第41話.内密に
さて、どうしようか。
ここまでぶっちゃけられた以上、ギン達がいない今この状態で
俺達だけで、この話を聞いて良いものか……。
すると、久遠に言い負けてショボーンとしていたノアが、おもむろに俺の服の袖をクイクイ引っ張った。
「ねぇ、いち。私トイレに行きたい。」
「行けば?」
「………………。」
え?なぜ不機嫌に?
というか、なぜわざわざ尿意を報告するんだ。
え?何?
もしかして、今の会話で自分のタズナ俺に渡しちゃってる気分になっちゃった?
いやいや、さすがにそこまでアホじゃないわな。
「ついてきて。」
「はぁあああああああああ!?」
アホだった!!!
とんでもない事を口走りやがった!!
「ねぇ、久遠。トイレはどこかしら。」
「え……、あー……あっちやけど……そこ曲がってから、突き当りを右………って、え。何?2人で行くん?」
「うん。」
「うん。じゃねぇよ!?何言ってんのお前!?なんで俺がお前とトイレ行くの!?俺男なんですけど!?」
「うん。」
「うん。じゃねぇよぉぉお!?」
「うん。いいから、行こう。」
「行かねぇよ!!」
「行くんだよ!!!」
ええええええええええ!!!??
しまいには怒鳴り、俺の腕を掴んで歩き出したノア。
こんな時まで、馬鹿力は健在だ。
助けてもらおうと 久遠に向かって振り向くと、久遠は片手で口を押さえて もう片方の手をヒラヒラ振っている。
「悪いんやけど、こっちも急ぎの話やねん。ほんま申し訳ないんやけど…………………出来るだけ、はよぅ帰ってきてやー。」
久遠の口元は、笑っていた。
「完全に誤解されてんぞ!!?おい!!ノア!!」
いくら叫んでも、ノアは足を止めようとはしない。
つーか、俺ほとんど引きずられてんだけど。
「ノアちゃん!?これは君、逆セクハラという罪になるのですよ!?」
足は全く止まらない。
「あのね!?さすがにこれは、いくらなんでも急だと思うよ!?だって普通こーゆうのはね、逆なの!!男と女逆なの!!ちょっ……おまっ………止まれよぉおおおおおおおおお!!!!」
俺の叫び声に気付いたのか、ギンが慌ててパタパタと走って来た。
「ちょっと!!何を大声で騒いでるんです!?」
「ギン!!助けて!!ノアが変態になったーーーー!!!!」
「ちょっとうるさいわね!!!声のトーン落としなさいよ!!」
「変態ーーーーー!!!!変態ーーーーー!!!!!」
「…チッ。ちょうどいい。ギン、あんたも来て。」
そう言って、ノアはギンを片手で担ぎ上げると そのまま自分の肩に乗せた。
「屈辱!!!こんな持たれ方は屈辱ですノアさん!!降ろして下さいーーー!!行きますから!!行きますからぁ!!」
「行くの!!?ノアおまっ……逆セクハラな上にショタコンまでかよ!!?どんだけ変態の重ね付けをするつもりだーーー!!!」
すると、ノアの肩から降ろされたギンが ノアの横を歩きながらリーヴに向かって手招きをした。
それに気付いたリーヴがこちらに歩いて来る。
「リーヴまで連れションかよ!!?なんなの!?皆、1人でトイレに行けない寂しがり屋さんなの!!?」
「ちょっと、マジでうるさい。」
「いちさん、うるさいです。」
「いち、声でけぇよ。」
…………怒られた。
トイレに近い場所まで行くと、ノアは立ち止まって周りに人がいないか確認する。
変態なくせに、そーゆう所は気にするの?
誰もいない事を確認すると、ノアは先程 久遠と話した事をギンとリーヴに話し始めた。
あれ?トイレ行かないの?
全てを聞いたギンとリーヴは しばらく考え込んでいたが、同時に口を開く。
「うさんくさいですね。」
「うさんくさいな。」
トイレは?
「中野博士のコロニーに行ってみる…というのは、僕も賛成ですが…。」
「それだけじゃないんだろうな。奴の目的は。」
「あわよくば、私達に自分の目的も手伝わせようってハラよ?あれは。
あいつね、すっっっっっっごく、口が達者なの!!!」
「あれはお前が馬鹿なだけだったよ。」
「なんですって!!?」
「まぁまぁ…、とりあえず久遠に話を聞いてみましょうか。」
「あ、ギンとリーヴも来てくれるの?助かるー。俺だけじゃ、理解出来ない事多いしさ。」
「私もいるんだけど。」
「いや、お前はさっさとトイレ済まして来いよ。」
「行かないわよトイレなんて!!!!馬鹿じゃないの!!?」
思いっきり頭をひっぱたかれた。
理不尽すぎる。




