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02 入学式

 香那に急かされたおかげで入学式の始まる十分前に会場についた。

「恭介は一組だから一番右側の列だよ。私は三組だからね。いい?絶対正体はバレないように気をつけてよ!」

「分かってるって。お前も早く自分のクラスのとこ行けって。」

「も~、本当に大丈夫かな~。放課後はいつものとこで訓練なんでしょ?私も行くから先にホームルーム終わったら正門で待っててね。」

「了解。」

 俺がそう言うと香那は自分のクラスの列へ向かっていった。

「さて、じゃあ俺も並ぶかね。」

 適当に自分のクラスの割り当てられた場所に座ると見知らぬ女子生徒から声をかけられた。

「あ、あの!と、隣に座ってもいいですか?」

「え?ああ、どうぞ。」

 そう言って声のした方を見ると女子生徒が二人いた。一人はセミロングくらいの長さの栗色の髪をしたパッチリとした大きな眼が特徴的な女の子。もう一人は紅色の髪に切れ長の眼が特徴的な気の強そうな印象の子だ。

「あの!」

そんなことを考えていると、栗色の髪をした方の子から声をかけらられた。

「あの、お、お名前を聞いてもいいですか?」

「もちろんいいよ。君の名前も聞いていいかな?」

「あ!えと、私は姫島ひめしま ほのかです。ほのかって呼んで貰えれば…その、嬉しいです。」

姫島 ほのかという女子生徒が名乗ると今まで黙っていたもう一人の女子生徒も名乗ってきた。

「私は神裂かんざき 朱里あかり。私もあかりでいいよ。よろしく。」

「俺は伏見 恭介。ほのかにあかりね。よろしく。この辺りに座ったってことは二人とも一組?」

この質問にはあかりが答えた。

「そうだよ。恭介…ああ私達も恭介君って呼んでいいかな?」

「もちろん。」

「オーケー。それで恭介君は知り合いとかはこの学院にいるの?」

「ああ、幼なじみがいる。確か三組って言ってたかな。そういえば二人はいつから知り合いなの?」

「小学校からですね。」

とほのかが言うと、

「まあ、腐れ縁みたいなものだね。」

とあかりがいった。

「そうなのか。とにかく同じクラスなんだし、これからよろしく。」

その後も二人と他愛もない話しを続けていると会場にアナウンスが流れた。

『これより、国立魔導学院の入学式を行います。新入生の皆さんも席にお戻り下さい。』

全員が席についたのを確認して入学式が始まった。

『それではこれより、国立魔導学院の入学式を始めます。』

まず、学院長からの挨拶があり、その後に生徒会長が話し始めた。

「生徒会長は女子なんだな。」

「そうみたいですね。確か今年の首席も女の子だったと思いますよ。」

「生徒会長と首席が関係あるのか?」

「恭介君、知らないの?新入生総代を務めるのも首席だけど、首席で入学した人は生徒会に入るのが不文律みたいなもので、だいたい生徒会長は前年度の首席から次年度の首席に引き継がれるんだよ。」

「なるほど。そういうことか。」

そんなことを話していると、生徒会長の話しは終わっていた。

『次に、新入生総代。』

そうアナウンスが流れると一人の少女が立ち上がった。その少女の綺麗な顔立ちに息を呑む気配があちこちでおこる。見惚れている者が大半をしめる中、俺は驚きを隠せずにいた。

