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祭りの記憶  作者: なんとかさん
2/13

翌朝、軽めの朝食を済ませ少し早めにアパートを出た。着替えの入った手ごろな大きさのバックを手に駅まで歩く。実家までは2時間程で着いてしまうので大した旅でもないけれど、新幹線での移動なので旅費が嵩むのが若干痛い。それでも駅に到着してなるべく節約をと自由席の切符を買い、ホームで時間まで待つ。




当たり前なのだが平日のその時間に新幹線に乗る人と言えば通勤するサラリーマンなどで僕のような格好の人はあまり居ない。少しして到着した新幹線も人はそれほど乗車しておらず、自由席とはいえ快適な空間だった。



動き出して15分くらいしたところで母からメールが届いた。『今日は私も仕事だから帰ってきたら洗濯物取り込んでもらえる?』という何とも生活感あふれる内容。休みで実家に帰省している間は基本的にそれが自分の仕事になっていた。改めて祭りと言えど大部分の大人にとっては普通の日なのだという事を実感する。



<って、俺も大人といえばそうだよな>



大学3年であと数ヶ月で21歳なのだが同年代の他人で働いている人も居るだろう。その時、「まさか中学時代の同級生が祭りに来てたりしないよな」と少しばかり気構えてしまった。会ったからと言って別段どうという事も無いだろうけれど、会った場合に備えて自分の今の状況を説明するような言葉を探し始める。




少しソワソワしたまま新幹線が県内に入った事を知る。そこからはもう慣れた光景が広がっていて、いつもの様に「帰ってきたな」と思う。県庁所在地の市の駅で降りて、そこから在来線に乗り換える。時刻表を見ると10時前には自宅に到着しそうだ。



登りの列車は特にこれと言って変わったところはなかった。だが、N市の駅に差し掛かったところで一気に雰囲気が変わったのを感じた。いつもよりも多くの人がその駅で降りていて、駅がいつもよりも混雑していたのである。一つ先の自宅の最寄り駅に到着した時にも明らかにいつもと違う様子があった。



「お…」



思わず声が出てしまう。小さな無人駅には小学生や中学生が「たむろ」していた。というか下りの電車を待っていた。彼等はみな満面の笑みで語り合い、祭りに行く準備が万端であるという事が見て取れた。



<そうだよ。これがここでは「普通」なんだよ…>



N市の駅の付近で開催されるちょうちん祭りへは子供達もそうだが、電車で移動した方が都合がいい。車で移動すると停めるところが少なかったり、当然ながら交通規制が敷かれているからである。もともと今日はこのあと電車でもう一度N市に向かうつもりだったが、直接降りても良かったかなと思ったりした。




まあ、何も急ぎの用ではないので洗濯物を取り込んでからでも十分時間がある。一旦駅を後にする。自宅に戻ってやるべき事をやってから、電車の時間に合わせてお昼前に再び駅に戻ってきた。先ほど見たのとは違う小学生や中学生が待合室で電車を待っている。今朝、朝食を控えめにして敢えて昼食を食べずに出てきたのには理由があった。それがこの祭りで楽しみにしている事の一つだった。

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