第14話.凪の相棒
「ええええ!!!??ちょ・・・!?待って待って!!凪ちゃん何これ!!!??」
小さいけど、ドラゴンだよね!?
これ、ドラゴンだよね!!??
俺の叫び声に気付き、あーだこーだと談話していた3人がこちらを振り向いた。
「………わ!!!ちょっとやだぁ可愛い!!!!!」
「へぇ。珍しいモン持ってんなぁ凪」
「うーわ………子ドラゴンですか。」
あれ?皆あんまり驚いてない?
もしかしてこの子ドラゴンって、本物じゃなくてロボット!?
ペット型ロボットって感じのやつなの?
すると、この子ドラゴンがパカッと口を開けた。
火を吹く!!??
とっさに身構えた俺だったが
身構えたのは俺だけだった。
「ナ・ギ………ア………イ……イボボボボボ!!!」
「………………は?」
喋った。
なんか喋った。
「イボ?え?なんて?」
首を傾げる俺を見て、子ドラゴンは同じく首を傾げた。
そしてフルフルフルと首を振ると
「ハジメマシー!!ナギノ、アイボ!!アイボ!!!アイボー!!」
「あ………えっと、相棒!?」
子ドラゴンがコクンと頷いた。
すげぇ。少しマシな喋り方に変わった!!!面白ぇ!!
「ナギノカワリ、ハナスデス。オケデス?
」
ギンが眉間にシワを寄せる。
「……ちょっと。もっと分かりやすく話して貰えませんか?」
「ダメデスカ?ナギノカワリ、ハナシテハダメデ?オケデ?」
「……………」
やーっべぇ。分かんねぇけど、なんとなく分かるのが面白い。
ギンがイラッとしてるのも、またウケる。
「いやぁあ!!可愛い!!可愛い!!お名前は??」
「メル………ムキュ………メルト、モウシマ……ムキャ」
「メルちゃん!?メルちゃんね!!可愛いぃぃぃぃぃ」
「ムミャ………ムグ」
ノアは、モフモフの毛にメロメロになっており、キャッキャ言いながら両手で触りまくって撫で回している。
その気持ち、すっげぇわかる。
「ちょ、ちょっとノア。俺にも触らして」
「いや!!いやよ!!モフモフは女の子の為の癒しアイテムなの!!」
「心に傷を負った今の俺にも、その癒しは必要なんだよ!!俺今すっげぇ傷ついてんの!!泣くぞ!?」
「いやー!!!!好きなだけ泣けばいいじゃない!!泣けるもんなら泣いてみなさいよ!!」
「傷ついた!!また傷ついたよ!!!早く貸して!!」
「いやぁぁぁぁあ!!!!」
「なんなんですか、この2人。話が全く進まないんですけど。」
メルの奪い合いをし始めた俺達2人を見て、ギンはただただ冷たい眼差しを向けていた。
リーヴは、不思議そうにメルを見ているが
手は出して来ない。
よし。敵はノア1人だ。
「ノア、俺思うんだけど。」
「何?」
「俺達は今隠れてるんだぞ?あんまり騒ぐのは良くない。」
「あ、そうか………。うん。ごめん。」
「よし。ここは穏やかに、順番に行こう。貸して。」
「いや。」
「おっっ前、ふざけんなよ!!??もう充分触っただろうがぁ!!!!」
「ちょっと、でかい声出さないでくれる!?あんたが今自分で言ったのよ!?」
「ああああああああああ!!ムカつく!!すっごいムカつく!!!」
無理矢理メルを奪おうとしたものの、この女の馬鹿力は半端ない。
ガッチリとメルを掴んで離さない。
結局俺達は、またギャアギャアと喧嘩をし始めた。
全く話が進まない状態に呆れたギンは、その目を凪ちゃんに向ける。
俺達を、嬉しそうに見つめている凪ちゃん。
「凪。あのドラゴン、どうしたんです?」
なんと。初めてギンが凪ちゃんに話しかけた。
すると、メルはスルリとノアの腕の中からすり抜け、凪ちゃんの肩に乗ってギンを見つめる。
いきなりモフモフを奪われたノアは、ポカンとして固まっていた。
あの怪力から逃れるとか、凄すぎるんだけど………。
「ドラゴンロボットとか、どこで手に入れたんです?今は作られてないでしょう?」
「…………」
「ブレイカー……ギン・サン……カクスハ、ムリダトオモ。ハナシテモ?」
凪ちゃんにカタコトに話すメルに、凪ちゃんはコクンと頷いた。
「メル、ナカノハカセ・ニ……ツクラレマスター」
「中野博士………!?人間か!?お前は人間に作られたロボットなのか!?」
意外にもメルの言葉に食いついたのは、リーヴ。
人間が作った……?
人間がいるって事………!?
このアンドロイドの世界に!?
「アイサ!!」
メルは、リーヴに向かって
元気良く右手を挙げて答えた。
しかし、そのリーヴまでもが眉間にシワを寄せて黙り込んでしまい、難しい顔をしているギンとリーヴを交互に見つめて
メルは悲しそうに首を傾げた。
でも俺だけこの時、少し違う事を思ったんだ。
このアンドロイドの世界で、俺達はアンドロイドには簡単に捨てられてしまったけど……。
でも、ロボットを作れる人間がいるのなら、その人は俺達を修理する事が出来るんじゃないかって。
ほんの少し、希望を感じたんだ。
だけどそれは
この世界の無情さを俺はまだ知らないという事を、嫌という程知らされる事になる
とても悲しい希望だった。




