捨てられた僕らの物語
なんでこんな目に!!!!!!!
はっきり言って、さっきからこの言葉ばっかりが頭の中を回っている。
もう何キロ走ったかもわからないけど、なぜ走ってんのかだけはわかってる。
逃げる為。
「なぁ!!そろそろ……追手、巻けたんじゃね?」
ゼエゼエ言いながら俺は横を走っている少女『ノア』に聞いてみた。
ノアは息一つ乱していない。疲れたから、おんぶしてーだの、もう走れなぁーいとでも横でぬかして来たら、遠慮なく置いていこうと思っていたが、こうシレーッと平気な顔で走られたらちょっと思ってしまう。
おんぶしてくんねぇかな……
「後ろ、見てみたら?」
ノアが親指をクイクイ倒す。
見たくないから聞いたのに。
恐る恐る振り向くと、モウモウと立ち上る砂煙がこっちに向かって来ていた。
うん!!全然巻けてない!!
それどころか、なんか追手増えてないか…?
「おーいっ!!こっちの森に入れ!!中の方に行けば簡単には見つからねェ!!」
俺とノアは、急いで森の中に駆け込むと、木が密集している場所に座って俺達を待っていた2人の子ども、「ギン」と「凪」の元に倒れ込んだ。
「きっつ…ぅ…。も…走れねー…」
ゼエゼエ言いながら絞り出した声。全員ここまで走ったんだ。全員。
俺とノア、そして俺達を誘導してくれたリーヴ。
いち早く森に着いて、隠れやすい場所まで探し出して俺達を待っていた、子どものギンと凪。
おかしくね?俺が運動出来ない子って訳じゃないよ?
この四人がおかしいんだって。化物かって話ですよ。
遠くでは、うるさいくらいの警報音が、辺り一面に鳴り響いている。
森の中からでも見える、でっかいキューブ型の建物からだ。
俺達は、あそこから逃げてきた。
殺されそうになっていたから。
「もう役に立たない」
ただ、それだけの理由で。
ノアは、色彩感覚を無くしてしまっている。
リーヴは、利き腕である右腕を無くしてしまった。
ギンは、両腕を消失。
凪は、よくはわからないが、同じようにどこか無くしてしまったのだろう。
目が覚めた時、俺はこの4人と同じコンテナ(通称、檻)に入れられていた。
俺は五体満足だが、ただ一つ、記憶がない。
こいつらが何者で、どうして俺はこんな所に閉じ込められて殺されなくてはならないのか…さらに、俺は自分の名前さえもわからない。
わからない事だらけだけど、たった1つだけわかっている事はあった。
そして、それは他の4人も同じだったんだ。
「死にたくない。」
ギンの話によると、処分が決まった場合はコンテナに5人ずつ入れられ、睡眠モードにセットされてしまうらしい。
寝ている間に処分が執行されてしまうというのだから、ゾッとする。
目を覚ました事は奇跡だったんだろうな……。
奇跡だろうがなんだろうが、俺達は生きる選択を手に入れた。
生きるんだ。5人で。
しかし、記憶が全くない俺は、この選択がどれ程過酷な道なのかということを
嫌でも知っていく事になる。
あの小さなコンテナの中。
あそこが、全ての始まりだった。




