第2話
2話目です。今回は主人公が召喚された時のです。
次回は主人公が与えられた能力の紹介です。
「なに?今の光はなんだったの?」
「ここはどこなんだよ!?」
「おいっ。誰かなんか知らねえのかよ!?」
「落ち着かんかお前たち。左側からA組から順に出席番号順で並べ!!」
俺は今、全校生徒700人弱に教職員40人弱とその人数が入れるほどの大きな講堂?にいる。
さっきの魔方陣で一緒に呼び出された同じ高校のやつらが突然の状況が理解できてなくてか、パニックになって騒いでいる。
先生の中には生徒たちを落ち着かせようと指示を出している人もいるが、この状況では意味がないようで誰も聞いていない。
むしろ先生達が問い詰められているようだ。
「すみません、勇者様。外で待機している者たちに召喚の儀の成功を伝えに行っており、おくれ、まし、た・・・いったい何人勇者様はいるんでしょうか?
いえ、何でもないです。私は皆様をここアークレインに召喚させていただいた姫巫女のセリナと申します。皆様も状況がご理解できていないでしょうから、説明させてもらいたいのですが、よろしいでしょうか?」
俺たちのいる講堂の扉が開いたと同時に、20歳くらいで白色のシスター服?を着た女性が入ってきて、そう言った。
この女性の最初の言葉が尻すぼみになっているのは、俺たちの人数の多さが原因だろう。
これがティアナの言っていた召喚なら通常、代表者・・・この場合は勇者か、は2,3人らしいし、俺たちはその250倍近い人数なのだし当然だと言えば当然だろう。
それにしても勇者ね・・・異世界トリップと言えば勇者召喚と転生物が代表的で俺も好きなんだけど、この人数でできるのだろうか?まあ自分がいざなれって言われても絶対ならないけど。
「俺たちに今の状況を説明してくれるというのなら願ってもないことだよ。頼めるかな?」
俺がそんなことを考えているうちに女性、セリナさんに誰かが答えていた。
先生の内の誰かか?と思ってよくみてみると、東雲高校の生徒会長にしてテニス部部長の西蓮寺 直哉だった。
あいつは学年主席どころか全国模試でも上位で、テニスの大会では全国大会ベスト4に入っている。
一見、文武両道で、時間があればひとの悩みを聞いて、それを解決しようとしているイケメンといった風にみえるため、女子にいたってはファンクラブまでできている奴。
だが、俺はあいつを嫉妬なんかではなく嫌いである。
なぜなら、あいつは、一度自分が正しいと思えば人の話を聞かない自己完結型だ。
けれど、アイツには男女両方、特に女子からの人気があるため、本来被害者であるはずの人が悪かったことになるのだからたちが悪い。
俺自身がその被害者で、そのために、それ以来学校内で口を開くことはゼロになり、なにかあれば俺が何かしたということになり、教師までそれを止めるどころか、むしろ高校の退学を盾に他の生徒がしたがらないことをやらせてきている。
今となっては誰も俺に関わらなくなり、俺の存在そのものが無いかのように振る舞っている。
少し思考が脱線したが、あいつについてはそういうやつであるため、他の連中はあいつがどうにかしてくれるはずだと静かにして二人の話を聞こうとしていた。
「はい。ここはアークレインという王国です。私が皆様を他の姫巫女ともに召喚しました」
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以上が大体の状況説明です。この国の国王様の所にご案内したいのですが構わないでしょうか?この大聖堂は少し宮殿とは離れてございますし、少し時間がかかりますが・・・」
「僕としてはこのまま行ってもかまわないんだけど、さすがにみんなも疲れていると思うし、何人かで国王様の所に行って話をして、みんなはどこかで休んでいるほうがいいと思うよ。さすがにこの人数全員で行くのも気が引けるしね。」
「それもそうですね。それに国王様に報告もしなければなりません。みなさん本日はお疲れのようですし、今日はもう日も落ちかけているので、今日は神殿の宿舎に泊まってください。それと明日、国王様に謁見しますので、謁見するかたも今日の夜の内に決めておいてください。」
そう言って俺たちは、この大聖堂からあるいてすぐのところにあった聖職者用の宿舎の空き部屋に案内された。
そこはお世辞にも広いところとはいえないうえ、ベッドしかなかったが、綺麗で清潔に保たれてあった。
おれはベッドに横になり、セリナさんから聞いたこの世界の話のことをかんがえていた。
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