、一緒に脱走して、それからもずっと凪ちゃんと一緒におってくれたんよ。」
「あなた達が………?」
久遠は、俺の頭をクシャクシャしながら笑って説明してくれた。
「この、いちってのが偶然にもコンテナの中で目を覚ましたらしくてなぁ。……こいつが目ぇ覚しとらんかったら、今頃全員スクラップやったらしいで?」
「す……すごい奇跡やん……。凪を助けてくれたん、ほんまにほんまにありがとう。ありがとう。」
そう言って、莉音ちゃんは何度も何度も頭を下げた。
「いやいやいや、俺は目を覚ましたってだけで……。その後は、他の皆の力のおかげだから……」
「そうね。」
黙れじゃじゃ馬。
「莉音ちゃん…だっけ?怪我は大丈夫?」
「あ……はい。傷は全部浅いので…。ただ、傷が多いから出血が多くて……その上ここまでずっと走って来たけぇ、ちょっと倒れてもーた………」
へへへ……と、頭をかきながら笑ってるけども莉音ちゃん。
その怪我で走って来たって
相当ですよ。
「じゃあ、聞いていいかな?……ナンバーがいたって、本当なの?」
ノアの質問に、皆の空気がまた変わった。
莉音ちゃんは、毛布をギュッと握り
目をつぶって深く頷いた。