「え!?」

「恭介さん、どうしたんですか?」

ほのかに声をかけられ止まっていた思考が動き始めた。

「ああ、ほら、さっき話した幼なじみがあいつなんだ。新入生総代をやるなんて聞いてなかったから驚いて。」

「へ~。あれが恭介君の幼なじみか。恭介君もだいぶ美少年だよね。もしかして美男美女カップルとか?」

「え!そうなんですか?恭介さん…」

「いや、違うよ。」

即答すると、あかりはな~んだと言ってつまらなそうにして、ほのかは何だかホッとしているようだった。

それにしても、教えてくれてもいいだろうに、なんて思ってる間も香那は堂々とした態度で話していた。

新入生総代が終わって入学式は閉会となり、各クラスの教室でホームルームをした後、帰宅となった。

「おーい。恭介。」

いきなり教室の外から名前を呼ばれて振り向くと、香那が手を振っていた。

「正門で待ち合わせじゃなかったのか?」

「驚かせようと思って。」

「もう充分驚いたけどね。」

「ああ、新入生総代のこと?別にそんな大したこじゃないからいいじゃない。それに恭介に言うのは何か恥ずかしかったし。」

そんな話しをしてると、あかりとほのかが話しかけてきた。

「恭介さん、ちょっといいですか?」

「ああ、いいよ何?」

「よかったら一緒に帰りませんか?」

「恭介、この人何?」

香那の雰囲気がトゲトゲしいものになってほのかが怯えている。

「何威嚇してんだよ。彼女はクラスメイトの姫島ほのかさんだ。ほのか、あかりはどうしたんだ?」

「あかりは先に正門に行って待ってるって言ってました。」

「そうか。ああ、入学式の時に言ったから分かってるかもだけど、こいつは俺の幼なじみの板垣香那だ。」

「よろしくね、姫島さん。ほのかって呼んでいい?私のことも香那でいいよ。さっきは失礼な言い方してごめんね。」

「だ、大丈夫です。よろしくお願いします香那さん。」

「呼び捨てでいいからね。あと敬語じゃなてもいいよ。」

「あ、はい…じゃなくて、、うん。じゃあ香那って呼ぶね。」

「うん。それでいいよ。」

「じゃあ正門まで一緒に行こうか。あかりも会ってから紹介しよう。」

「そうですね。その方がいいですね。」

ということで俺たちは三人で正門に向かった。あかりは正門の横の壁に背を預けて立っていた。

「あかり、お待たせ!」

「大丈夫。ほのかもちゃんと誘えたみたいだね。」

「あかりちょっといいか?こいつが入学式の時にも話した俺の幼なじみの板垣香那だ。そしてこっちがほのかと同じクラスメイトでほのかの親友の神裂朱里だ。」

「よろしく。私のことは香那でいいよ。」

「分かった。私のこともあかりでいい。」

全員の紹介が終わったところで駅に向かって歩きだした。

駅に向かう道で最初に口を開いたのは、ほのかだった。

「香那はいつから恭介さんと知り合いなの?」

「生まれた時からかな。恭介と私の両親が同じ仕事しててね、同じマンションに住んでるの。」

「なんの仕事?」

「うーん。詳しくは聞いてないけど、公務員なのは確かかな。」

「あかりとほのかはいつから友達なの?」

「私とほのかは幼稚園からだな。昔のほのかは泣き虫でな、友達より姉妹と思われることの方が多かったな。」

「ちょっとあかり!変な話ししないでよ!恭介さんもいるのに…」

「はは、ごめんごめん。悪かったって。」

「二人とも仲良いいのね。あ、そうだ!連絡先交換しない?」

「そうだね。せっかく仲良くなったんだし、香那と恭介君の連絡先を知っておいて悪いことはないよね。」

「あの、恭介さんもいいんですか?」

「ん?もちろんいいよ。」

そう言うとほのかは満面の笑みを浮かべ、香那はちょっと不機嫌そうな顔をする。

「どうしたんだよ香那。」

「うるさい、黙れ、朴念仁。」

そう言うと少し前を歩いていたほのか達のところに走っていった。

そんなこんなで連絡先を交換して、くだらない話しをしながら歩いていると駅についた。

「じゃあね、香那、恭介君。また明日。」

「香那、恭介さん。また明日。」

「うん。じゃあね〜。ほのか、あかり。」

「ほのか、あかり。また明日。」

そう言ってほのかとあかりと別れたあと、香那とモノレールに乗って軍の訓練所に向かった。

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