01
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「何故に俺が愉快に化け物退治しなきゃならんのだ」
「まぁ、そうガヤを飛ばすな」
ガヤじゃない。
不平不満だ。
「お前は仕事をしないつもりか?」
ちっ、こんな薄暗い部屋から外に出ない引きこもりのくせに。
「なんだ?」
「いや、この引きこもりニートは口だけは達者だなと思っていただけだ。」
「ニートじゃない、情報屋だ。立派な仕事だ」
ソドムは引きこもりは否定しないがと続けて言った。
「さて、仕事の詳細を…」
「うおぉおおおおおおおお!?何だこのうまい棒!うまい!」
「ってなに勝手に人のお菓子食ってんの!」
「これ何味だ!?」
「コーンポタージュ!お前菓子好きのくせにメジャー菓子NO.1のことも分からんのか!」
「……」
「……」
「はぁ~、折角俺が引きこもりと言われたあんたを慰める兼この暗い部屋を明るい空気に変えてやろうと思ったのにさ~。もう、お前、戦力外。チェンジ。ツッコミも陸に出来ないとは俺を幻滅させないでくれよ」
「とりあえず頭貸せ。お礼にちょうどここにあったスパナで頭のネジを直してやる」
「だめだめ、どつき漫才は受け付けません。ちゃんとしたツッコミ以外は却下だ」
「んじゃツッコむがな、引きこもりと言った張本人が言うな!あと、この部屋が暗い原因はお前が昨日ここで野球やろうぜ!キャッハーなんて言いながらバット振り回していたら電球にヒットしたからだ!」
「ちょ、落ち着けよ。ほら、うまい棒あげるからさ」
「それは元々俺のだよ!」
荒くなった呼吸を整えたソドムは、ため息交じりにもうええわと呟き、画面に付箋をベタベタと貼っているパソコンを操作して依頼の書類を印刷して俺に突き出した。
「アールズ・ランフォルム、今回の依頼内容を説明する」
空気を変えたかったのか咳払いをして、更に事務口調で言う。
まだ依頼を受けるとは言ってないのだけれども、自動的に受けたことになっているようだ。
まぁ、依頼は受けてもいいのだけれどね。それなりに楽しませてもらったし。
「6日前に商業ギルドの一行が魔獣に襲われるという事件があった。幸い、用心棒を雇っていたから逃げることには成功したらしい」
「ふーん、ということはまだ化け物は生きていて、また同じ化け物に誰かが襲われる前に片づけよろしくってことか」
「まぁ、それが依頼の内容ではある」
渡された書類をパラパラとめくりながら、少しソドムに目を移すと眉間に皺を寄せていた。
裏がありそうじゃねぇか。やめてくれ。
「聞きたいか?」
俺の視線に気付いたソドムはニヤリと笑いながら言った。
全く以って意地の悪い質問だ。
ここは聞く他ないじゃない。この依頼に裏があるのだとしたら、それを聞いていたかいないかで今後の対応も変わってくるってものだ。
それに何より、
ソドムの持ってくる依頼だからな。厄介な依頼なのはここに来た時点で判りきっていたようなものだ。
あ、やっべ、本格的に帰りたくなってきたわ。
「今回の依頼には不可解な点が三つある。」
俺が沈黙してここを離れないことを肯定と受け取ったのか、ソドムはパソコンから目を離し俺の目を見ながら話し始めた。
「一つ、最初に魔獣が現れたのは6日前だ。それなのにギルドでの対応は今までなかった。」
「ああ。普通ならその日のうちに討伐隊を編成してもおかしくはないだろうな。」
「二つ、6日前にギルドの討伐隊ではなく、観測隊を出したところがある」
観測隊?
「なんじゃそら」
「主にテマの濃度や、テマによる人体・環境・魔物への干渉力を測る。また、テマの濃度が高い霊域が発生している場所の特定や、霊域が発生する条件、霊域の発生場所を予測解明することを主な仕事とする」
「誰が観測隊の説明をしろと言った。俺はなんで観測隊が出てくるのかを聞いているんだよ」
「そんなこと俺に聞くなよ」
じゃあ誰に聞けというのだ。
「理由はとにかく、頭の隅にでも置いておけ。理由はその場の状況で判断するしかない」
「情報屋が聞いて呆れるぜ」
「うっせ。俺が情報を集められなかった理由があるんだよ。」
うまい棒を買いに行っていて時間がなかったとでも言う気か?
「まぁ、その理由と三つ目は同じなのだがな、俺が放った式神が殺られちまった。」
「なっ」
俺は不覚にも驚いてしまった。
ソドムは情報屋として一流だ。こうして俺はソドムの顧客となっているのもその腕を信頼しているからだ。
その一流の情報屋ということは、扱う情報は危険な場所でしか得られないことも多々ある。だからソドムは情報収集をする際は必ずソドム自身はこの薄暗い部屋から出ず、式神を使って情報を集める。
つまりは、その式神は危険な状況でも情報収集をしなくてはならないため、それなりに強く、誰にも気づかれないほどの隠密性が備わっているのだ。
そんな式神が殺られたとなると今回の依頼にはそれなりの相手がいるということなのだ。
「そいつは厄介な化け物だな」
「いや、俺の式神を殺ったのは人間だ」
俺がそう言うと確信していたかのように、すぐさま俺の発言を訂正してきた。
「それこそ厄介だ」
本当に聞かなければよかった。そんでもって家でお茶でも啜っていれば平和だったのになぁ。
「さて、話は戻るが、観測隊をどこが出したかのかということだがな」
「聞きたくない。帰る。そんな厄介な仕事は却下だ。」
「デルマーク研究所だ」
言いやがったよ。
しかもデルマーク研究所という答えは一層帰りたいと思えた。
デルマーク研究所。表向きは万物を構成しているテマを利用しエネルギーを作り出せないかを研究していることになっているが、ソドムの情報によれば、裏で人体実験によりテマと生物が持つメオンという生命エネルギーの反応を研究しているらしい。
「さて、依頼の説明は以上だ。十分注意して依頼を熟してくれ」
最後雑だな!
とりあえず2話目は1週間で書けたぜ(-_-;)
いつまで続くかが問題だな……