第28話.3人と1匹での闘い(2)
なぜ、ここまでの頭脳がありながら
ギンは処分対象になってしまったのか。
きっと、ギン達情報処理係は 様々な情報を的確にまとめて行く事……。
両腕を失ったギンが処分対象になってしまうのだから、両手を使う作業……恐らくパソコンの様な物を扱うのだろう。
その作業スピードがどれ程速いのかは、見たことのない俺には想像もつかないが。
きっとアンドロイド達にはマニュアルみたいな物があって、決められた行動などを的確に行う事が出来るんだろうけど……
戦闘の最前線にいたリーヴ、建物の中に残っていたギン。
アンドロイド達の戦闘には、ギン達の様な頭脳を連れていくというマニュアルはないんだ。
戦闘は戦闘員が。って事だ。
策士が戦場にいないーーーー。
だとしたら、この2人が闘いの場で直接組むという戦闘スタイルは、アンドロイド達の闘いの中では かなり異質な形……
新しい闘いの形ーー……?
「ーーーーう……わ……。」
一瞬で鳥肌が立った。
枝を握る手に力が入る。
だって、俺は記憶がなくて……頭に入ってくる物はほとんど知らない、新しい物ばかりなんだ。
俺以外の奴は、全部を知ってるじゃないか。
知ってる物しか、ないじゃないか。
知らない物を新しく知る事……何も知らない俺が それを知らせてやる側とか。
ゾクゾクする。
「……いちさん……?」
ギンが、俺の顔を覗き込んで首を傾げる。
その様子に気付いて リーヴも心配そうな顔で俺を見た。
「どうした?やっぱり怖いか?」
「あ、いや……ごめん。なんか……面白いな……って。」
「……って、笑ってんのかよ、お前。」
「頭のネジ、また何本か飛んでったんですかね。そのうち頭なくなりますよ?」
「ギンってさ、最初に作られたパーツ絶対口だよね。」
「いえ。足です。」
「…………。」
直球で嫌味を投げつけてくるくせに、投げ返された嫌味は踏み潰すよね。
ブーブーふてくされていたら、リーヴがシッと人さし指を口に当てた。
「……来たぞ。」
下を見ると、真っ直ぐこっちに向かって3人歩いて来るのが見えた。
2人が並んで歩き、1人が1~2歩下がって後ろを歩いている。
敵を確認して ギンとリーヴを見て頷くと、2人も同時に頷いた。
俺達が頷くのを見ていたメルは 真似をしようとしたのか、ペコリとお辞儀をした。しかも深々と。
やめて欲しい。吹き出しそうになった。
パキッ・・・パキ・・・
敵の3人がゆっくりと周りを見回しながら歩いてくる。
落ちている小枝を踏んで鳴る音がどんどん近づき、とうとう俺達の真下に差し掛かった。
リーヴが左手を軽く上げたのを合図に、俺達は真下にいる敵に向かって飛び降りた。
メルが、一番後ろを歩いていた男の頭の上にタブレットを乗せようとした瞬間、ギンが小声で呟いた。
「ペーパー」
タブレットは一瞬で紙に戻り、頭をスッポリと覆いかぶす。その顔を覆っている紙に、メルがしがみついた。
「なっ……なんだ!?」
完全に視界を奪われた敵は、焦って紙を剥がそうともがくが、何か生き物がくっついている という予想外の事に、慌てふためいている。
俺達はメルが後ろの男の視界を奪ったのと同時に、前の2人の敵の前に降りた。
「……っ………!?」
突然現れた俺達を見て、俺の目の前の男は 支持を出そうとしたのか、叫ぼうとしたのか。
見事に口を開けた。
「はいっ!!いただきまぁあっす!! 」
俺はその口に、思いっきり赤実なんとかの尻を突っ込んだ。
ブシャアァァァァアアアア!!!
「うぶっ……!!」
滝の様な汁を浴びた男は、目をつぶりながら数歩下がって顔を拭う。
俺はすかさずそいつの目の前に飛び出し、拭い終わってわずかに開けた右目に向かって ぬめりゴケがついた枝を突き刺した。
アンドロイドの目玉、超かてぇ!!!!
あまりの硬さに突き刺す事は出来なかったが、ぬめりゴケが目玉にべっとりとついた事によって……
「ぐぎゃあああああああああ!!!」
男は、目玉を抑えながら転がりまくった。
それはもう、何回転するのかというぐらいに。
しだいに回転は止まったが、ビクリビクリと身体が痙攣し、動かなくなってしまった。
そ……
そんなに染みるんだ………
うっそ死んじゃった………
え、うそ。ショック死!?
軍人には、屈辱であろう死に方に
俺はなんだが申し訳なくなった……。




