桜の雫
道化を演じて 僕の仮面は
欲望とともに業火に焼かれる
なぜだか僕の心は 漆黒の闇の中へ
尊さも 儚さも 切なさも
暗雲の彼方へ過ぎ去る
いつの日か交わした約束も
今は枯れ果てて 見る影もない
愛も 慕情も 君の面影も
全てついえて 消え去る
五月の前の通り雨
しっとり濡れた僕の肩に
桜の雫が舞い落ちる
騒ぎ過ぎた夜の名残は
嘘で塗られた舞踏会の 最中へ消える
僕の何が悪かったのか
それは多分僕自身が知っている
それは多分 彼女とてそうだろう
お互いが過ちを過ちとして 認め合った時
全ての徒労が報われる日が来る
一夜の夢も 偽りの官能も 詐欺でさえ
全てが灰塵と帰し 風に吹かれる
やがて訪れるのは 静寂
五月を迎えた通り雨
涙で濡れた僕の頬に
桜の雫が舞い落ちる
ただ静かに たおやかに
明日には笑顔に戻れるはず
そんな希望でさえも 願いでさえも
踏みにじられて 闇夜に消える
ただ残るのは後悔と 傷つけあった痛みだけ
五月間際の通り雨
痛みで赤く滲んだ掌に
桜の雫が舞い落ちる