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第59話.いちとネオ

「…お前が、ネオか…?」


俺の声に、鷹は黙ったままじっと俺の方を見ていた。

しかし、すぐに顔の向きをノアに向けた。


初めての会話は、シカトで終わった。



鷹と目が合ったノアは、キッッと鷹を睨みつける。


『そう怒るなよノア…。俺も驚いたんだよ。君がコンテナを破壊する映像を部下に見せられた時はね…。

部屋にいる筈の君が、処理場のコンテナにいるなんて…。

犯人は絶対に見つけるよ。公開処刑にしてやるから。戻っておいで?』


「あんたの所に戻るぐらいなら、死んだ方がマシよ!!死ねボケ!!」


また言ったよ…。

もう名言確定だなコレ。


しかし、ネオは動じる事無く淡々と話し続けた。

随分慣れてるんだな。ノアからの暴言に。


『ノア、君が戻ってくるなら、同じコンテナにいたブレイカーのギン、Bランカーのリーヴ隊長、中野博士の遺作である凪。この3人の命は保証しよう。』


…あれ?この人、1人忘れてない?

俺ってそんなに存在感ない?


するとノアが俺の隣に立ち、鷹を睨みながら言った。


「私は、いちと一緒がいい。ギンもリーヴも凪ちゃんも、きっとそう。

いちと一緒にいる。

それに、もう私の主人は いちよ。」


その瞬間、鷹から物凄い殺気が放たれた。あまりにもおぞましい殺気に鳥肌が立った。


『いち……というのか。今のお前の名は…』


「……え?」


今の……俺の名前…?


何!?ネオも俺の事知ってんの!?


『ノア……一つだけ言っておくぞ。』


鷹は、もはや殺気の塊となって俺達の動きを止めた。

体が重くなって、動けない…!!

殺気って、こんなに重い物なのか…?

鷹では何も出来ないとナッツは言っていたけど…


よく考えたら、ノアだって殺気でシュカさんの事チクチク刺してたよな!?


『…その男は…。その男と一緒にいるなんて事だけは許さないよ…?

…絶対にだ。』


低い声でネオはそう呟いた。


………は?


なんだ……?俺だけは……って…


何だよそれ……


こいつ、俺に個人的な怨みでもあるのか?

俺は記憶を失う前、ここまで怨まれる様な事を人にする様な奴だったって事か…?


いきなり強い憎しみをぶつけられ、愕然としていた俺を正気に戻したのはノアだった。


「あんたに許しを貰う必要なんて別にない。

私は私の意思で、いちと一緒にいるって決めたの。

いちと一緒にいたいの。

あんたがどう思うかなんて関係ない。」


ノアは俺の手を強く握り、鷹を睨みながらキッパリとそう言った。


一気に胸から何か熱いものが込み上げてきた。


俺今絶対、顔真っ赤になってるわ。


なんでコイツは、こんな恥ずかしい事を何の躊躇もなく言うんだろう。


俺も、一緒にいたい。

心の底から、そう思ったから

ノアが握る手を、俺も強く握った。


鷹から物凄い殺気が流れて来ているのがわかるけど、不思議ともう怖くなかった。


『あーあ。お前、ネオ様に殺されるぜ?』


じゅんがニヤニヤと笑いながら俺に言ってきた。


しかしその瞬間、じゅんは隣のノアを見て一気に顔が引きつった。


「…あのね。だったらその前に私がネオを殺すわよ。それだけの話なんだけど?」


じゅんに冷たい視線を送るノアの肩を叩き、リーヴが乗ってきた。


「俺にもやらせろ。いちは俺の主人でもあるからな。」

「ならば僕が一番残酷な殺し方を考えましょう。そういうのは得意です。」


ギンまで……。


そして、凪ちゃんまでも、俺の前に立って鷹を睨んだ。


『………これは、驚いたね。

壊れたガラクタ共が随分な口を叩くじゃないか。

…あぁ……ノア。すまない。君は別だよ?』


「……同じでいいわ。」


『ノア…』

『…ちょっと、ノア=エイル!!あんたネオ様に対して口が過ぎるわぁ!?可愛いからって調子に乗ってんじゃないわよ!!この顔だけの馬鹿女が!!』


「はぁ?

あんただって胸だけの女のくせに!!次会ったらその乳もいでやるから!!

いち!!こいつはね、本当に乳だけが取り柄の女なんだからね!?乳しかないんだから!!」

「……え。」


『はぁーーー!?』


おい嘘だろ。

え、何?

こんな状況で、まだ乳がどーこー言うのか……。


『ナッツ。少し黙れ。』

『はい』


ネオの低い声に、ナッツは速攻で黙った。

何がしたかったんだこの女は。

とにかくノアに喧嘩売りたかったのか?

ネオに気に入られてるノアが気に食わないってか。


『俺はね。ノアの、そーゆう全く俺に媚びない所が気に入ってるんだ。

俺にあんな暴言吐くのはノアぐらいだからね。お前こそ、俺のノアに暴言吐くのはやめなさい。』

『……すみません…』


「何だネオ。お前ただの変態か」


久しぶりに口を開いた俺の言葉に、ギンを含めた皆の口が0の字になった。


「何ドサクサに紛れて俺のノアとか言ってんの?

ノアはお前のモンじゃねーから。

いつまでも勘違いしてんじゃねーぞ?暴言吐かれて喜んでるこのドMの変態野郎が。」


『…………』


ネオに暴言を吐いたのは、俺でまだ2人目なのだろう。

皆の驚いた顔に溢れてる冷や汗の量でわかった。


『…じゅんに聞いたよ。

探知機能は、君が抱いてるそのドラゴンの子どもなんだってね?』


さすがはドM。

俺の暴言さえもサラッと流すつもりらしい。


鷹の目が、俺に抱かれてるメルに向けられた。

じっと見つめてくる鷹に対してメルはビクッと体を揺らすと、震えながら俺にしがみつく。


『それにまさか、電磁波結界なんてめんどくさい物まで作るとはね。

つくづく、やっかいなジジイだな中野博士は。


やっぱり殺しといて正解だったよ。』


メルが、ギュウッと俺にしがみつく手に力を込めた。


「メルは渡さないよ?」


メルを撫でながら言う俺に向かって、鷹は不敵に笑った。


『別にいいよ?

くれないなら奪うだけだ。ノアもね。

…君…いちだっけ?…君が人間につくだなんて、本当に運命を感じるよ。どこまでもつのか、楽しみだ。』


その言葉を最後に、鷹のリンクは切れた。


リーヴの背中に崩れ落ちる黒子。


「…申し訳ありません…。追い出すのに…こんなに時間がかかるとは…」


俺達が話してる間、ずっと強制リンクを外そうと頑張ってくれていたのか。



さて、問題は

1人真っ青になっている じゅんだ。

恐らくこいつは、見捨てられた。


「こいつを失うのは、第2区の痛手になるんじゃなかったの?」


俺の質問に、シュカさんは苦笑いした。


「すいません……。

僕が思っていたよりもずっと、ここの地区は脳が筋肉なんですね。

理解に苦しみます…。」


ノアが欲しい、メルも欲しい。

それはあからさまに言っていたが、ネオは じゅんの事は一切交渉さえしようとしなかった。


じゅんは、真っ青な顔でガタガタと震え出し 歯までガチガチと音を鳴らせ始めていた。

この地区で5番目に強いはずの男。


あんなに自信に溢れていた じゅんの姿は、もうどこにもなかった。



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