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第5話

今回の話でも主人公はソロモンの輪を使っておりません。


その代わりと言ってはなんですが、主人公が地球においていじめを受けていた頃のことを載せています

俺はいまソロモンの輪を今使うか後で使うかを迷っている。


ここは勇者のために用意された宿舎の一室である。当然、隣の部屋にも他の勇者がいるだろうし、他にも監視するために送られてきた者が俺の様子を見ているかもしれない。


俺は貴族や国家と関係を持ちたくない。今後は関係を持たない方針で行くと決めたばかりである。今ここでソロモンの輪を使い、目をつけられたりすれば目も当てられない。

自分の能力をきちんと確認することも大切だが、この場ではおとなしくしておくのが一番だとは思う。


しかし、俺のステータス値は比較できる人がいないから正確には分からないが、そこまで高くないと思う。むしろレベル1なのだから低いのだろう。


そんな状態で俺はここから逃げ出し、勇者関連のことと関係を断つことはできるのだろうか?

それだけが気がかりだ。


勇者は700人以上いるから人数が足りないということはないと思う。

それも俺たち一人一人の力とこれまでに召喚された勇者とでは、比べるまでもないほどに力の差は歴然としている。


ならば一人くらいいなくなっても気にされないかもしれない。だが、逆にそれを利用して自分たちのところに囲いこもうとする貴族も出てくると思う。

そうなるとやっぱり俺には自衛するだけの力が必要になってくるだろう。


・・・・・・俺ははたしてどうするべきなのだろうか?


そう俺が悩んでいると、扉を挟んだ廊下から東雲高校体育教師である仁科にしな 信人のぶひと声が聞こえた。


「今から今後の生活のことについてみんなで話し合いを始める。身支度ができたものから食堂に集まってくれ。既に何人かは集まっているからできるだけ急いでこい」


「別にどうなろうがいいよ。どうせもう帰れないんだ」


「俺たち勇者なんだろ?だったら魔物と戦わないといけないのか?」


「べっ別に全員が戦わなくてもいいでしょ。こんなに人数いるんだから」


「そうよね。私たちは女子なんだから男子が戦ってればいいのよね」


今後のことについて話し合いね・・・・・・

どうせ俺が行っても俺の意見は誰にも聞いてはもらえないだろう。むしろ自分たちのしたくない嫌な役割を無理やり押し付けてきそうだ。


それにしてもやっぱり自己中な人間が多いな。


自分は決して戦いたくはないが、この見知らぬ土地で苦労せずに生きていくにはこの地の住人に嫌われてしまうわけにはいかない。なぜなら自分たちにはこの世界で生きていくための知識が圧倒的に足りないのだから。


その結果がさっき聞えてきた声だろう。自分は戦わないが、他の人が戦わせて、その威を借りて過ごす。


まあ、俺自身もソロモンの輪を使って、自分の代わりに召喚した者を戦わせようとしているのだから文句を言えるような立場にいない。


「コンコンッ」

「だれかいるのか?いるなら早く出てこい」


仁科が目の前の扉を挟んだところにいる。どうやってかはわからないが、俺がこの部屋にいることに気付いたというのだろうか?


あいつは、俺が西蓮寺 直哉によって・・・・・・いや、西蓮寺 直哉を囃し立て、嘘の俺の情報を流した奴らによって、俺の冤罪の事件の噂が学園中に広まった際の被害者となっていた女生徒の親なのである。


俺の噂とは、部活の帰り途中だった仁科の娘がこの学園の制服を着たものに犯されたという事件があったのだが、その犯人が俺であるという噂である。


東雲高校は一部の成績上位者以外は部活への入部が必須である。

そして仁科の娘は弓道部だったのだが、その日弓道部は最初に部活を終えており、そのうえ、他の部活動に全員でており、休んでいる生徒はいなかった。


そのため、部活動生には不可能な犯行となっていた。

その結果、必然ともいえることだが、生徒の間では部活免除者が犯人だとされていた。


捜査が進むにつれて、警察のなかでは取り調べや捜査の結果、俺たちは無罪であることが判明し、外部の者が制服を着て行った犯行とされていた。


しかしそのことを生徒が知ることはなく、警察の内情とは逆に全校生徒が取り調べを受けた後にもう一度取り調べを受けた部活免除者が犯人であるという妄執をほぼ全校生徒がいだいていた。


そんな中、高校中で名前が知れており、信頼も厚い人物、つまりは西蓮寺 直哉が突然犯人を知っているといい、俺が仁科を犯した犯人だと言い出した。


普通の状態なら証拠を確かめようとするとするだろう。

しかし、生徒は既に正常な判断力を失っていた。ネットにおいては散々バッシングを受け、大学受験を控えていた受験生は、大学からの評価に関わる。さらには近所の住人からも白い眼で見られ続け、誰もがまいっていたのである。


そんな中、西蓮寺 直哉が俺を犯人だといいだしたらどうなるか。

答えは簡単である。全校生徒全員が信じ、今自分が抱えている思いを、鬱憤を晴らすべくうまくいかないことのすべてを俺のせいにする。


又、被害者の女生徒の親であり、東雲高校体育教員でもある仁科 信人もその噂を信じた。そして、俺を退学処分にしようとした。

教職員の内何人かはそれを信じたが、全員は信じておらず、俺はなんの処分も受けはしなかった。

まあ、その人たちも俺を信じたのではなく、警察の捜査を信じてのことであったが・・・・・・


しかし、その結果に俺を自分の娘の事件の犯人だと信じ込んでいるあいつは我慢できなかった。

その結果が授業中の体罰である。武道の時間のたびに実験台とし、様々な苦痛を与え、苦痛に歪む俺の顔を満足そうに眺めるようになった。


そして、その問題はいまだ解決しておらず、むしろ悪化しているとすらいえる状況下において、異世界に召喚されかつてと同じように判断力の鈍っている今、もしここで見つかるようなことがあればこれから話しあいを行う食堂へと連れて行かれ、能力の実験台かストレス発散の道具にでもされるだろう。


そう考えた俺は、とっさにこの部屋唯一の家具であるベッドの下に俺は隠れた。


「うん?誰もいないのか。この部屋からだけ誰も出てこなかったから神代か椎名の部屋だと思ったんだが・・・・・・まあいい。まだ神代と椎名の姿を見ていないし次の場所にもいくか」


やっぱりあいつは危ない。もし隠れていなかったら、隠れていても見つかっていたら想像していたようなことになっていただろう。


だが、もしあいつが今のように俺を探して全部の部屋を回っているのだとしたら、話しあいが終わるまでは俺の部屋の周りに人はいないはずだ。


それならば後は窓の外から見られるのを防げさえすればソロモンの輪を使える!!

そう考えた俺は早速行動を起こした。


「ストレージ(収納)」


「ストレージ(放出)」


俺はもう一度ベッドを収納すると、窓の外から中を見られないように、部屋の中を隠すように立てかけて放出した。これで窓からのぞかれる心配も、周りに聞かれる心配もなくなった。


だから俺はソロモンの輪を今日のうちに使っておくことにする。


お読みいただきありがとうございます。


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