第22話.メル
「凪ちゃん、落ち着いたかなぁ?」
「大丈夫だろ。ノアが付いてるし。」
「とりあえず、今は状況を整理しておきましょう。情報も、まとめておいた方がいいと思います。」
泣きじゃくる凪ちゃんが落ち着く頃には、もうすっかり雨も上がり、朝になっていた。
ノアは凪ちゃんを連れて、近くの水場で身体を洗って来ると言って、2人で水浴びをしに行った。
残された俺達は、洞窟の中で情報をまとめる。
キューブ内の情報についてはだいたいギンが持っているが、キューブ外の情報については 1度外からキューブ内に入って来た情報でなければギンが手に入れる事は出来ない。
その為、戦闘の為に外に出たり区域外に遠征してリアルに外を見る事が多いリーヴの情報を、1度ギンに渡しておく必要がある。
そしてもう1つ、リーヴも知らないだろう外の情報を持っている可能性があるのは、凪ちゃんと共に人間に作られたメルだ。
「追っ手を気にするのは当然ですが、気を付けないといけないのは この第2区にどの地区がどのくらい侵入しているか……ですね。」
「そんなにいっぱい侵入してくるもんなの?」
「俺もしょっちゅう遠征してるからなぁ……。いない方がおかしいぞ? 」
「メル、タンチキノウ、ツイテマオス」
「え?探知機能?敵が来たらわかるって事?」
「アイサ!!」
「素晴らしい……!!それは助かります!!」
「ギギギギンサン、ニ、ホメラリタデス!!」
「僕はギギギギンではなく、ギンです。」
「アゥ……」
いつもギンはメルに対して眉間にシワを寄せてるからなぁ。
嬉しかったんだろうなぁ……。
可愛いやつめ。
「しかし、それなら何故昨日のスパイに対して使わなかったんですか?あの時使っていたら、もっとやりやすかったんですよ?」
「メル、エネルギ、ナスデスタ……」
あ。それ、俺のせいだ。
「まぁ、僕達の顔は ほぼ全部の追っ手兵士には知らされているでしょうから……なにか顔を隠せる服があると助かるのですが……」
「なんでもう顔バレちゃってんの!?」
「…いちさん。コンテナを出る時の映像が残ってますから。」
「あ……そうだっけ……。」
「リーヴさん、最後に立った戦場は?」
「……1区だ。」
「………………1区!!?」
リーヴの言葉を聞いたギンの顔がこわばった。
「1区って、強いの?」
「ここの2区と、1.2を争う大領地ですよ。」
え。じゃあここの2区ってのも、すごい所だって事だよね!!?
「1区に遠征なんて、そんな情報僕は聞いてないですけど」
「やっぱりそうだよなぁ。俺もいきなり1区にケンカ売るのはおかしいと思ったんだよな。」
「リーヴは、その戦いで腕をやられたの?」
「……あぁ。」
「……やっぱり、リーヴさんの腕が片腕しかないっていうのは、かなり厳しいですね。」
「まだ慣れてないけどな、片腕でもそこそこは戦えるぞ?」
「それなら捨てられるなんて事には、ならなかったのでは?」
「………」
わぉ。ギン君 お厳しい……
ヤバイ空気を変えねば…………
「あ、いや、でもさ。ほら、俺なんて機動力ないし、もっと戦力になってないよ!?」
「その通りです。」
もっと悪くなった。
「メルハ!!!」
「戦闘が出来るんですか!!?」
おお!?思わぬ所からフォロー!!
空気を変えるのは、やっぱり癒し系動物だよな。
「1回ダケ、爆発デキマスン!!!」
自爆かよ!!!!!!
なんつー機能つけてんだよ中野博士……
とんでもねーな………と、タメ息をついた瞬間、さらにとんでもない発言が飛び出した。
「爆発規模は?外部からの発動条件は何ですか?」
「キボ? ハ、ゴ!!!」
「はい?」
「ゴ!!!!」
「……あぁ……、5メートルですか。たいした数は巻き込めそうにないですね。なら、最低でも 隊長クラスのBランク以上の者の近くでお願いします。」
「アイサ!!」
……………は?




